商標が非類似とされた例 | SIPO

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審決例(商標):類否147

 

<審決の要旨>

『(1)本願商標について

 本願商標は、葉状の図形をモチーフにしたと思しき3つの図柄(左上の図柄は外枠線を緑色及び青色としており、中央の図柄は緑色、右下の図柄は青色に塗っている。)を表し、その左上図柄の内部に「地球とともに。」の文字を緑色で、中央の図柄の上部に「PAPER  TOWEL」の文字を青色で、その図柄に重なるように「NEWS」の文字を、当該文字の下の横長枠内に「■ニューズペーパータオル」(「ニューズ」の文字は太字である。)の文字を青色で表してなるところ、構成全体として、葉状の図形をモチーフにした図形と文字を組み合わせたロゴとの印象を与える結合商標である。そして、本願商標の構成中「NEWS」及び「PAPER  TOWEL」の文字部分は、その下に近接して配置されている「ニューズペーパータオル」の片仮名部分の欧文字表記に相当するから、それら文字部分は「NEWS  PAPER  TOWEL」(ニューズペーパータオル)なる一連の文字を、工夫したレイアウトで表してなると看取できる。

 また、本願商標の構成中、「NEWS」(ニューズ)の文字部分は「知らせ。ニュース。」の意味を、「PAPER」(ペーパー)の文字部分は「紙」の意味を、「TOWEL」(タオル)の文字部分は「タオル」の意味を有する英語(参照:「ジーニアス英和辞典  第5版」大修館書店)であるが、構成文字全体として成語となるものではなく、各語の語義を結合した意味合いも漠然としている。

 さらに、本願商標の構成中「地球とともに。」の文字部分は、環境に配慮する事業指針や事業理念を表示するために、種々の事業者により広く採択されている慣用句であるから、付記的に小さく表記されていることも相まって、自他商品の出所識別標識として独立した構成部分であるとの印象を与えるものではない。

 そうすると、本願商標は、その構成中「NEWS  PAPER  TOWEL」(ニューズペーパータオル)の文字部分に相応して、「ニューズペーパータオル」の称呼が生じ得るが、特定の観念は生じない。

(2)引用商標について

 引用商標は「NEWS」の文字を横書きしてなるところ、その構成文字は、「知らせ。ニュース。」の意味を有する英語(前掲書参照)である。

  そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「ニュース」の称呼を生じ、「知らせ。ニュース。」の観念を生じる。

(3)本願商標と引用商標の類否

 本願商標と引用商標を比較すると、外観においては、構成文字に「NEWS」の文字を含む点で共通するものの、その他の文字部分の有無により、構成文字全体としては異なる語を表してなるから、図形部分の有無も相まって、判別は可能である。また、称呼においては、「NEWS」の3音目の「ズ」と「ス」の清濁の有無に加えて、語尾の「ペーパータオル」の音の有無により、全体としての語調、語感は異なるものとなるから、聴別は可能である。さらに、観念においては、本願商標は具体的な観念が生じないが、引用商標は「知らせ。ニュース。」の観念を生じるから、記憶される印象において異なるものとなり、相紛れるおそれはない。

 そうすると、本願商標と引用商標は、外観及び称呼において判別及び聴別は可能で、観念において相紛れるおそれはないから、同一又は類似の商品又は役務について使用しても、商品又は役務の出所について混同を生じるおそれはなく、類似する商標とは認められない(つまり、非類似の商標である)。(下線・着色は筆者)』(不服2023-4095)。

 

<所感>

審決は、上記の通り本願商標は引用商標と非類似と判断したが本願商標の認定に疑問を感じる。本願商標は緑色で大きな中央の図柄の上に大きな文字で「NEWS」と表示している。そのためこの表示が看る者に与える印象は絶大である。他の文字や図形が比肩できないほどその印象は強く、ましてや類似判断基準が離隔的判断を採用しているところからもである。審決は「NEWS」の文字の下の横長枠内に「■ニューズペーパータオル」という文字が小さく表示されているところをことさら捉えて本願商標からは「ニューズ」の称呼というより「ニューズペーパータオル」の称呼が生ずるとしたが、これは細部の相違を対比的に観察する場合には確かに認められるが、本願商標を時と処を異にして判断する離隔的観察をしたり、あるいは本願の指定商品の分野では、一般的に商標全体を看て目立つ部分を記憶して取引するのが常態だと推測すると、本願商標はどう見ても大きな表示をしている「NEWS」が注目され、そこを要部と捉えることができるのではないだろうか。