黄金の日日 | 上から読んでも下から読んでもナカノカナ。~相模原・町田の女装娘カナの気まぐれ雑記~
またも歴史ドラマのネタ(汗)。

わからない人にはわからない話で恐縮(-.-;)。

時間を割いてまで色々観すぎて、若干疲れ気味だったりして…。

黄金の日日(1978)
未だ人気の高い名作。
商業の目線から戦国時代を描いた、異色作とも言えます。
歴史ドラマに海洋ロマンを絡めたような、国際スケールの壮大なお話。
大河初の海外ロケが行われました。
(配役)
納屋助左衛門・市川染五郎(現・松本幸四郎)
石川五右衛門・根津甚八
杉谷善住坊・川谷拓三
美緒・栗原小巻
しま/桔梗・竹下景子
お仙・李礼仙(現・李麗仙)
モニカ(笛)・夏目雅子
今井宗薫・林隆三
今井宗久・丹波哲郎
千利休・鶴田浩二
豊臣秀吉・緒形拳
石田三成・近藤正臣
小西行長・小野寺昭
高山右近・鹿賀丈史
細川ガラシャ・島田陽子
織田信長・高橋幸治
徳川家康・児玉清
今じゃもう不可能ですね(笑)。
男も女も、もう格好よくてね。

高潔な男っぷりの助左衛門、強烈な印象とトッポさの五右衛門、だらしないけど憎めない感じの善住坊(いずれもハマり役)、この三人が主役で物語になるのね。

実在するけれど、実像がはっきり分かってないのを逆手にとって、物語は思いっ切りイマジネーションを膨らましています。

脚本の市川森一のロマンティックさとその中にある残酷の美を湛えたようなテイストが良かった。

配役では主役の三人の他、栗原小巻と竹下景子がヒロイン役。栗原小巻は正直あまり美人とは思えないけど、気品や気高さと言った意味では美しさを感じました。竹下景子(母娘の二役)は、悲運な娘の役を印象的に演じてました。

なんでも栗原小巻がヒロインだったけど、途中から原作を離れて市川氏が独自の世界観を出し、桔梗をヒロイン仕立てにして(美緒と惹かれ合っていた助左が桔梗と婚約をする)栗原小巻が一時やや影が薄くなったせいか、これ以降栗原小巻が大河に出てなかったりする。

他の女優陣は怪しげだけれど情け深く、最後には堺の町と運命を共にするお仙役の李礼仙、笛(モニカ)役でまだ新人だった夏目雅子(あの綺麗な顔もしまいには醜くただれ、しまいには五右衛門の手で殺されるという悲劇的な役)なども登場。

かつて「太閤記」で当たり役となった、緒形拳の秀吉と高橋幸治の信長も再登場。やはり絶品だった。

秀吉は前半は好人物として描かれるが、後半は恐ろしく残酷で醜い悪人として描かれる。その迫力や悍ましさは半端ではなかった。

信長はやはり貫禄やオーラが違う。クールで冷徹、淡々としているのに後ろの背中から、言葉にならないような気迫みたいなものを感じる。

秀吉が悪役だったせいか、(当時は)普段悪役に描かれる事も多かった石田三成が好人物に描かれている。近藤正臣がまた好演。爽やかで実直な三成で素敵でした。

また商業の目線のせいか文治派の武将中心に描かれています。小西行長の高山右近も助左を助ける善人として描かれていました。小西行長の小野寺昭の透明感、高山右近の鹿賀丈史の温かみのある好漢ぶりも、良いですね。

一方武断派は悪役に描かれており、加藤清正(綿引勝彦)などはやや悪い役回りでした。綿引氏は当時、こういった荒々しい役が多かったのね。

堺の人々では、他に助左に大きく関わる今井家の大元、宗久とその息子宗薫の役に丹波哲郎と林隆三が出演。

会合衆の面々に大御所も多数出演しており、利休役の鶴田浩二の他、津川雅彦、宇野重吉、志村喬などが出演。重厚さが半端ではないですね。

細川ガラシャ役の島田陽子もハマっていました。出ずっぱりではないですが、歴代で最もイメージに近いガラシャだと思います(まさか後年あんな事になろうとはね…。シェケナベイベーのせいだって本当かしら?)。

徳川家康の役では「アタックチャ~ンス」でお馴染みだった最近亡くなった児玉清が出演。史実に基づく爪を噛む仕種や、やや腹黒い雰囲気などが案外出ており少し意外でした。

上記以外の出演では、秀吉以上に悪どい商人、原田喜右衛門役に唐十郎(李礼仙の当時の夫)が出演。前衛演劇出身のせいか、他の役者とは違った雰囲気でした。

寧々の役では十朱幸代が登場。普段ドラマではあまり描かれない、尾張訛りで喋る(二人っきりの時は秀吉も訛る)という描写は意外と珍しいですね。

淀の役は藤村志保。顔立ちや雰囲気など、和の雰囲気にここまで合う人はいませんね。ちなみにかつて「太閤記」では寧々を演じていました。

豊臣秀次役には桜木健一。近藤正臣とは「柔道一直線」で共演してましたね。

文治派が善人や武断派が敵役で描かれる一方、有名な武将が出番が少なかったのも珍しかったですね。前田利家はワンシーン(助左が豪商になるきっかけとなる、秀吉との大勝負の場面)にしか出てきませんでした(しかも大した見せ場も無く。配役は臼井正明。確か女優・声優の七尾怜子の夫だったかと)。

この場面には安国寺恵瓊も登場、神山繁はハマり役でした。こちらは見せ場があり終盤にも登場しました。

他には最近歴史ファンの間で人気の高い長曽我部元親(庄司永健)も登場。大河全50作品のうち、唯一この作品のみに登場します(ただし本当に登場するだけで、これといった見せ場なし)。

物語が本当に自由に想像力を膨らませ、半ば奇想天外な程に面白くなってましたね。近頃のイタい妄想とは雲泥の差ですな。

原作もあるでしょうが、市川氏は天才だと思う。一般的な評価は低かったけれど、「花の乱」も良い作品でした。

大河そのものが、正に「黄金の日日」でしたねぇ…。

続く。