宮部みゆき『子宝船 きたきた捕物帖二』 | applejamな休日

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せかせか暮らしてるのに、気が付けば何もせずに一日が終わってる…
ゆっくりとジャムでも煮ながらお休みの日を過ごしたいなぁ…
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2022年6月 PHP研究所刊



新シリーズ
『きたきた捕物帖』の第2弾。

 

 

前作の記事↓

 




第一話 子宝船

文庫屋として独立した北一は
文庫づくりの作業場を構える。
青海新兵衛から引札(ちらし)作りを勧められたり、
おみつから赤子の祝いに使える文庫を提案されたり。
貸本屋の村田屋治兵衛には、
読み物入り文庫の商いの話を持ち掛けられる。
治兵衛は
赤子に絡む商いはやめた方がいいと言い、
「多香屋」で起こった揉め事を語って聞かせる。
酒屋が配った宝船の絵のせいで、
生まれたばかりの赤子が死んでしまったというのだ。

酒屋「伊勢屋」の主人・源右衛門が描く宝船の絵が、
子授けの力があると評判になっていた。
その絵のおかげで授かった「多香屋」の赤子が亡くなり、
宝船の絵からは弁財天が消えていた。
宝船の絵が子供に祟ると噂になり、
気にした者たちが伊勢屋に押しかけてくる…





第二話 おでこの中身

二十八年前、
村田屋治兵衛はめとったばかりの新妻・おとよを
かどわかされ、あげくに殺された。
未解決となったその事件の真相を、
北一が調べ直そうとした矢先、
北一もよく知る弁当屋「桃井」の一家が毒殺される。
一家心中か、
それとも一家に恨みをもつ者の仕業か。
凄惨な現場に駆け付けた北一は、
やじ馬たちの中に怪しい女を見かける。

その女には銀杏の葉の刺青があった…。




第三話 人魚の毒

「桃井」の事件は
おかみに横恋慕した男が下手人として捕まる。
拷問に耐えきれず自白した男は、
そのまま死んで、事件は一件落着に。
そのことに納得できない北一は
検視役の栗山の命を受けて、

怪しい女の人相書きを配り、
引き続き女の行方を探すことに。

そんな北一のもとに、ある男が訪ねてくる…







時代物なので、
聞きなれない言葉や
未知の物事が多くて、
理解するのに時間がかかる。
しかも、
前作の設定や登場人物をほとんど忘れているので、
それを思い出し思い出し、
ゆっくり読み進める。
先日の東野圭吾の時とは大きな違いだ。


何と、この物語も深川が舞台で
「深川飯」の描写が!!
こちらの深川飯は
「浅蜊のむき身と青菜と油揚げを出汁で煮込んだものを飯にぶっかけた丼。」(p.38)
これはこれで美味しそう…

そして、
これは前作にもちらっと書かれてたかな。
北一の部屋に以前、住んでいた若侍、
治兵衛の写本作りを請け負ってたって、
「桜ほうさら」の主人公・笙之介のことだと思うんだけど、
闇討ちにあって死んだってことになってて。
うん、まあ、これにはなんか、
からくりがありそうだけど。

第二話で新たに登場する、
三太郎、通称「おでこ」は
私は読んでないけど、
『ぼんくら』に登場してんだってね。
政五郎親分の手下だったが、
驚異的な記憶力の持ち主で、
それを買われて今は町奉行所の文書係。

こういう、他の作品とのつながりがいろいろ仕掛けられていて、
それを見つけるのが、
宮部みゆきマニアには
たまらないんだろうね。

それ以外にも新たに登場したのが、
桃井一家の現場に現れた
検視役の与力・栗山周五郎。
彼は北一を見込んで、
これから使いっ走りとして使うのかな?

そして、北一の文庫の絵柄を描く欅屋敷の若様、
椿山勝元の三男、栄花。
しかし、栄花は明らかに女の子。
ここにも、一つの謎が。

長命湯の喜多次については

活躍の場面もまだまだ少なくて、
相変わらず謎のままだし。
第二話の最初、
北一が探ろうとした
二十八年前の治兵衛の新妻の事件も
謎のまま。

 

一つひとつの事件を通して、

岡っ引きとして成長していく北一の姿が描かれていくんだろうけど、

今のところ、

彼は、まだ、

その覚悟も何もない。



宮部みゆきさん、

このシリーズはライフワークとして書き続けて行くそうなので、

私も気長に

物語の行く末を見守っていきたい。

宮部みゆきという作家が、

同世代であることを、幸せに思う。

 

 

 

 

 

 

 

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