商標が非類似とされた例 | SIPO

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審決例(商標):類否149

 

<審決の要旨>

『本願商標は、7つの角を持つ星型多角形様の図形(以下、「図形部分」という。)を配し、その右側に「HOKKAIDO」、「STAR」及び「北海道小麦」の文字を三段に表した構成よりなるところ、図形部分と各文字部分とは、相互に間隔を空けて、それぞれ重なり合うことなく、独立して表されており、視覚上分離して看取し得るものである。

 そして、図形部分は、その構成態様から特定の意味合いを想起させるとはいい難いものであるから、特定の称呼及び観念を生じないものである。

 また、本願商標の構成中「HOKKAIDO」及び「STAR」の文字部分とは、二段に書されているものの、同一の文字種、書体、色彩で表されており、文字全体の横幅も同一で、外観上、統一感があり、必ずしも分離して看取されるとはいえないものである上、「HOKKAIDOSTAR」の文字より生じる「ホッカイドースター」の称呼も冗長でなく無理なく一連に称呼し得るものである。

 加えて、「STAR」の文字は、「星の意。」(出典:株式会社岩波書店「広辞苑  第七版」)を表す平易な英語であるから、「HOKKAIDOSTAR」の文字よりは「北海道の星」程の一連の観念が看取し得るものである。

 さらに、本願商標の構成中「北海道小麦」の文字は、その指定商品との関係においては、地名と普通名称又は原材料名を組み合わせたものと容易に理解されるものであるから、当該文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を有しないものといえる。

 そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「HOKKAIDOSTAR」の文字部分を一体不可分の造語よりなるものと認識、理解するとみるのが相当であり、本願商標よりは、当該文字部分に相応する「ホッカイドースター」の称呼が生じ、「北海道の星」程の観念が看取し得るものであって、他に構成中の「STAR」の文字のみが、取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情は見いだせない。

 したがって、本願の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品又は指定役務の類否について判断するまでもなく、本願商標の構成中「STAR」の文字部分を分離抽出し、これを前提に、本願商標と引用商標1ないし6とが類似するものとして、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。(つまり、非類似の商標である。)(下線・着色は筆者)』(不服2023-12239)。

 

<所感>

審決は、前回紹介した「NIHON」の欧文字を含む全体の文字に要部があると認定したものと同様な考え方をしており、類似の範囲を狭めているようで個人的には違和感がある。