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1970418日にサンフランシスコのファミリー・ドッグという会場で行なわれたアコースティック・ライヴのCDです(デジパック仕様)。阿倍野のデッド・ショップ、‘ベアズ・チョイス’で入手しました。ジェリー・ガルシアの元奥さんのマウンテン・ガールさんが秘蔵していたらしいライヴ・テープが基となって、ライノ・レコードが2013年にリリースした割と新しめのブツっすね。デッドのCDは知らない間にちょこちょこと出るので、これもお店で発見するまで知りませんでした。カントリーに接近した2枚の名盤、『ワーキングマンズ・デッド』と『アメリカン・ビューティー』の直前に当たる時期なので、それらのアルバムに先駆けてステージで演奏されたナンバーもけっこう入っていて、リラックスしたカントリー色強い心地よいライヴです。音質は普通に良いです。ところどころでエレクトリック・ギターも使われています。ビル・クロイツマンは参加しているのかどうかわかりませんが、数曲で控えめなドラムも入っています。お客さんの拍手はパラパラパチパチといった感じで、それも逆にアット・ホームで親近感があって、バンドとしてのユルユル即興路線とは違ったもう一つのユルユルサイドが垣間見られるなごやかなライヴです。もちろん全曲聴きものですが、特に珍しいのが、後半のピッグペンによるブルース弾き語りの6曲で、これだけで約20分あります(全体では70分強)。半分がライトニン・ホプキンスのカヴァーです。これを聴くと、彼は根っからのブルースマンだったんだなと思います。めっちゃクールでイカしてますぜ。たしかにマニア向けの1枚かもしれませんが、マニアではない私でも楽しめるので、自信をもってオススメしときます。それでは以下トラック・リストです。

1. I Know You Rider
2. Don’t Ease Me In
3. Silver Threads And Golden Needles
4. Friend Of The Devil
5. Deep Elem Blues
6. Wake Up Little Susie>
7. Candyman
8. Cumberland Blues
9. New Speedway Boogie
10. Me And My Uncle
11. Mama Tried
12. Katie Mae
13. Ain’t It Crazy (The Rub)
14. Roberta
15. Bring Me My Shotgun
16. The Mighty Flood>
17. Black Snake
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シンコー・ミュージックの別冊として最近フェアポートの本が出ました!なして今ごろ?と思ったらどうやらフェアポートの結成50周年7CDボックスと新譜が出たんですね。今のところどちらも買う予定はないですが、表紙には「祝・活動50周年!!」と書いてあって、とりあえずものすごいことです。監修はこの手のフォークやアイリッシュ・フォークのエキスパートで、大のリチャード・トンプソン・ファンである五十嵐正さんで、バンドの詳しい歴史と全ディスコグラフィー、そして彼自らがした各メンバー(及びロジャー・マッギン、元奥さんのリンダ・トンプソン他)へのインタビューと、海外のインタビューの翻訳転載が満載の大変読み応えのある1冊となっています。「そんなことがあったんだ!」とか「そういうわけだったのか!」っちゅう話もけっこう出てくるので、初心者もマニアも両方に有用な本だと思います。後半はリチャードのキャリアにドカンと焦点が当てられていて、彼の膨大な作品全てが詳しく解説されています。個人的にはリチャードに関しては、リチャード&リンダの『ポア・ダウン・ライク・シルヴァー』までしかカヴァーしていないので、逆に興味深く読めましたし、ソロ時代の傑作といわれる何枚かは改めて聴いてみようかな~と思わせてくれました。で、きのう久しぶりに「どれどれ、自分には良さがわからんかったが今聴いてみるとどないやろか?」いうことで、レコラックからリチャード&リンダの最終作『シュート・アウト・ザ・ライツ』を引っ張り出して聴いてみたんですが、なるほど!今聴くと・・・やっぱりダメでした(あのね)。リチャード印のロックなギターはカッチョイイんですが、どうも楽曲的にもっさいというかつまらんのです。“Back Stage Slide”では得意なはずのトラッド色濃厚なギター・フレーズにやり過ぎ感漂ってるし、もろバーズな“Wall Of Death”もテキトーに作っただろ!感漂ってます。あくまで個人的にはですよ。そんなわけで、これからフェアポートに期待するのは、サンディとアシュリー在籍の『リージ&リーフ』期の完全ワン・ステージCDのリリースっす!
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ジョニーの自伝読みましたよ。いやあ、丸山京子さんの訳も読みやすく、大変おもろかったです。厳密にはマンチェスター生まれのアイリッシュだったんですね。生い立ちから奥さんのアンジーとの出会い、パンク・ロックとの出会い、モリッシーとの出会いからザ・スミス結成の経緯が、よくこれほど覚えているなと思うほど細かく細かく書かれています。もちろんスミス解散以降~現在までもカヴァーされています。ジョー・ボイドの『ホワイト・バイシクル』もそうでしたが、本当に音楽が好きで好きでプロフェッショナルなバンドやプロデューサーになった人って、いちいち過去の詳細なことまで覚えているものなんですかね?ロイ・ハーパーやキャプテン・センシブルなんかだと、「ガッハッハッハッ!自伝を書けだと?過去のことなんざあ忘れちまったぜ。前進あるのみよ」とかいいそうですよね。まあ本国ですでに出てるのかもしれませんが。

一番知りたかったスミス解散の真相は、やはりマネジメントの問題だったそうです。ジョニーのいうことをそのまま受け取ればですが。ウフフフ。ただジョニーが1人でマネージャー役をやってたなんて、たしかにムチャな話だと思いました。あと知りたかった『ミート・イズ・マーダー』から『クイーン・イズ・デッド』へのとんでもない音楽的飛躍に関しては、残念ながらそれほどの記述はありませんでした。

特に納得したのは、自分がパンク/ニュー・ウェイヴ世代のミュージシャン(そして労働者階級)として、政治的な主張をするのは当時当たり前のことだったし、反サッチャーになるのも当然だったと証言しているところです。で、こんなこともいってます―
 
「ソロになり、インタビューを数多く受けた。そこで気づいたのは、いかに僕が政治的なアーティストだと思われていたか、ということだ。ザ・スミスのイメージというのもあるだろうが、それは裏返せば、今日のミュージシャンに政治的、社会的発言をする者が少ないことの証だろう。でも僕の世代のミュージシャンは、社会問題や体制に対する発言を求められてきたのだ。サッチャー政権下のイギリスで成人を迎え、その後を見続けてきた僕には、結局どんな時も権力は特権階級の味方で、特権階級を守るための不平等を維持するため、社会の弱者は永遠に劣等に置かれるよう仕組まれているとしか思えない。その思いは年々強まるばかりだ」
 
この部分は、以前ここでとり上げた本『チャヴ:弱者を敵視する社会』(オーウェン・ジョーンズ著)の内容をひと言でいえば、まさにこれに尽きるっちゅうくらいの発言ですね。
 
とにかく!スミス・ファン以外にも80年代以降の英国音楽好きなら、楽しめること間違いなしの1冊です。
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【レコ妖怪向けレビュー】
ラフ・トレードからリリースされたUKオリジナル盤手に入れました。80年代のUKオリジナル盤にしてはけっこう高価でしたが、自分の中ではブリティッシュ・ロックが生んだ最後の名盤!なので全く後悔なしです。ジャケットは64年のフランス映画『L'Insoumis』(邦題:さすらいの狼 マカロニ・ウェスタンみたいなタイトルです)に出演していたアラン・ドロンだそうです。実は恥ずかしながらこれを知ったのはここ10年以内のことで、ずっとアルバム・タイトル通り女王の死体かと思ってました(あのね)。まだこのレコにはあの悪名高い(?)バーコードがないのがうれしいですね。よく覚えてませんが、86年だとそろそろレコにバーコードが使われ始める時期じゃなかったでしたっけ。ぎりぎりセーフだったのかな?見開きジャケットの内側には全曲の歌詞とモノクロのメンバー写真が載っています。今、最近出たジョニー・マーの自伝を読んでいて(スミスファン必読!)、マーによると、モリッシーのうしろで寒そうにこわばった表情で写っているのが気に入らなかったのに、なぜかこの写真が使われてしまったそうです。あと専用の内袋もついていて、もしかしてこの写真もアラン・ドロン?CDと聴き比べてみたところ、毎度のことながら私のダメ耳には全く違いが分かりませんでした。ただ80年代になるとデジタル技術の発達で、レコの音自体がCDに近づいていたってのはあると思います。そういえばこれもジョニーの自伝で知りましたが、“There Is A Light”なんかに出てくるストリングスは生のオーケストラではなく、エミュレイターだそうです。つまりシンセみたいなものだったんですね。これはちょっとびっくりしました。ちなみにもうすぐこのアルバムのデラックス・ボックスが発売される予定です。レココレの今月号はこのアルバムの提灯記事特集らしいので(コラ)、10年以上ぶりに買おうかと思ってます。ジョニーの自伝はまたここでとり上げようと思ってます。
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【レコ妖怪向けレビュー】
初回オレンジ・ボール・アイランド・レーベルのUKオリジナル盤です(ILPS 9081T)。これの後期ピンク・アイランド・レーベルなんてあるんでしょうか?人気バンドだったはずなので、初回プレス枚数が売れ残るくらい多かったのかしら。持っているのはステレオ盤ですが、おそらくモノラル盤は存在しないと思います。68年なのでありそうな気はするんですけど、見たことないです。ふにゃふにゃジャケのデビュー作『ミスター・ファンタジー』とは反対に、しっかりした厚紙を使たダブル・ジャケ仕様(内側フリップバック)で、見開き部分には8ページの白黒ブックレットが装着されているという大変豪華な作りです。おまけに盤自体も分厚く重量感があって、全体でかなりのズッシリ感があります。重さを測ってみると約410グラムありました。どうりでズッシリくるはずです。そしてさらにおまけに音圧がものすごいことになってます。昔書きましたが(またか)、“Pearly Queen”ではウィンウッドのソウルフルなヴォーカルがガツン!と飛び出してくるので最初はびっくりしましたね。『ミスター・ファンタジー』同様、大変迫力のある音のいいレコで、同じ68年のフェアポートのファーストと比べると雲泥の差があります。レコのサウンドとしてはビーのホワイトにさえも勝ってるんでないでしょうか?(これも昔いいました…) ウィンウッドは今も元気で歌っていてうれしい限りですが、デイヴ・メイソンもツルッパゲになって主にアメリカで(?)元気に活動しているようです。しかしこの4人のうちクリス・ウッドとジム・キャパルディが故人、ザ・フーもビートルズも半分が故人、スモール・フェイシズはケニー以外全員が故人です。キンクスはピート・クエイフが亡くなりましたね。そう考えるとストーンズは大昔にブライアン・ジョーンズとグラム・パーソンズを死に追いやった以外は全員健在です(語弊ありすぎ)。おそろしいバンドです。
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【レコ妖怪向けレビュー】
シールド未開封のUSオリジナル盤手に入れましたよ(EKS-74005 ステレオ)。久しぶりに気合入れて5桁価格のレコ買いました。が!当時から米盤のみにされていたシールド、シュリンク・ラップ(パック)のことですが、これがなかなか曲者なんですね。もう10何年も前に閉店してしまったので勝手に時効っちゅうことで暴露しますが、大昔ある輸入・中古レコ屋さんに務めていた頃、例えばお客さんから買い取った中古レコードの中に、ジャケがサラッピンで盤にもヒゲ(スピンドル・マーク)皆無の新品同様のやつがあったとすると、よく店長が私に「これ2番やってきて」と命令するわけです。実は‘2番’というのはお客さんが近くにいたりする時に使う隠語です。何をするのかというと、店の裏側にある倉庫にそのレコをもっていき、ヴィニール・ラップ・マシンいうのか、正式な名前は分からんのですが、そのマシンの台の上にまずレコを置いて、横にセットしてある筒状になったヴィニールをズルズルと引き出してレコ全体を覆うわけです。で、上から電熱線の入ったレバーを手でガチャンとおろすとレコの四隅が焼き留められてラッピングされるんですね。そのあとドライヤーを使ってヴィニールをシュリンクさせるんです。これで中古盤が新品に生まれ変わり、新品として店頭に並べられるというわけです。ヤクザやろ。でもけっこう当時はこれ、レコヤクザ界の常識だったと思います。そんなわけで今回このラヴのレコが届いた段階で私はそっこうでヴィニールをビリビリと破り、捨ててやりました。まあ本物だったとしても自分にとってヴィニールはただのヴィニールであって無価値なので要らんのです(日本盤の帯は価値大なので捨てないように)。とりあえず盤は新品(同様)で音も大変新鮮でよかったです。50年代のジャズのレコもそうだと思いますが、ジャケ含めた60年代の米盤のガッシリ感は欧州盤とはまた違った魅力がありますね。ただこのアルバムの問題点は、果たしてA面を聴き終わったあと、B面を占める1曲のためにわざわざレコをひっくり返す気になるのだろうか!という…おわり。
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【レコ妖怪向けレビュー】
モッズ、ブリティッシュ・ビート・グループらのお気に入りのガール・グループのサード・アルバムで、モノラル・ヴァージョンのUSオリジナル盤入手しました(Gordy 915)。大ヒット曲の“Dancing In The Street”をフィーチャーしたこのアルバムは、昔からレコ屋さんのモータウンのコーナーを探してもなぜかまず見つからなかったですね。大昔からあればほしいなあと思っていたレコなんですが、ありそうでない1枚でした。80年代初頭かそれくらいにモータウンの60年代の主要アルバムがアメリカ盤(もちろんLP)で一斉に再発された時期があったような記憶があります。その時にラインナップに並ばなかったはずはないような名盤なのに、すぐに売れてしまうからなのか、今回目にしたのが初めてのような気がします。“Dancing In The Street”、“Wild One”、そして“Nowhere To Run”の3大ヒット曲が入っている上に、ザ・フーがカヴァーした“Motoring”収録っちゅうのがまた人気盤の理由の1つじゃないでしょうか。こちらのダンサブルでクールでシンプルなオリジナルと比較すると、ザ・フー・ヴァージョンはえらいノリが悪いですよね。ちょっとリズム・パターン凝り過ぎたような感じです。他にもアルバム・タイトル通り、すばらしいアップ・テンポなダンス・ナンバーばかりが収められていて、あっという間に聴き終わってしまいます。最後の2曲―“Mickey’s Monkey”(ミラクルズ)と“Hitch Hike”(マーヴィン・ゲイ)が、当時のモータウンのアルバムにありがちな埋め曲の印象が強いですが、どっちかの代わりに、あのレジー・キングのジ・アクションがカヴァーした“In My Lonely Room”でも入れてほしかったところですね。ちなみにここ数年内にこのアルバムは国内CD化されていますので、音源自体は簡単に聴けると思います。
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【レコ妖怪向けレビュー】
UKオリジナル・モノラル盤です(CBS 63280)。6768年にかけて制作された多くの「目指せ!サージャント・ペパー」アルバムの中で個人的にベスト3に入るくらい好きです。手に入れたのは20年くらい前で、万札2枚はすっ飛んでいったはずです。先にステレオ盤を手に入れて狂ったように聴いているうちに、どうしてもモノラル盤もほしくなってきたっちゅうお決まりのパターンです。表側のみテカテカのヴィニール・コーティング、背表紙上下絞りです。アメリカ盤だったか再発だったか、裏ジャケが白黒になっているやつがありましたが、オリジナルはカラーなので気をつけましょう(何を)。この時代特有のカラフルなジャケに関しては賛否両論ありそうですね。内容をよく表わしているといえばいえそうだし、ちょっと雑な感じもするし。ムーヴの1stの手裏剣ジャケがかわいいと思いませんか?ジャケと内容の一体感ではキンクスの『ヴィレッジ・グリーン』に勝てるアルバムはない!と断言したいと思います。まあキンクスはああいうバンドですから、サマー・オブ・ラヴもサイケもほとんど関係ないですね。そういえばつい最近、職場のテレビをボーッと見ていたらこのアルバムの中の曲がコマーシャルに使われていました(どれだかは忘れました)。彼らの曲は昔からよくCMのバックに使われることが多いような印象があります。やはり日本では今でも人気があるんですね。うれしいことです。昔いいましたが(そんなんばっかりですが)、モノラル盤の1曲目“Care Of Cell 44”は‘walking the way……’で始まる大サビの直後に編集されていて、1コーラス分端折ってあります。よく聞くと音質が変わるのでつなぎ目がわかります。なんでこんないらんことしたんでしょうか?おかげで自分の中ではこのアルバムはステレオ・ヴァージョンの勝利っす。ステレオ/モノ両ヴァージョン収録のCDでもやはりこの違いは同じなんでしょうか?未所有なのでわかりません。
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世界的ベストセラーとなった本で、ブレイディみかこさんが大推薦し、日本でもベストセラーになるべきといっていた本を読みましたよ。400ページ近くある、物理的にも内容的にも重い重い1冊です。「チャヴ」というのは、偽物のバーバリーなんかを着た英国の無職、あるいはスーパーのレジや掃除夫なんかの低賃金労働をしている労働者階級の若者のことをさす侮蔑語だそうです。英国では今、こういった「下流階級」の人たちを笑い、さげすみ、差別する風潮があって、大変すさんだ世の中となっているそうです。著者のオーウェン自身は中流階級の若者ですが、鋭い洞察力、分析力と知性と道徳心と反骨と思いやりをもって、さてこういう世の中になったのはなぜか?誰の仕業なのか?とさまざまなデータと統計を用いながら考察していくという、大変説得力のある1冊となっています。簡単にいえば、って私には簡単にしかいえないですが、サッチャリズムの残した圧倒的な負の遺産、それを受け継いで政策で発展させていった保守化した労働党党首たちと、インターネット含むメディア、マスコミらの扇動的な報道がいっしょになって、いかにこのような状況を意図的に創りだしているかをひも解く本です。私たちが知らず知らずのうちに象徴として信じ込まされていることが実はとんでもない嘘だったり、ごく例外的なことがらだったりといった事例がこれでもかと出てきます。まさにサブタイトルにあるように、いかに弱者同士を反目させあって、中流、上流、特権階級が自分たちの利益を守り、さらに支配強化を進めていっているのか、その実態を暴いた内容となっています。帯にはこうあります―「イギリスがたどった道は日本がこれから歩む道」・・・読み進めるうちに、ああ、たしかに日本も今この道を歩みつつあるなと、ゾッとすること間違いないと思います。日本には今のところ移民問題と、目に見える階級問題は存在しないですが、労働組合の弱体化(させられたんですが)、能力主義(メリトクラシー)と自己責任による格差社会はそのまま同じ状況です。もちろんアメリカ、ヨーロッパでも同じですが。最後の方でオーウェンはこういっています―「億万長者のビジネスエリートたちがグローバル化したのであれば、労働者階級の人々もあとに続かなければならない。選挙にもとづく政府を人質にとって、多国籍企業が身代金を要求することができるのなら、その挑戦に立ち向かえるのは、強力で国際的な労働者たちだけだ。急成長するインドや中国の労働者と提携することで、イギリスの労働者は初めて、賃金や雇用条件の世界的な『底辺への競争』を食い止めることができる」 まるでほとんどマルクスの「万国の労働者よ 立ち上がれ」みたいな、いかにも左派論客らしい文章ですが、たしかにそのとおりだと思います。ブレイディみかこさんがよくいっている、「今は右と左の時代ではなく、上と下の時代」は的を得た表現でした。とても気の滅入る1冊ではありますが、これからの日本の指針となりうる本だと思いました。
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【レコ妖怪向けレビュー】
UKオリジナル・モノラル盤です(ILP 961)。レーベル・デザインは通称オレンジ・ボール・アイランドと呼ばれるピンク・レーベルで、おそらく年代的にモノラル盤ではこのデザインしか存在しないと思います。内側からレコを取り出す方式のペラペラの傷みやすいヴィニール・コーティング・ダブル・ジャケは、キンクスの『ヴィレッジ・グリーン』と全く同じです。なので保存状態のいいジャケはなかなか見つからない思います。セカンド・プレスかサード・プレスに当たるピンク・リムのパーム・ツリー・レーベルでは、かたい紙が使われたダブル・ジャケになっていて、通常の外側からレコを取り出す仕様になります。ほんでなぜかジャケ(裏ジャケもだったか?)に黒い縁取りが加えられるんですね。過去何度も書きましたが、このアルバム、モノラルもステレオも本当に音がよくて気持ちいいですよ。特に1曲目の…ってジャケのどこにも各曲のタイトルが載っていない不親切なアルバムです。せめて見開き部分にでも載せてほしかったですね。で、その1曲目の“Heaven Is In Your Mind”のベースとベース・ドラムのすんばらしい一体感は特にモノラル盤で感じとれると思います。意図したかどうかはわかりませんが、ベースとベース・ドラムの音質を近づけたミキシングが功を奏したんじゃないでしょうか。あとスティーヴ・ウィンウッドのヴォーカルだけになるところの空気感いうんですか?これもモノラル盤の方が気持ちいいです。ステレオ・ヴァージョンとのテイク違いは、たしかこの1曲目の後半と、最後の“Giving To You”で聞けたはずです。どう違ったのかは長いこと聴いてないのでよく覚えてませんが、ギターが別テイクだったような。音の良さ含めてこのへんはたくさんボーナス・トラックが追加された現行CDでも十分味わえますので、ブリティッシュ・サイケ・ファンは必携です。一瞬いいのかよくないのかわからないジャケ・デザインは、折り目を広げてみるとファンタジー氏の存在感が増して「おお~」となりますので、もっている方は一度やってみてください。