【レコ妖怪向けレビュー】
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ロビン・ウィリアムソン作”First Girl I Loved”のご紹介です。ロビンの中では最もカヴァー・ヴァージョンの多い歌だそうです(といっても5つくらい)。私はウィズ・ジョーンズがアルバム『When I Leave Berlin』の中でカヴァーしたやつしか知りません。他は誰なんでしょうね?シュールで抽象的で難解な歌詞の多いISBの中では、比較的伝統的なラヴ・ソングの形態をとっていて、部分的には多くの人が似たような体験をもつような内容です。最後の「僕の愛しい人」は時期的にやっぱりリコリスのことなんでしょうか?ジョー・ボイドによれば、ロビンは完全にリコリスの尻に敷かれていたそうですが。同じ67年か68年頃のイギリスのB級、いやZ級青春映画『茂みの中の欲望』のラスト・シーンが思い浮かびましたよ。「その後のあいつは二階建てバスの車掌になって、あの子は玉の輿になって、あいつは・・・」っちゅう。「今君のそばに僕が横たわっていても おそらく僕は全くここにはいない」というところはインクレらしいというか、ちょっと哲学的な感じもあります。それではどうぞ!
僕が愛した最初の女の子
この悲しいさよならの歌を君に歌う時がやってきた
17の頃 僕は君のことをよく知っていた
そう 長い月日があっという間に過ぎ去った今も君に会っていない
最後に君に会った時 君は地元の教会に通っているといった
僕はといえば 君にキスをした時その長い赤毛が僕たちの顔に落ちてきたことを覚えている
そう 君に知ってほしい 僕たちは成長しなければならなかった
君に知ってほしい 僕はいかなきゃならなかった
おそらく今は結婚して 家や車もあるだろう
君はおとなになった見知らぬ女性
今君のそばに僕が横たわっていても おそらく僕は全くここにはいない
ぼくたちは辛い別れをした
そのためにぼくはギターをもって英国中を走り回った
いろんな子と寝ながら
会いたくさえなかった子とも
そう 君のことを考える
そう 僕はうんざりする悲しい朝を迎えている
さびしい夜も
僕の前にある君の顔にさわろうとする
君に知ってほしい 僕はいかなきゃならなかった
君に知ってほしい 僕たちは成長しなければならなかった
おそらく今は結婚して子供もいるだろう
君はおとなになった見知らぬ女性
今君のそばに僕が横たわっていても 僕は落ちていくだけだ
ぼくは君と寝たことがない
ぼくたちは1000回愛し合ったに違いないけれど
なぜなら僕たちは若くて 行くところなんてなかったから
でも広い丘で 長い川の近くで
君は花を摘んだ そしてぼくには香りはしなかった
君に知ってほしい 僕はいかなきゃならなかった
君に知ってほしい 僕たちは成長しなければならなかった
だから さよなら最初の恋人 幸運を祈る
そう 僕には愛しい人がいる
もしかするといつか子供ができるかもしれない
彼女はかわいい
彼女は僕の真の友だち
アイランド・レコードからCBSに移籍しての2枚目となるアルバムです。前作『Reach For The Sky』と基本的な路線は同じ、ポップなロックンロールですが、ホーンとストリングスを大々的にフィーチャーしてちょっとソウル風味が出てきました。パンク到来の直前に当たる76年といえば、小学生だった自分も記憶に残っているあの”ソウル・ドラキュラ”が大ヒットしていたディスコ時代です。そのせいかどうかわかりまへんが、曲によってはアレンジやリズムにちょっとだけあの時代を思わせるいやらし~い雰囲気漂ってます。自分の中ではこのへんが当時のAORとイメージが被ってきますよ。まあセンスのいい彼らのことですから、そのへんはあくまで味付け程度に抑えてる感じですね。”Saturday Night”という曲では「give me back my Northern soul I need it」という歌詞が出てきて、曲調もモータウンちゅうかミラクルズぽかったりします。メンバーは前作と同じ4人で、ギター担当のティム・レンウィックは活躍しまくっていた前作ほど今回は前面には出てきてはおらんですが、その分ホーン、ストリングス、エレピをうまく使ってここぞいう時にビシッとギター・ソロを決める感じです。”The Prisoner”ではティムさんのギター大活躍で、ここでの彼らは初期のようなカッチョいいパブ・ロック・バンドと化しています。もしかするとここまでの彼らの中ではもっとも振り幅のあるアルバムかもしれません。最後のドラマチックなインストは何かの映画音楽のようでオモロイです。そういえばブリンズリー・シュウォーツの最後の『ニュー・フェイヴァリッツ』もソウル~AOR風味のあるアルバムでした。両バンドともルーツは同じようなもんですから、似たような展開をしていきはったんですね。ではなぜこっちはそれなりに売れたのにブリンズリーズはアカンかったのか?そんなもん知るかい!おわり
大昔にそっこうで手放して後悔していたアルバム再入手しました。CDにもなっているみたいですが、こちらはアイルランド・オリジナル(Tara Records TARA1001)です。プランクシティ結成の基となったアルバムで、全体の印象もプランクシティのデビュー作に近いもんを感じました。アイリッシュ・フォークは普段ほとんど聴かないのであまりよく覚えていませんが・・・ ブリティッシュ・フォーク・ファンにとってはなんつっても2曲目の”The Dark Eyed Sailor”ですね。スティーライ・スパンのファースト『Hark! The Village Wait』に入っていたトラッドで、メロディもほとんど同じです。スティーライの方は電気ロック・バンド編成で、イントロと間奏に大好きなコンサティーナの音がヒョ~~と鳴っていて、この哀愁漂うメロディをゲイ・ウッズがたまらん歌声で聞かせてくれるっちゅうことで、個人的にはどう考えてもそちらに軍配が上がってしまいます。しかしこちらにもコンサティーナらしき音がずっと鳴っているし、マンドリンの音&ムーアさんの優しい歌声と相まって大変すばらしいです。同タイプの”Lock Hospital”もすばらしいです。ディランの”Tribute To Woody”とウディ・ガスリーの”Ludlow Massacre”に始まるB面は、どちらかというとトラッドというよりシンガーソングライター寄りの作品が多くて、こちらの面がプランクシティ以降のソロ時代の彼につながるような気がします。ソロ・アルバムは以前とりあげた『The Iron Behind The Velvet』しか聴いたことがないので、あくまでそんな気がするだけです。70歳を超えた今も現役だそうで、これまでおそろしいほどの数のアルバムを発表しています。もしかするとアイルランドではヴァン・モリソンと並ぶくらいの存在なのかもしれませんね。おわり~
【レコ妖怪向けレビュー】
どうしても『Preservation Act 2』に踏み出せず、こんなん手に入れました。これまでのCDではカットされていた”20th Century Man”が追加され、1枚のCDにドカンと詰め込まれて2000年頃に出たライヴ盤です。実はまともに聴くのは今回初めてです。当時アナログ国内盤も出ていて、友人が買ったのをちょろっと聴かせてもろたことはあります。しかしこれからキンクスを1から聴き始めようとしていた高校生の自分にとっては、渋谷陽一さんいうところの産業ロックになった彼らなど眼中になかったっちゅうのが本音でしたね。そらそうです、並行して現役バリバリのジャムやらダムドやらクラッシュを聴いていたストイックなガキんちょだった自分が受けつけるはずもなく、今だから楽しめるわけです。そんなわけですから82年でしたか、初来日公演も見送ってしまって、今から考えるとなんという愚かなことをしたんだと思いますが、たぶん見に行っていたとしても「ケッ、なんだよ、ただのオヤジロックじゃねーか」などとバカにしていたと思います。どっちがバカだか・・・ こうやって改めて聴いてみると、もちろんサウンド的にはちょっとアレですけど、やっぱり楽曲の勝利ですね。ディスコ時代の『ロウ・バジェット』に収録の”Catch Me Now I'm Calling”とか”Superman”でさえいいメロディやと思います。若い世代のバンドに媚びた、じゃなくて本家本元の意地を見せた中では原曲に忠実な”Stop Your Sobbing”が一番よくないですか?”David Watts”はちょっと手抜きしすぎですよね。レゲエ・ヴァージョンの”Till The End Of The Day”は微妙なところです。で、結局マイ・ベスト・トラックは最近になってRCA時代を聴き始めたっちゅうことで”Celluloid Heroes”です。この曲7分あるんですが、10分でも20分でも聴いていたいほど好きですよ。
タイトルの意味がよく分からないデビュー・アルバムのUKオリジナル・モノ盤です(型番NPL 18117)。たぶんモノラル盤しか存在しないと思います。まずジャケ・デザインがかっちょいいっすよね。まだ19歳だったのにこのふてぶてしさです。パイ・レコードの基本的装丁として表ジャケットがコーティング、裏側はフリップ・バックになっています。イギリスのボブ・ディランと呼ばれていた頃ということで、ほとんどのトラックがアコースティック・ギターにハーモニカっちゅういかにもなスタイルです。数曲でジャジーなドラムを叩いているのが、この直後にプリティ・シングスに加入することになるスキップ・アランです。もちろんプリティーズでの彼のようなプレイでは全くなくて、あくまでセッションマンとしての参加です。ここに収録の”Catch The Wind”が大ヒット、このアルバムも大ヒットとセンセーショナルなデビューを飾ったわけですが、音楽的にはまだまだ自身のアイデンティティを模索中といった感じです。それでも12曲中7曲がオリジナルだし、わずか1年後に”Sunshine Superman”でオリジナリティを確立するだけあって、インストではありますが”Tangerine Puppet”では早くものちの彼を思わせる陰りが漂っています。あれですね、同じスコットランド出身のバート・ヤンシュもソロ・デビューしたし、師匠的存在のディランがこのデビュー作のリリースとほとんど同時期に”Like A Rolling Stone”で世界的(かどうか知りまへんが)大ヒットを飛ばすわけですから、そら相当の刺激を受けて「今までのディランの物真似をやっとる場合ちゃうわ」と奮起するんですかね。タイトルからしてやりそうな次のアルバム『Fairytale』(おとぎ話)はまだ1枚の作品として聴いたことがないので、次はそれ聴いてみたいです。もちろんオリジナル・アナログ盤でね。でもなかなか出てこないだろうなあ。
【レコ妖怪向けレビュー】
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前回に続いてアルバム『5000 Spirits』収録の”Painting Box”のご紹介です。Painting Boxとは絵の具箱のことで、ISBのコンセプトとしてロビンがいっていた「サイケデリックでフォーキーで神秘的な、無邪気な絵の音楽版」をそのまんまわかりやすく表現した歌だと思います(あくまで表面上は)。前回とりあげたオープニング・ナンバーの”Chinese White”も絵の具の色ということで、アルバム・ジャケットのまさに「サイケデリックで神秘的な」カラフルな絵を音楽にしたような、ISBにしてはまっとうなラヴ・ソングです。こういったどちらかというとわかりやすくてポップな側面はマイク・ヘロン担当ですね。一方のロビン・ウィリアムソンはISBの哲学的側面担当ということで、もちろんISBの神髄はこちらだと思うんですが、ロビンとマイクの対照的関係がISBそのものの神髄ともいえるわけで、実に絶妙な音楽コンビですよね。下世話な話、「おいでおいで」と親しみやすいマイクの歌に誘われて聞いてみたら、ロビンのとんでもない世界が手ぐすね引いて待っていたっちゅう感じです。まるで誘拐犯みたいな手口ですが、だから商業的にも成功したんでしょうね。それではどうぞ!