商標が非類似とされた例 | SIPO

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審決例(商標):類否148

 

<審決の要旨>

『本願商標は、白色の帯を巻いた青色の円形図形(以下「本願図形部分」という。)と、その右側に、下線(横長直線)を有するややデザイン化された「KNOWLEDGE」の欧文字を大きく横書きし、その上に「NIHON」の欧文字と横長直線を配した部分(以下「本願文字部分」という。)との構成よりなるところ、本願図形部分と本願文字部分とは、重なることなく配置されており、それぞれが、視覚上、分離して看取、把握され得るものであって、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとはいえないものである。

 また、本願図形部分は、特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないから、本願図形部分からは特定の称呼及び観念は生じないものである。

 さらに、本願文字部分においては、「NIHON」の欧文字の右側及び「KNOWLEDGE」の欧文字の下部に青色の直線が描かれているが、当該直線は、これら欧文字を装飾あるいは強調するために施されている付記的な飾りと看取されるものであって、格別の印象を与えるものではない。

 そして、本願商標の構成文字全体は、青色を基調として彩色され、2本の直線を併せて外観上まとまりよく一体に表されているものであり、これより生じる「ニホンナレッジ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。

 また、たとえ、本願商標の構成中の「NIHON」の欧文字が、我が国の国名「日本」の読みを欧文字表記したものと容易に認識されるもので、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能が無いか弱いとしても、「KNOWLEDGE」の文字についても、「(一般的な)知識、情報」ほどの意味(「ランダムハウス英和大辞典  第2版」(株式会社小学館))を有するものとして一般に広く知られている語であって、本願の指定商品及び指定役務との関係においても、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能がさほど強いものとはいえないものであって、かつ、構成全体から生じる称呼も無理なく一連に称呼し得るものであるから、その構成中のいずれかの文字のみが着目されることなく、構成全体が不可分一体のものとして取引者、需要者に認識されるとみるのが相当である。

 そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標の構成文字全体をもって、一体不可分のものと認識、把握するものとみるのが相当であるから、本願商標は、その構成文字に相応して「ニホンナレッジ」の称呼のみを生じ、特定の観念は生じないものである。

 また、本願商標は、その構成中「KNOWLEDGE」の欧文字が大きく書されていることを考慮しても、構成文字全体が不可分一体のものとして認識されるというべきである。

 したがって、本願の指定商品及び指定役務は、引用商標の指定商品及び指定役務と類似の商品及び役務を含むものであるとしても、本願商標の構成中の「KNOWLEDGE」の欧文字を分離、抽出し、その上で、本願商標と引用商標とが、外観上、近似した印象を与え、「ナレッジ」の称呼及び「(一般的な)知識、情報」の観念を共通にする類似の商標であるとした原査定の判断は妥当ではない。(つまり、非類似の商標である。)(下線・着色は筆者)』(不服2022-19469)。

 

<所感>

審決は、原審(原査定)が類似するとした決定を取り消した。原審では本願商標は「KNOWLEDGE」の欧文字が要部であると認定した。一方、審決では要部はそこでなく、「NIHON」の欧文字を含む全体の文字にあると認定した。要するに要部認定の違いがそのまま判断に影響したものである。ただ本願商標において「NIHON」の文字が他の文字に比し著しく小さいことやありふれた意味合いをもち識別力が弱いことを考えると、原審の決定が妥当のような気がする。