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6月に出る予定のCDのお知らせです。80年代以降のフェアポートのライヴ盤は無数にリリースされてるんですが、この時期前後のライヴ音源は大変レアだと思います。それもデンマークでもスウェーデンでもノルウェーでもなくてフィンランドって!71年ちゅうことはリチャード・トンプソンが脱退して間もない頃で、編成はフェアポート史上もっとも少ない4人―サイモン・二コル、デイヴ・スウォーブリック、デイヴ・ペグ、デイヴ・マタックス―となります。アルバムでいうと、『Angel Delight』と『Babbacombe Lee』の頃っす。「リチャードがいないんじゃなあ!」と思うファンは多いと思います。私も最初はそう思いました。しかし!リチャードが在籍した最後のアルバム『Full House』以前のライヴ音源はBBCや映像を含めるとそれなりにけっこう出てるんで、逆に1人でがんばっているサイモンをたっぷり聞ける唯一のCDかもしれない!と思い直して予約ポチしましたよ。それにこの頃のデイヴ・マタックスも叩きまくってるはずなんで、それもすごい楽しみです。リリース元はアメリカのリアル・ゴーン・ミュージックという発掘物専門レーベルです。
 
トラック・リストは以下のようになってます。ちょっと少ないですね。それより心配なのは音質なんですけど、これはもうイチかバチかじゃ!来月届いたらまた載せようと思います。
 
1. Bridge over the River Ash
2. The Journeyman's Grace
3. Mason's Apron
4. Sir Patrick Spens
5. Matty Groves
6. Sir B. McKenzie's Daughter's Lament
7. Sir William Gower
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ISBのロビンのバンドのセカンド・アルバムです。ここからさかのぼること8年、ISBのアルバム『U』のライナーで、ロビンは次のようなことをいってはります―
 
「インクレディブル・ストリング・バンドでの僕の作品全てには、ある基本的な目的が横たわっていた。まずは僕に関するかぎり、バンドの目的はパフォーマーとオーディエンスの間の障壁を取っ払うこと、人間のつながりを示す音楽を作るために技能の序列を取っ払うこと、それはテクニック至上主義でない社会的な音楽を作るためだった。つまり無邪気な絵の音楽版だサイケデリックでフォーキーで神秘的なね。僕はケース・バイ・ケースでつまずいたり飛んだりしながら進んでいく作品になるような領域とやり方に、自分の関心をもっていこうと考えた」
 
簡単にいうと、アマチュアリズムとインプロヴィゼーションを押し出すってことなんですが、なるほどISBの特にロビンの曲は「なんじゃこら?」と思うような突飛な展開が出てきたり、急にすっとんきょうな声を出したりと、子供っぽい無邪気さを感じることがあります。このへんがアマチュアリズム&インプロヴィゼーションの合体なんでしょうね。一歩間違えると単なる「ヘタクソ」に聞こえてしまうところを、「ん?これってもしかするとめちゃめちゃ計算されてんじゃないか?」と思わせるところが、天才ロビンのすごいところっす。そしてここでのロビンと彼のバンドは、ISB時代とは正反対のプロフェッショナリズム&パーフェクションを押し出すことになりました。そら10年近くも同じコンセプトでやってりゃ飽きるってもんでしょう。と、いいつつちょこちょこと‘ISB’のロビンが顔を出すところがまたたまらんのです。カリフォルニア録音ということとアルバム・タイトルから、もう少しアメリカンなアルバムを想像してましたが、想像に近かったのは“Pacheco”と“Zoo Blues”くらいでした。前者はドブロ・ギターをフィーチャーしたカントリー・ソングっちゅう感じで、フライング・ブリトー・ブラザーズすら浮かんできます。あとはずっとこだわっていくことになるケルティック・ハープを中心に、ヒジョーに振り幅の広いロビン・ワールド全開で、中にはフェアポートみたいなリール・インストも出てくる大変完成度の高い作品だと思います。ロビン・ファンは前作の『ジャーニーズ・エッジ』以上に押さえるべきアルバムではないかしら!
イメージ 1アルバム『モダン・タイムズ』に続く大ヒット作です。初めて聴きましたよ。音楽的、商業的に頂点に達した感バリバリの傑作だと思いました。プロデューサーは前作に続きアラン・パーソンズ、さらに洗練されてアル流AORサウンド完成!といった感じです。一般的にAORといえば都会的でオシャレで粋でスマートで白のスーツでバブルで金の匂いのプンプンするやらしいイメージがあって(どういう偏見か)、イマイチ入り込めないタイプの音楽だったんですが、これはいい意味で毒のない純粋にすばらしい作品だと思いました。ジャズ/フュージョン界では有名な人らしいピーター・ホワイトというギタリストが活躍していて、クリアなトーンでテロテロテロテロ弾かれると初期のダイアー・ストレイツを思い出してしまいます。考えたらダイアー・ストレイツもAORといえばAORでしたね。その他プレーヤーに関しては、ギタリストのティム・レンウィック(クウィヴァーの人)以外は知らない人ばっかりでした。全員やたらとプロフェッショナルなうまさなので、たぶんその筋では有名な腕利きばかりだと思います。全曲すんばらしい出来ですが、やはりタイトル・トラックがハイライトですかね?イントロのピアノのフレーズがすごく印象的な名曲っす。後半のいやらしいサックス・ソロがめっちゃダサいですが。初期のアルを思い出すかわいらしい“Sand In Your Shoes”や“If It Doesn’t Come Naturally, Leave It”も大好きですね。購入したCD2年ほど前に出た新名盤探検隊シリーズの1枚で、今となっては昔懐かしい解説と歌詞と対訳の載った日本盤仕様で1000円ちょっとで買えます。こういう正しい日本盤の仕様はいつまでもなくならないでほしいですなあ。ネットで調べりゃすぐわかるだろ?とはいっても、わざわざCDかける時にパソコン開いて検索するようなめんどくさいことせえへんやろ?ブックレットを読みながら聴くのって楽しいっすよ!
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【レコ妖怪向けレビュー】
Changing Horses』に続く6作目のUKオリジナル盤です。神戸のウォータールー・レコーズさんより入手しました。エレクトラの初回レッド・レーベルでシングル・ジャケっす。表面コーティングはなし、背表紙は上下絞りです。インクレの音楽が聞こえてきそうな陽気でヘンテコでちょっとコワい感じの妖怪ジャケがサイコーですね。裏ジャケにはリコリスとローズを含めた笑顔の4人が載っています。内容的には『Changing Horses』とセットといっていいアルバムで、今度はどちらかというとロビンよりマイクの方が幅を利かせているので、この2枚でおあいこっちゅう感じです。おそらくISB史上初めてロックのドラム(by デイヴ・マタックス)を採用したトラックが入っているということで、のちのアイランド・レコード時代のISB流変態フォークロックの先駆けとなった重要なアルバムである!と認定させていただきます(何様か)。英フォークロックにとっては数多くの名盤が生まれた1970年ちゅうことで、おもしろいデータがあるのでご紹介します。このアルバムを含む1970年におけるジョー・ボイドのプロデュース作品リストっす。インクレが3枚!1年で10枚って!今のプロデューサーが聞いたら卒倒しそうなありえない枚数でしょうね。
こちらです―
 
Vashti Bunyan/Just Another Diamond Day
Nick Drake/Bryter Layter
Fairport Convention/Full House
Fotheringay/Fotheringay
The Incredible String Band/I Looked Up
The Incredible String Band/U
The Incredible String Band/Be Glad For The Song Has No Ending
Chris McGregors Brotherhood Of Breath/Brotherhood of Breath
John & Beverley Martyn/Stormbringer!
Geoff & Maria Muldaur /Pottery Pie
 
「明日はリチャードのギター録りがあるから朝8時に起こさなあかんな、よし。あれ?リチャードってフェアポートだっけ?インクレだっけ?」状態だったかもしれません。
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【レコ妖怪向けレビュー】
69年にして5作目、前作『Wee Tam & Big Huge』が2枚組でしたから、厳密にいうとなんと6枚目というおっそろしいペースでリリースしていたインクレのUKオリジナル盤です。神戸のウォータールー・レコーズさんより入手しました。69年なのでおそらくステレオのみのリリースだと思います。エレクトラの初回レッド・レーベルでコーティングはなしですが、豪華なダブル・ジャケットです。かわいらしいリコリスとローズがジャケに初登場ということで、これはセコいCDサイズなんかでなく絶対にLPでもっとかなあきません(無理矢理)。というよりジャケ見開き左部分のロビン・ウィリアムソンによる味のあるシュールなイラストと右側のマイクのイラストは、ほんまにLPサイズじゃないと全然インパクト違うと思います。もちろん紙ジャケCDなんてのももってのほかっす!レコのA面は当時にしては珍しく25分以上あって、B面も24分ちょっとあります。なので46分のカセットに入りきりません(まだいってる)。じゃあ何か?46分以下が標準だったLPよりも溝幅が狭い分、音質が落ちるんじゃないか?え?と思われるかもしれませんが、全くそんなことはありません。まあ私のバカ耳で聴いた限りですが。それにプロデューサー&エンジニア・コンビがなんといってもジョー・ボイドとジョン・ウッドですから、そのへんは保証付きです。って全くレビューになってませんね。でもホント音いいですよ。こういった基本的にアコースティック楽器で音数が少なく、簡素な演奏が主体の音楽は特に音質的にCDよりもレコの方がぶっとく聞こえるような気がするんですが、それもただの思い込みですかね?昔これをとり上げた時は、マイクとロビンの才能のバランスがとれた作品なんて書いてましたが、作者クレジットやリード・ヴォーカル担当をよく見たら、ロビンの貢献度の方が全然大きいですね。すいませんでした。
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【レコ妖怪向けレビュー】
神戸のウォータールー・レコーズさんより入手したデビュー・アルバムのUKオリジナル盤です(EUK-254)。おそらくモノラル盤のみのリリースだと思います。エレクトラのオレンジ・レーベルで、ファースト・プレスとどう違うのか知らないですがセカンド・プレスらしいです。レーベル面に“Polydor Records Limited”とあって、どうやらUKエレクトラは70年頃までポリドール・レコードによる配給体制だったみたいです。ジャケットは両面コーティング、裏ジャケはいかにも昔のアメリカのフォーク&ジャズ・レーベルっちゅう感じで、マイク・ヘロンによる各曲解説が載った活字だらけのデザインす。ちなみにこれのアメリカ盤はジャケ違いで、廃車になったボロボロのバスかトラックの前で3人が佇んでいる写真が使われてました。しっかしまだ子供みたいにあどけないマイク・ヘロンはいいとして、これみんな223歳ですよ。特に左のクライヴ・パーマー(2014年没)の老けぶりはどうしたもんやろか… まだ次のアルバム『5000スピリッツ』で開花するインクレ・ワールド―といってもジャケほどサイケデリックな内容でもなく、あくまでフォークです―のようなカラフルな作りではなく、アコースティックなサウンドが主体となったアルバムなので、逆にいつまでも古くならないです。1曲目(“Maybe Someday)、いきなり飛び出してくるロビンのフィドルはCD以上にレコで聴くと度肝を抜かれるぶっとさ、生々しさがあって、すごい臨場感です。CDでは何度も再発されたアルバムなんですが、たぶんレコでは再発されたことはなかったんじゃないかしら。数々のマニアックな中古レコ屋さんで一度も見かけたことはなかったような気がします。もしかすると2000年以降にLP再発されたかもしれんが、ぼったくり価格やろ?なのでレコで聴きたい若者よ、UKオリジナル盤を探そうぜ!状態によっては万札が飛んでいくかもしれませんが、そんなものはまたバイトすればいいんです。説得力なし!おわり。
イメージ 1Past, Present & Future』に続く6作目です。いかにも70年代半ばのレコにありがちなやらしいジャケのせいで昔は全く買う気が起こらなんだですが、これ一目置かなしゃーないヒプノシス制作だったんですね。よく見ると真ん中に教会の司祭風の人が光を放ちながら立っています。どういうコンセプトなんでしょうね?その右にいる女性がオープニング・トラックの“キャロル”さんなんでしょうか。プロデュースはアラン・パーソンズ、アメリカで大ヒットした作品だそうで、なるほど一般ピーポーに受けそうな耳当たりのいいサウンド・プロダクションですが、核にあるのはデビュー以来ずっと維持してきたポップなフォークロック満載のいつものアル・スチュワートです。まず何より、どれも曲自体が魅力的ですね。この人ホンマすばらしいメロディ・メーカーだと思います。本人にとっては自分のやりたいことがばっちり商業的成功につながった理想的な展開だったんではないでしょうか。ドラムは元フォザリンゲイのジェリー・コンウェイ、アコギにはフェアポートのサイモン・二コルも参加しています。ジェリーはフォザリンゲイやサンディ・デニーのソロなんかでドカドカと叩きまくっていた頃に比べると、リズム・キープに徹した歌物のお手本みたいなドラミングになっていて、そういうところはおそらく尊敬していたであろうデイヴ・マタックスの職人技に近いもんがあります。アルらしいポップでメランコリックでアップ・テンポなナンバーが並ぶ中、ルーツを感じさせる“Next Time”のようなブリティッシュ・フォーク・スタイルも忘れていないのがうれしいっす。ブルージーな雰囲気なんですけど、途中の展開なんか「あ~やっぱブリティッシュやのう~」と思ってしまいます。あと“The Dark and Rolling Sea”に出てくるアコーディオンもたまらんです。こないだここでとりあげた前作の『Past, Present & Future』と同じく、英エソテリックから2015年に再発されたリマスターCDで、残念ながら今回はボートラなしです。
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【レコ妖怪向けレビュー】
ISB3rdアルバムのUKオリジナル盤を神戸のウォータールー・レコーズさんより入手しました。エレクトラの初回オレンジ・レーベルっす!当時はモノラルとステレオ両方がリリースされたみたいですが、これはステレオです。67年以降のこの手のカラフルな音楽はステレオの方がおもしろいケースが多いと思います。特にこれはプロデューサーがジョー・ボイドやし!裏ジャケットの左下に、‘manufactured by Polydor Records’とあるので、たぶん英国に進出したばかりだったアメリカのエレクトラはポリドールにレコの製造を委託したんですね(その時に英国開拓を任されたのがエレクトラのスタッフだったジョー・ボイド)。両面コーティングで、裏ジャケに曲目が載っていない代わりに、曲目リストと全ての歌詞が載った薄ピンク色の二つ折りのインサートがついています。そういえば昔このアルバムをとりあげた時、裏ジャケの写真を載せてました。80年代にたしかドイツ盤で再発された時に表と裏のジャケが反対になっていて、インクレ初心者だった私はそのまま信じてしまいました。そらそうですよね。おかげで今でもこっちのジャケに違和感をもってしまいます。ウォータールーさんのサイトのコラムにも書いてありましたが、以前は今ひとつの印象だったのに、何年もいろんな音楽を聴いたあとにここに戻ってくると、「あれ?こんなに聴きやすかったっけ?」と思ってしまうような音楽です。傾向は全然違いますが、ザ・バンドとかヴァン・モリソンの『アストラル・ウィークス』もそんな音楽ですね。ドラム・セットが入っていないことと、起承転結があいまいな楽曲ばかりということで、欧米ロック好きよりアフリカとアジア含めた民俗音楽好きにすんなり入っていけそうな人たちです。たしかにこの音楽にロックのドラムが入ると絶対つまんないと思いますね。インクレのオリジナル盤は他にもいろいろ手に入れたので、またとりあげたいと思ってます。よろしくっす!
イメージ 1ヨハン・クライフが亡くなりました。

68歳、肺癌でした。

何年か前のクライフのインタビューで印象に残ったことばがあります。
正確に覚えているわけではないのですが、たしかサッカー選手を目指す子供たちに関する話の中でこんなふうなことをいってはりました。

子供時代からずば抜けた才能を示していたメッシやイニエスタのような選手ばかりではない。中には仲間よりも技術的に劣った子供もいるし、足の遅い子もいる。
大事なのは仲間がお互いに弱点をカヴァーし合うことを覚えることだ。
究極の目的は試合に勝つことではない。

人格者、哲学者としてのクライフらしいことばだと思いましたね。

R.I.P.

イメージ 1文字通り、英フォーク初心者向けの3枚組CDです。薄型のプラケースに入ったCD3枚、紙のスリップケースに入ってます。それぞれのCDにはタイトルがついていて、CD1FOLK ROOTSCD2FOLK ROUTES、そしてCD3FOLK GROUPSです。めちゃめちゃ大ざっぱにいうと、アン・ブリッグス、デイヴィ・グレアムらのルーツ的な人たちに始まって、バート・ヤンシュ、ニック・ジョーンズ、ラルフ・マクテルらのややシンガーソングライター的側面をもった人たちを経由して、ペンタングル、フェアポート・コンヴェンションらに代表されるフォーク・バンドに行く着くっちゅう流れです。うるさいトラッド・ファンからすれば、なんでバリー・ドランスフィールドとかシャーリー・コリンズが入っててスティーライ・スパンが入ってないねん!といった不満はあるでしょうが、こういう企画にそういう不満はつきものですし、あれもこれもといっとったらキリがないんで、この際文句はいいません。で、なんでアルビオン・カントリー・バンドが入ってないねん!マーチン・カーシーの娘さんのイライザ・カーシーや、おそらくかなりマイナーな90年代、2000年代の新しいアーチストも散りばめられていて、「あ、この人いいな」と思ったらそれぞれ勝手に掘り下げてくれ、みたいなあえて広く浅めな編集というかコレクションになってます。これはこれでいいんではないでしょうか。ただし!フェアポートの“Matty Groves”に関してはなぜか79年のライヴ音源からの収録で、早々とフェイドアウトするといういいかげんさです。BGM代わりにテキトーに聴いていたところ、マーチン・カーシーの“Famous Flower Of Serving Men”というトラッドのメロディって、そのフェアポートの“Matty Groves”のスタジオ・ヴァージョン後半のインスト部分、あのわけのわからない拍子のテーマ部分のメロだったことに気づきましたよ。これはちょっとした個人的発見でした。マーチンのその歌は、英フォーク・ファンにとってはたぶん基本アイテムのひとつだと思いますが、71年のアルバム『Shearwater』(未聴)に入っているそうです。気になる方はこの“Famous Flower~”聴いてみて下さい。くり返しばっかりで退屈です!