年の終わりに注目すべき試合を日本の選手達が組んでいるというのは
日本在住ボクシングファンにとってはとても有難い事だと思います。
入院中考えてたんですが、
ディフェンスって奥が深~いですね。
もう引退してしまいましたが、
ロナルド・ライトという防御型の素晴らしい選手がいました。
といっても、ボディーワークやフットワークあるいはヘッドムーブメントを指して上手いわけではなく、
ガードが非常に上手だったのです。
ガード(チューリップガードと呼ばれる手首から先を広げるガード)というのは他の防御動作と違って、相手の攻撃の種類に合わせる必要が無いけどジャブにはやや弱いという性質を持っています。
ガードを母艦にして試合を繰り広げる選手達はみな同様に良いジャブを使います。
こういったタイプの選手はライトのほかにもぱっと思いつくだけで、
ジョシュア・クロッティー、フェリックス・シュトゥルム、ロイ・ジョーンズjr、アンドレアス・コテルニク、セレスティーノ・カバジェロ、サウル・アルバレスなどが連想されます。
何故こんな事を書いてるかというと、この連想に出てくる選手のうちに今話題の
井岡一翔とレオ・サンタ・クルズが出て来るからです。
クルズは早くもBoxingSceneのコンピュボクスプラスマイナスリストでウォードをおさえて3位に浮上。
36%-21%で+15%とされます。
驚くべきは、
クルズや上記した選手たちは高いレベルのボクシングを形にする段階で目に見えるほどにはその他の防御技術に頼らず、フットワークも大体が相手との距離を一定に保つのみです。
クルズにしても井岡選手にしても同じで、綺麗に貰うパンチはストレート以外あまり無く、それも自分の打つジャブで相殺あるいはチャンスに変えている・ということが言えます。
(亀田興毅は同列に記述されるべき性質を持っていますが、ジャブよりはいきなりのストレートをツールにしているし、その他戦法も強い脚と相手より目線を低くするという、似て非なる体系をとっています。ボクシング能力は世間一般に過小評価されていると感じます。)
この、ガードメインのスタイル、モロな弱点が存在します。
それは、アメリカでは「ピティー・パター」と呼ばれる戦法です。
ジョー・カルザギに代表される、通り雨が窓を打つように、手打ちでもいいから素早くそして多くの種類と手数を出し、角度を取ったり、相手の脇に潜ったりして過ぎ去ってゆく、ヒットアンドアウェーなスタイルです。亀田選手もそういった気はありますね。
ライトにはホプキンズとウィリアムス、
クロッティーにはパッキャオ、
シュトゥルムにはマクリン、
ジョーンズにはカルザギ、
コテルニクにはアミール・カーン、
カバジェロにはリッツォと、まさにスタイルにはスタイルをと、この関係性はじゃんけんのような法則性を持って存在します。
(こう抽象的にボクシングを見ると面白いですね。
シャーロック・ホームズみたいで。)
そして見ました、
映像を観て、
自分がここで書いた事と照らし合わせて予想してみると、
脅威となるようなスタイルではないと思います。
お互いジャブにリバーブローと駆け引きして、でも井岡には強力なアッパーがあるから簡単にロープまで詰めちゃいそうですね。カウンターで、右とかボディからアッパーとか入れて倒してしまいそう。
内山選手も同じ日に試合ですね。
ブライアン・バスケス さんと。
頑丈さではバスケス。
火力では内山でしょう。
案外危ないかも知れないですねこの試合。
それにしても人生は短いですね、
木村でした。