お父さん、ありがとう
特養入所中の私の父“お父さん”または“ジィジ”が亡くなりました。82歳でした。話は、この続きです。前の危機『お父さんと会えた！』私のお父さんで、レオ君のおじいちゃん“ジィジ”。この話の続きです『夫婦愛』一部の友人にはお伝えしておりましたが、うちの実父“ジィジ”(または“オトン“…でも…ameblo.jpこの時も調子が悪かったです。悪かったからこそ、私は施設内に入れ、直接お父さんと会えたわけですが。あれからまたお父さんは復活し、50kgをキープしていました。母は体重が増えないことにヤキモキしていましたが、真ん中の妹“ルル”の言葉、現状維持も、また成果それに渋々納得しているようでした。７月に入って暑くなった頃には、母の毎日のお勤めである【流動食の差し入れ】は８つから２つに減りました。野菜スープと煮物…くらいかな。お父さんは施設の食べ物を食べるようになっていたし、季節柄『生物は禁止』となったので、お刺身やフルーツは持って行けなくなっており、私としては、ちょっとホッとしていました。「もしもお母さんが行けない時には、あんたらが行くねんで！」と、三人娘それぞれが 実家で【お父さん専用流動食】の作り方を教え込まれていて、それがまた大変で……ビビっていたのでねお父さんは本当に調子が良くなり、面会に行っても、話もしてくれるし 話してもむせることもないし 車椅子にちゃんと座位を取って2,30分普通に座れていて、「しんどいからもう帰れ！」みたいなことも無くなっていました。なので、毎回「行かなくちゃ」みたいなことも無くなっていて、行ける者が行くというゆる〜い感じの面会習慣になっていました。そんな色々と少し楽になってホッとしていたある日、私の仕事場に我が夫“パンジャ君”から電話が掛かってきて その後には母が会社までやってきました。７月19日。早朝から、施設から母に電話が掛かってきたそうです。また連絡するかも…と。待機をしていましたが、たまらなくなって母ライン開始。母は、私は仕事中なのでライン見れないだけなのですが 連絡が付かないと焦って、でも仕事場の電話番号を知らんからパンジャ君に電話し、それでも居ても立っても居られず 場所だけは知っている私の仕事場に直接やってきたわけです。このただならぬ状況に私は早退させてもらい、施設内に入れる３人【母・私・ルル】と、急いで帰ってきたパンジャ君と面会に行きました。パンジャ君はベランダから窓越しの面会です。それでも「お父さんにはお世話になったから…」と、面会に来てくれました。お父さんの状況は、『酸素飽和度90%』が朝から続いているのと、微熱があるとのことでした。危篤状態とは言えない状況。でも直接家族を会わせた方がいいと 施設が判断するくらいには悪い状況。「お父さん！エルザやで！」と覗き込むと、いつものように「エルザ〜」と言いながら泣きました。私もつい「お父さ〜ん」と言って泣きながら抱きついてしまったけれど、やはり危篤とは言えない感じ。お父さんは窓の外を見て、「あれは…パンジャや」とわかっていたし、目に力が無く息が浅いものの 意識はちゃんとあり 受け答えができていて、段々と96%の正常値まで回復しました。なので、前の危機の時と同じような感じがしました。この時は。でもよく考えると、ご飯も食べれてないし お水を飲んでも誤嚥を起こしそうな状況。ハーゲンダッツのアイスクリームをゆっくり溶かしながら味わう程度の食事で、水はスポンジで口元を湿らせながら飲む…というよりとりあえず湿らせるって感じ。病院ではないので点滴もできないのに、復活なんてできないのは当たり前だったよね…次の日である７月20日。復活したように見えたので、この日は母だけ昼間に面会。その時に施設に言われたことは、・また酸素飽和度が90%に下がったこと・これからは毎日面会に来ていい・お孫さんも連れてきてほしい・看護婦さんが「今度はダメかも…」とコロナの規制が緩くなったけれど 施設内には固定された３人のみ入室可能なので、ロロはまだ入れません。次の日からはロロに入室面会を代わると決め、夜にルルと私がまた 最後の面会に行きました。呼吸は更に浅くなったように見えました。少し喋っただけでも喉がゴロゴロ鳴ってむせ、お父さんはタンを出そうと苦しそうに咳をしました。お父さんに「喋ると苦しくなるから喋らなくていいよ」と言いながらつい「どこが痛い？しんどくない？」と聞いてしまって、申し訳なかったな…お父さんが喋らなくてもいいように…そして、私がやりたかった【幸せな思い出を思い出してもらう作戦】を始めました。作戦と言っても、ロロと話をするだけです。子供の頃に遊んでもらったこと。野球や凧揚げをしてもらったこと。凧の糸を私が離してしまって、お父さんが走って追いかけたこと。よくお父さんの会社に遊びに行ったこと。あそこに変なエレベーターがあったね。あんな工場やったよね…と。お父さんは思い出したようで、曖昧な記憶の補足をしてくれました。色々旅行に行ったこと。ハワイに行った時に、幼いミロとアギ(ルルの子供)を連れてダイヤモンドヘッドへ。子連れで行けるような優しい所では無かったのに抱っこして行けるとこまで行ったこと。更にスコールが降って踏んだり蹴ったりだったこと。そこでお父さんが笑ったようでした。お父さんの両親であるおじいちゃん・おばあちゃんのこと。おじいちゃんが「〇〇(お父さん)が帰ってくる！」って言って、張り切って裏山に お父さんの好きな硬い桃を取りに行ったこと。お父さん、泣いてたな…思い出して欲しい。お父さんの楽しかった人生。幸せだった人生。今は苦しいかもしれないけれど、お父さんの人生の大半は大成功なんだって思い出して！そんな気持ちでいっぱいでした。30分予定の面会が随分過ぎてしまい、もう帰らなくてはとなりました。私にはもう最後の面会です。「お父さん、明日からはロロが来るよ。ウチはもう来られへんねん。」「なんでや…」「施設の決まりで３人しかあかんねん。ウチはロロと交代。…………でもまた交代したら来るよ！」「ん」「あ、そや！お父さん、頭撫で撫でしてよ！」話をしながら、腰が痛いと言うお父さんの為に ルルが腰を擦って、私は腕をモミモミしていました。腕は気に入らなかったようで、何度も跳ね除けられましたがそれほどお父さんの腕の力はまだ残っていて、手を私の頭の所に持っていくと 泣きながら撫で撫でしてくれましたルルが「ウチもー！」と両手に撫で撫で。お父さん、ありがとう続く……
