商標が非類似とされた例 | SIPO

SIPO

スワン国際特許事務所へようこそ

審決例(商標):類否139

 

<審決の要旨>

『本願商標は、別掲のとおり、商品の包装箱と考えられる箱形の立体的形状を表し、その正面には「白松が」「囲碁」の文字及び一部がへこんでいる円などからなる図形が表された帯のような図形、「よろしく」の文字が表された短冊のような図形、並びに、碁盤を表したとおぼしき図形の上に「白松」の文字などが表された複数の碁石とおぼしき図形を配してなり、また、裏面や一部側面において、商品の説明や製造会社の情報などと考えられる文字が書されているものである。

 そして、請求人が上記1の意見書及び審判請求書において提示する情報にあるように、本願の指定商品を含む、和菓子を取り扱う分野においては、「囲碁用具をモチーフにした形状等からなる商品」がしばしば製造、販売されており、その商品名において「囲碁」の文字が用いられることも少なくないものであるところ、上記2のとおり、本願の指定商品は「囲碁の碁石を模したもなか」であって、上述のごとき商品の一類型といえるものである。

 そうすると、本願商標をその指定商品に使用するときは、それに接する取引者、需要者は、本願商標構成中の「囲碁」の文字部分について、その商品が「囲碁に関連する品質(内容)、形状のものであること」を表現するための語であると理解、認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないというのが相当であって、同文字部分のみに着目し、商取引に当たるとは考え難いものである。

 したがって、本願商標の構成中「囲碁」の文字部分を分離抽出し、これを前提に、本願商標と引用商標とが類似するものとして、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取消しを免れない(つまり、非類似の商標である)。(下線・着色は筆者)』(不服2023-9856)。

 

<所感>

 立体商標(本願商標)と平面商標(引用商標)についてその類否が争点となった。原審では本願商標は引用商標と「囲碁」の文字を共通にしており類似するとした。本審決は、上記アンダーライン部のように本願商標は指定商品との関係から「囲碁」の文字が自他商品の識別標識とは認定し難いとし、囲碁の文字が要部ではないので、これと引用商標と類似するとは言えないと認定して拒絶査定を取り消した。指定商品を含む、和菓子を取り扱う分野での取引の実情からすれば妥当なところであろう。尚、本願商標については代表図のみ掲示したが、出願に際しては他に正面図、背面図、側面図、斜視図など5図を写真で提出している。