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メイン・サイトのアルバム・レビューのところのライナーノーツを1つ追加しました。
 
フェアポート・コンヴェンションの『Live In Finland 1971』です。
リチャード・トンプソンの脱退直後だったこの時期の数々のエピソードや苦労話なんかをデイヴ・ペグとサイモン・二コルが証言しています。

よろしくお願いいたしやす。

イメージ 1つい最近リリースされた未発表&レアなデモ音源集です。セッション&シングル集として出たvol.1がバンド活動中の83年でしたから何と33年ぶりの続編です。人を喰った彼ららしいというか、当時いかにテキトーに「vol.1」と付けたっちゅうか… おかげでモノクロセット大好きだった友人1人は33年の間に死んじまったじゃないですか。しかし彼らのファンとしてはジャケ含めて手に入れずにいられない1枚だと思います。ちなみにこのアルバムはサードの『The Lost Weekend』で叩いていた3代目ドラマーのニック・ヴェソロウスキに捧げられていますので、最近亡くなったようです。内容は目玉といえるデビュー直前の78年が2曲、83年が2曲、85年が4曲、86年が2曲、87年が2曲、89年が2曲、そして91年が2曲の全16曲です。アルバムごとに毒とユーモアが薄れていき、89年の再結成以降はメタリックなギターをフィーチャーした並のバンドになってしまったような印象同様、ここでも86年までの音源がけっこうおもしろかったです。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドみたいでカッコいい78年の“I Wanna Be Your Man”と、83年の“Cilla Black”という歌が続けて入ってますが、ビートルズとは全く関係なし!たしかに初期でも今ひとつ魅力に欠けるパッとしない歌もちょこちょこと入っていて、お蔵入りになったのも納得なものもあるんですが、中にはなかなかいい曲も入ってます。改めて聴くと、再結成後の彼らは真剣に60年代後半のブリティッシュ・ロックをやろうとしていたのかなと思いました。まあその頃のアルバムをまともに聴いたことがないので、あくまでここでの曲と何年か前に出たシングル集CDでの印象ですが。91年の“Black Are The Flowers”はスミス(モリッシー/マーの)にこんなのなかったでしたっけ?そういえば最近、ツェッペリンの“天国への階段”が盗作として訴えられて棄却されてましたが、あんなので盗作いわれたらチャック・ベリーはいったい何人訴えなあかんねん!とか、ニック・ロウはいったい何人に訴えられなあかんねん!と思いましたね。そんなわけでファンなら買って損はないアルバムっす。音質は全体に良好です。
イメージ 1もともとは1986年にエル・レコードから『Fin』というタイトルで出た第1期のライヴCDです。ジャケもタイトルも変更されたのでわかりにくいっちゅうか詐欺っぽいですが、裏側にちゃんとそう書いてあります。しかしこのしょーもない表ジャケと、わけのわからない安っぽい裏ジャケ(及びCD盤面)のデザインはなんとかならんかったんでしょうか。オリジナル・レコは見開きでメンバーの写真が豊富に載っていたのに… 味気ない2つ折りのブックレットにもデータらしいデータはなく、トラック・リストと作者クレジットくらいしか載っていません。初期の代表曲がたくさん詰まった19曲入り50分強の内容は申し分ないです。基本モノラルで音質は決して良いとはいえませんが、当時の海賊盤のような聞き苦しさはなく、歌と各パートのバランスはまずまずだと思います。よりによって一番音の悪い“The Jet Set Junta”は、“Heaven Can Wait”という別タイトルで入ってます。オリジナル・ドラマーのJDヘイニーはスタジオ・ヴァージョン同様、猛烈なテンポで叩いていて、走りまくりの突っこみまくりです。でもやっぱりこの人のドラムは気持ちいいっすね。2代目、3代目のドラマーの方が断然安定しているので、ライヴとしてはそちらの方が好ましいといえばそうなんですが、そのへんは3人のドラマーが混在した(たぶん)このCDで聴き比べてみるのもおもろいと思います。レスター・スクエアのギターはぶっ飛んでいてイカレていて、相変わらずかっこいいです。ビドのヴォーカルはクールですっとぼけたスタジオ・ヴァージョンの印象と全く同じで、当時のニュー・ウェイヴ・バンドとしては音程もしっかりしているし、ここでの女性コーラスとのハーモニーも美しいです。このように内容がすばらしいだけに、全体にもうちょっと音がよかったらなあ…とは思います。大昔の92年に出たCDなので、オリジナル仕様のリマスターCDを出し直してほしいっすね。もちろん紙ジャケでなくて普通のプラケースで!紙ジャケやったら買わんからな。
イメージ 1フェアポートの新しい未発表ライヴCD届きました。が、ちょうどこれの発売日201663日にデイヴ・スウォーブリックが亡くなってしまいました。75歳でした。ロック/フォーク全盛期に20代を過ごし、酒やドラッグでムチャをしたためかこの世代は60代で亡くなるミュージシャンが多いんですが、よく生きたと思います。一時車椅子に乗っていて、大丈夫なのかなと思ってからだいぶたつので、ついにという思いです。おつかれさまでしたスワブ!このCDはリチャード・トンプソンが脱退してからリリースされたアルバム『Angel Delight』の頃のライヴで、サイモン・二コル、デイヴ・スウォーブリック、デイヴ・ペグ、デイヴ・マタックスという布陣です。心配していた音質は大変すばらしかったです。たぶんライン録音だと思います。ドラムとベースが中央、フィドルが右、ギターが左、ヴォーカルとコーラスは曲によって左右に振ったり中央だったりいろいろです。とにかく生々しくて臨場感あふれるド迫力サウンドで、スワブのフィドルとサイモンのギターはギュルンギュルン、マタックスのベースドラムはドスドスドスドス、ペグのベースはブンブンとものすごいパワーです。予想通りマタックスは叩きまくっていて、“Sir William Gower”や高速ブルーグラスの“Mason’s Apron”ではかっちょいいドラム・ブレイクがガンガン出てきます。ライヴ音源や別ヴァージョンなんかではおなじみの“Matty Groves”や“Sir Patrick Spens”も、この頃になると少しアレンジを変えてやったりしていて興味深いです。トータル35分と短いですが、そらもう圧倒的に濃厚な演奏なので、これだけでお腹いっぱいになるほどです。ただ欲をいえば、『Angel Delight』収録のトラッド“Banks Of The Sweet Primroses”も入ってればうれしかったですね。『Full House』期のライヴ盤を愛聴しているフェアポート・ファンは必聴必携のCDっす!
 
以下トラック・リストです。
 
1. Bridge over the River Ash
2. The Journeyman's Grace
3. Mason's Apron
4. Sir Patrick Spens
5. Matty Groves
6. Sir B. McKenzie's Daughter's Lament
7. Sir William Gower
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ディック・テイラーのギターリフがかっちょいいプリシンのいかしたナンバーっす。セカンド・アルバム『Get The Picture?』のライナーにおもしろいことが書いてあって、そうなんや~と思ったのでご紹介したいと思います。この曲、私もそうですが、いかにもワルでとっぽいプリティーズらしく、幻覚剤のアシッドのことであるLSDを題材にしたドラッグ・ソングだとみなさんも思っていたんではないでしょうか?ところが「LSD」には、1971年まで使われていた英国の通貨単位「ポンド=シリング=ペンス」の意味もあるそうです。なんで「PSP」じゃなくて「LSD」やねん!というかというと、もともとはラテン語からきていて、ポンドを意味するLがリブラ(Libre)、シリングのSがソリドゥス(Solidi)、ペンスのDがデナリウス(Denari)だからだそうです。そういえばよく見たら、ジャケに載っているこの歌のタイトルの「L」部分はポンド・マークです。で、さらにおもしろいのは、たぶんイギリス人のオッサンだと思いますが、YouTubeに投稿した彼のコメントによると、この歌が書かれた当時は幻覚剤のアシッドやLSDっちゅうことばはまだ一般的ではなかったので、この歌を聞いた多くの人は単に「金」の歌だと思ったんではないか?ということでした。つまり当時はLSDといえば通貨単位のことであるというのが一般的だったってことです。しかし!そこはさすがアングラの帝王プリティーズ、うまいことダブル・ミーニングをもたせてこれを書いたそうです。しかし!やはりプリシン、製薬会社からクレームがついて放送禁止にされてしまいました… 悪役の彼ららしいガックシなエピソードですね。それではどうぞ!
 

みんながオレのLSDのことをうわさする
話は簡単さ 金はただじゃない

オレはいつもこういう 人生はそれほど暗いもんじゃない
全てはギヴ・アンド・テイクなのさ

 
そう オレにはLSDが必要
LSDが必要 LSDが必要
LSDが必要 LSDが必要


幸運は奴の行動の中にある
気をつけなければ 奴は突っ走ってしまうかもしれない
でものん気に隠しもっていやがる
LSD LSD LSD

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【レコ妖怪向けレビュー】
ジェフ・リン在籍最後となるセカンド・アルバムです。ファースト同様、リバティからリリースされたUKオリジナル盤です(LBS 83221)。おそらくステレオのみのリリースだと思います。ジャケは両面とも美しいエンボス加工っす。なぜか1曲目の“Come With Me”だけ、ヘッドフォンで聴くと左右チャンネルの音質が違う例の疑似ステレオになっています。あとはちゃんと左右の分離したステレオですが、69年にしてはそれほどいい音ではないです。ちょうどキンクスの『Village Green』のようなくすんだ感じの音質ですね。ドラムのロジャー・スペンサーによれば、このアルバムのプロデュースを担当したジェフ・リンはほとんど名ばかりのプロデューサーだったそうで、プロデューサーに憧れていたジェフは最後までハッタリかましてはったそうです。「ん~、スぺちゃん、もうちょっとスネアのピッチ上げてみようか?鼻毛3本ぐらい。そうそう、いいね~。バッチリじゃん?」とかいってたんでしょうか。裏ジャケにはミキシング卓の前でつまみをいじりながらすました顔で写っているジェフがいますが、これ完全にハッタリすね。わかっとんか~って。そういえば昔、テレビで誰だったかシンガーかバンドのプロモーション・ビデオがたまたま流れていて、そのプロデューサーか何かを担当した美空ひばりの養子の加藤和也がちょこちょこカットインされてたんですね。真剣な表情で卓のつまみを上げ下げするその時の加藤さんの姿がすごく可笑しかったのを覚えています。わかっとんか~って。まあプロデューサーっちゅう仕事は、ケース・バイ・ケースでハッタリかます側面もあるかもしれませんが、基本的に理工系の知識が必要なエンジニアは完全に職人の仕事なんで、ヘタに手を出すと間抜けなことになってしまいます。そう考えるとハッタリではないという意味で、エンジニアからプロデューサーに転向した人とか、エンジニア兼プロデューサーってたしかにカッチョイイすね。
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【レコ妖怪向けレビュー】
ジェフ・リンのグループのデビュー作で、リバティからリリースされたモノラルのUKオリジナル盤です(LBL 83132)。デビュー作にしてはとにかく豪華な作りで、ゲイトフォールド仕様のジャケは表裏金色コーティングっす。見開き部分には前年のビーの『サージャント・ペパー』のジャケに触発されたのか、様々な同業者や業界人らの顔写真が80名近くペタペタと貼りつけてあって、おまけに裏ジャケにはイラストでそれぞれの人物に番号をふってちゃんと名前が分かるようになっています。なぜかブライアン・ジョーンズのところだけ王冠の絵が描いてあって(キングってこと?)、見開きの写真を見ると一瞬首から上が浮いているように見えます。ブライアンが溺死するのはこのアルバムの翌年の69年ですから、ちょっと薄気味悪いですね。アイドル・レースのCDは昔ここで載せた2枚組の『Back To The Story』という決定版がありますが、それはステレオ・ヴァージョンでの収録でした。紙ジャケの方もステレオなんすかね?正直いいますとこのモノラル、あまり音がよくありません。いや、音が悪いというより、全体に奥に引っこんだこじんまりしたミックスで、イマイチ迫力にかけるんです。まあ、もちろん毎度のあくまで自分のバカ耳での判断なので、参考程度に聞いてくださいませ。このアルバムはステレオの方が圧倒的に気持ちいいと思います。ビーの『サー』はモノラルでも全くこじんまり感はないし、ステレオより好きっちゅう人も多いでしょうから、モノラル・レコーディングの奥深さを感じます。あまりこの手のバンドにはなじみ深くはないリバティ・レコードって、ユナイテッド・アーチスト・レコードと何か関係があるようなイメージをもってますが、UAの方がえらいんかな?(えらいって…) リバティがのちにUAの傘下に入るんでしょうか?テキトーに調べてみたんですがわかりませんでした。
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【レコ妖怪向けレビュー】
モノラルのUKオリジナル盤です(NPL 18193)。6768年リリースのUK盤はモノラルとステレオでかなり印象が違うので、ブリビ・レコ妖怪はビーの『サージャント・ペパー』と『ホワイト』、ザ・フーの『セル・アウト』、スモール・フェイシズの『スモール・フェイシズ』(Immediate 1st)とともに両方もっとかなアカン1枚です。個人的にはサイケデリック時代のレコはカラフルなステレオの方がふさわしいと思うし、このキンクスの名盤も全体にはステレオの方がおもろいですが、個々の曲を聴いていくとたまにモノの方がいいなあ~と思う場合もあります。ここでは“Lazy Old Sun”すね。サビの「You make the rainbows and you make the night disappear~」部分のレイ自身のコーラスがステレオよりも大きく、主旋律と同じくらいのレベルでミックスされていて、そら気持ちいいんです。あとは“Situation Vacant”のエンディング(フェイドインするところ)のピアノがわずかにズレて入ってきて、最後唐突に終わったり、“Tin Soldier Man”のイントロが2拍分短かったりしますが、“Lazy Old Sun”の違いに比べると大した問題ではないと思います(でもキンクスファンにとっては大変な問題)。そういえばキンクスの60年代のUKオリジナル盤のジャケって、他は全てコーティングされているのに、このアルバムだけなしですよね。たぶん。なので現存するオリジナル盤は汚れていたりハゲていたりします。ただし分厚く丈夫な紙質のおかげで、ペンラペンラの『ヴィレッジ・グリーン』と『アーサー』ほどはボロボロの状態でない場合が多いと思います。もしこのアルバムに実は少数プレスのコーティング・ジャケが存在した!てことになったら私らキンカーは血眼になって探さなイカンのでもうしんどいですね。キンカーって!おわり!
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【レコ妖怪向けレビュー】
アイランド・レコードからの2枚目、通算9作目(!)に当たるUKオリジナル盤を手に入れましたよ。個人的にはアイランド時代の5枚の中で最高作だと思ってます。見開きジャケット(ゲイトフォールド)仕様で、見開き部分には全曲の歌詞が載っています。ジャケはコーティングでもエンボスでもないザラザラの傷みやすい紙質で、購入したレコもところどころにハゲがあります。71年なのでレーベル・デザインはレコマニアには馴染み深いパーム・ツリー・アイランドっす。特に自分の場合は英フォークのレコばかりを聴いてきた時期が長いんで感じることなんですが、パーム・ツリーのレコはどれもが入力レベルが大きくてクリアでぶっとい音の印象があります。このレーベル・デザインの期間は、だいたい7071年の間のどこかから73年頃までだと思います。で、ここでまたまたジョー・ボイドさんの登場です。このレコのリリース当時、ジョーはすでにアメリカに帰国してしまっているので、プロデューサーは彼ではなく、エンジニアもジョン・ウッドではありません。プロデューサーでもエンジニアのせいでもない決定的な音の違いはレコーディング・テープにあったっちゅう話です。ジョーは次のようなことをいってはります―
 
「私がロンドンでレコードを作って過ごした5年間(6570年)に、テクノロジーは莫大な飛躍を遂げた。4トラックに始まって、私たちは8トラックに進み、それから16トラックに進んだ。テープの幅はそれぞれ倍になっていった。そして私がカリフォルニアに向かう直前に衰退は始まっていた。利巧な者はそれまで16トラックだった2インチのテープに、24トラックがいかに圧縮されて押しこめられるかを理解していた。トラック幅の減少はいちじるしく音質を低下させた。今日、数少ない若手のエンジニアたちは、2インチ・16トラック・レコーディングのサウンドがいかにすばらしいかを知っている。もちろん全ての中で最高のサウンドといえるのは、直にステレオに録り、ミキシングなし、オーヴァーダブなし、そしてデジタルでないことだ」
 
なるほど、24トラックの最初の導入が72年頃だとすれば納得のいく話ですね。今でも2インチ16トラックのアナログ・レコーディングというマニアックな現場で作られたプロ・ミュージシャンのレコってあるんでしょうか?そういう今の作品があれば聴いてみたいっす。