茨城味自慢:出荷が旬に限られる茨城の「ソラマメ」生産 | ショートシナリオの館

ショートシナリオの館

気ままに会話形式を中心としたストーリーを書いています。

ソラマメは、春~初夏が旬のマメ科の野菜です。関東圏ではGW前後からスーパーでよく見かけられるようになり、梅雨の終わりごろには店頭に並ぶことがほとんどなくなります。ソラマメは、開花から3540日程度で収穫時期を迎えます。そして、本当においしく食べられるのは3日間ともいわれているため、収穫できる期間は短いです。ですから、家庭菜園で栽培すれば、収穫してすぐに食べられるため、ソラマメ本来の味が楽しめます。ソラマメは食べ頃が短いですから、巨大消費地の東京を抱える茨城県にとっては、都市近郊型農産物として、米やごぼう、れんこんなどと並んで主要な農作物の一つになっています。茨城県のソラマメ生産量は全国県別で3位、シェアは8.9%もあるのです。ご存じでしたか? 茨城県内の主要生産地は、JA新ひたち野とJAなめがたです。JA新ひたち野では、平成27年頃からソラマメの栽培が始まり、現在は38名の生産者で首都圏への出荷を支えています。JAなめがたは、118名の会員がいて茨城県内においても出荷量がトップです。ホクホクとした食感と甘みが美味しい、ソラマメの美味しさの秘密は、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が豊富に含まれていることや、鮮度が高いことにあります。選ぶときは、さやにツヤや産毛があって、豆の形や大きさがそろっているもの、そして、調理する直前にむくのがおすすめです。ソラマメの食べ方は色々ありますが、一番シンプルで美味しいのは塩ゆででしょう。今回は茨城県の初夏の味覚、ソラマメを紹介します。

 

<ソラマメとは>

ソラマメとは、マメ科ソラマメ属の植物のこと。市販されているソラマメには、青果用の未成熟な緑色のそら豆と、種実用の成熟した黒っぽい色味のそら豆の2種類があります。未成熟な青果用のそら豆は鮮度が大切ですから国産品であることが多く、鹿児島県、千葉県、茨城県で多く栽培されています。この未成熟なそら豆は植物性たんぱく質、ミネラル、ビタミン類をバランスよく含んでおり、若いうちに収穫した豆のつめがまだ緑色のものは、皮がやわらかくみずみずしく、成熟してつめが黒く皮が固くなったものはほっこりとした食感で豆の風味を強く感じらます。一方、種実用は輸入品が多くなっています。大半が中国、一部がオーストラリア、ポルトガルなどから輸入され、煮豆やおたふく豆、甘納豆などに使用されています。また、中国の発酵調味料である豆板醤にも実はそら豆が使われています。

未成熟そら豆の旬の時期は56月頃とされており、この時期になると一般的なスーパーや八百屋などでも青々としたそら豆を見かけることが多くなります。

 

<ソラマメの種類>

ソラマメ属の植物のソラマメは、莢や豆の形状や大きさ、色や食べ方などによって区別されます。世界各地で栽培されており、多様な品種が存在します。ここでは、日本でよく見かけるソラマメの種類を記します。

 

1.        大粒種(一寸ソラマメ): 豆一粒の大きさが3cmほどあります。莢も実も緑色で、塩ゆでや煮物などにして食べます。代表的な品種には「打越一寸」「仁徳一寸」「三連」などがあります。

2.        長莢種: 1つの莢に中粒の豆が67粒入る細長い莢を持つタイプで、四国地方を中心に古くから栽培されています。未熟豆は生食も可能で、サラダやワインのお供にします。代表的な品種は「福ならび」です。

3.赤豆種(初姫): サヤが緑色で中の実が赤くなる珍しいタイプで、関西地方では「初姫」と呼ばれています。赤い色素はアントシアニンというポリフェノールで、抗酸化作用があります。

 

<ソラマメ生産量ランキング>・・・緑豆と成熟豆を区別したデータはない

1.        世界のソラマメ生産量ランキング(2021)

ソラマメは、豆類の中でも古くから栽培されている作物で、世界中で食用や飼料として利用されています。ソラマメの生産量は、一般に温暖な気候に適しています。

1位:アルジェリア 277,353t 2位:エジプト190,937t 3位:イタリア 
        178,000t
 日本は17位 14,100t です。

2.        ソラマメ国内県別生産量ランキング(2021年)

1位:鹿児島3,440 (t) 24.4%、2位:千葉1,840 (t)13.0%、3位茨城1,260 (t) 8.9%。日本のソラマメの生産量は、最近の20年間は減少傾向にありますが、茨城県は、2012年から2021年の10年間で0.25%の増加を示しています。

 

<ソラマメの豆知識>

1.世界でも歴史のある野菜

原産地は諸説ありますが、北アフリカからカスピ海沿岸と云われています。エジプトではピラミッド遺跡からそら豆が発見されており、トルコにあるトロイの遺跡からは、化石化したそら豆が発見されました。日本へは平安時代に伝わったようです。

2.栄養的には茹でるよりもそのまま蒸し焼きに

ソラマメの実は、タンパク質やビタミンB1B2などが多く含まれる、栄養価が高い野菜です。特にビタミンBは水溶性なので、茹でるよりそのまま蒸し焼きにすることで流出することを防ぐことができます。また、薄皮はかたいのではずして食べることが多いですが、ポリフェノールや食物繊維が豊富なので薄皮ごと食べるのもおすすめです。薄皮を剥いた場合、素揚げでカリっと揚げても美味しいです。

3.サヤから出さずにサヤで見分ける

サヤを見て中身を判断する方法があります。サヤの色の違いは収穫時期の違いでもあります。ソラマメのサヤは緑色のものと、サヤが茶色や黒くなっているものがありますが、後述するお歯黒で判断する方法と同じく、緑色のものはプリプリとした食感、茶色や黒のものはホクホクとした食感であることが多いです。

4.        ソラマメの選び方

    サヤに豆の形がはっきりと見えるもの、きれいな濃い緑色で、艶があるものを選びます。サヤに弾力のあるもの、表面にうぶ毛がついているものも新鮮な証拠です。空気に触れることで風味も栄養も落ちるので、できるだけサヤ入りのものを買いましょう。

    お歯黒があるものと無いもの:サヤを外してソラマメをみると、縁にへこんだ黒い線(お歯黒)があるものがあります。このお歯黒の部分は芽や根が出てくる部分で、豆の完熟度合いを見る部分となります。先にも記しましたが、この部分が緑色の時は、プリプリとした食感ですが、黒い線が分かる頃になると豆が熟しているので、ホクホクとした食感になります。

    実の大きさが均等なもの:ソラマメは3㎝ほどの大きさ。1 円硬貨の直径が 2cmですから、それより大きいものを選びましょう。1 つのサヤにだいたい 2 粒~4 粒入っています。

5.        保存方法:サヤ入りのものを買い、調理する直前にサヤから出し、できるだけ早く加熱調理するようにします。冷蔵庫で保存する場合は、サヤ付きのまま、新聞紙につつんで、ビニール袋などに入れて野菜室で保存します。サヤから出すと表面がかたくなるので、生で保存する場合はサヤ付きのまま保存します。食べきらない場合は、かために茹で、ビニール袋に並べ冷凍しましょう。

6.        調理:そら豆は、切り込みを入れてからゆでることで、薄皮がむきやすくなります。 割れ目がある部分の反対側に、包丁で浅く切り込みを入れてください。2cmほどでOK

7.       「しょうゆ豆」:香川県の郷土料理で、成熟したソラマメを香ばしく煎って、甘辛いつけ汁に一晩ねかせて味を含ませたものです。唐辛子がきいていて、かんだ時に口の中でポロッと砕ける感じになるのが特徴。うどんと相性がいいと言います。

8.        ソラマメの栄養素と効果

    ビタミン類の効能:ビタミンB1は消化液の分泌を促してくれますし、ビタミンB2は粘膜を作ってくれます。また、血行を良くし、新陳代謝を促すナイアシンなどがそら豆には多く含まれています。また、ビタミンB1は疲労回復にも効果的です。

    カリウムの効能:カリウムは塩分を排泄してくれます。そのため、高血圧の人にはカリウムはいい効能です。普段塩分を多く摂ってしまう方にはいいかもしれません。

    ミネラルの効能:鉄分や銅、マグネシウムなどのミネラルは、血圧を調整してくれたり、貧血の予防、イライラを解消してくれる効能があります。また、骨の成分でもあります。

    植物性タンパク質の効能:タンパク質は体のエネルギーを形成してくれる効能があります。また、動物性のタンパク質とはカロリーが異なるので、健康的にダイエットをしたいという方はそら豆のような植物性タンパク質が多い食材を多く摂って、その効能を実感しましょう。

    食物繊維の効能:食物繊維はお通じを良くしてくれて、肌を健康に保ってくれます。この食物繊維は特にそら豆の皮に多く含まれているので、そら豆を食べる際は皮ごと調理する食べ方がおすすめです。

    妊婦におすすめの栄養価;亜鉛と葉酸は特に妊婦の体には大切です。医師も葉酸と亜鉛の二つは積極的に摂取するように言うくらい大切なのです。その大切な成分がそら豆には豊富に含まれています。 妊婦初期は1日に400㎍、中期から後期は1日に480㎍の摂取を推奨されているのが葉酸です。そら豆は茹でると100gあたり葉酸を120㎍摂取することができるのです。そら豆を1日に100g食べれば1日の4/1の葉酸を摂取することができるのです。 また、亜鉛はそら豆を100g食べることで1日に必要な亜鉛の約1/3を摂ることができます。

9.        そら豆は大豆アレルギーを回避するための代用食品に用いられることもあります。例えば、大豆はしょうゆや豆腐、おからや納豆などなどたくさんの食材に使われていますが、これらを食べることができない大豆アレルギーの方のために使われています。

10.      ソラマメの食べ過ぎによる健康被害:ソラマメ中毒といいます。ソラマメに含まれる毒成分によって引き起こされる中毒です。症状は発熱や黄疸、溶血性貧血によって最悪の場合は死亡してしまうこともあり得ます。日本人は大量に食べませんのでほとんど被害は出ていません。でも、食べ過ぎはやめましょう。

 

<ソラマメの農業生産>

1.種まきの時期

地域で種まきの時期は変わります。①関東や東海の中間地域は10月上旬~
   11月上
旬、②沖縄や九州の暖地は10月上旬~11月上旬、これらの地域での
   収穫時期は4月
~6月です。そして、③北海道や東北の寒冷地は2月中旬
   ~3月中旬で6月中旬~7
月上旬が収穫期です。いづれの地域でも開花後
   35日~40日が収穫時期、そして、
さやが少しづつ下向きになったら収
   穫時期です。

2.ソラマメ栽培の肥料:ソラマメは根に根粒菌と呼ばれる菌類を共生させてい
ます。根粒菌は、土中だけでなく空気中の窒素を取り込んでソラマメに供
給するため、ほかの野菜ほど肥料を与えなくても育ちやすいです。しかし
窒素分が多すぎると葉ばかりが茂って、サヤが付きにくくなります。その
ためソラマメの栽培は、追肥を含めた肥料の与え方がポイントです。

3.元肥料:元肥には、化成肥料と堆肥を用います。1㎡あたり化成肥料を50g
堆肥を3kgまいてよく耕します。ソラマメの前作で肥料をたくさん使用して
いる場合は、少し量を減らしても問題ありません。ソラマメの元肥は、肥
料不足より肥料過多になることに注意です。

4.追肥のタイミングと方法

   関東圏の追肥は、2月中旬ごろが適期です。草丈が2030cmになったら株
   元に化成肥料を20gほどまくか、液肥を希釈して施します。また蕾が見え始
   めたころと、その1カ月後くらいにも、同量の追肥を施します。開花時に肥
   料不足になると、十分な実が付かなくなってしまいます。

 

(肥料不足のサイン)

ソラマメは肥料が不足すると、葉先が黄色や黒色に変色します。その場合は、速やかに栄養分を供給するために、液肥を使用するのがおすすめです。ただし、窒素分が多くなりすぎてしまうのは避けなければいけません。各
液肥に設定された希釈率や方法を守ることが大切です。

 

<ソラマメの美味しい食べ方>

1.茹でソラマメ

(1)さやを絞るようにねじりソラマメを取り出す。
  (2)そら豆のくぼみに包丁で浅く切り込みを入れる。
  (3)鍋にたっぷりのお湯を沸かし、2%程度の塩を加える。
  (4)弱火にしてから鍋にそら豆を入れて23分程度茹でる。
  (5)火が通ったら、ザルに上げて自然に粗熱を取れば完了。
    ※食べるときは切り込み部分から薄皮を剥くようにしよう

2.焼きソラマメ

鮮度のよいソラマメを焼いて楽しむのもおすすめだ。焼きそら豆の作り方は、
まずさや付きのままグリルに並べ、皮が黒く焦げ付くまでじっくり焼く。そし
て焼けたら熱々のうちにさやから取り出し、薄皮を剥いて食べるとよい。そら
豆のうま味や香りを堪能できる食べ方となっている。

3.そら豆のポタージュ

ソラマメのうま味や香りを楽しむために、ポタージュにするのもおすすめだ。
ポタージュを作るときは事前にソラマメを下茹でしておき、ミキサーにソラマメ・炒めた玉ねぎ・ジャガイモなどを加えて撹拌する。それから鍋に移して、
牛乳などと一緒にひと煮立ちさせたら完成となる。

4.ソラマメの天ぷら

ソラマメは、天ぷらなどの揚げ物にしても美味しい。天ぷらを作るときは、さ
やから取り出したソラマメにてんぷら粉を付ける。それを170180℃程度の
油で、カラッとするまで揚げれば完成だ。ソラマメらしいホクホクとした食感は、ご飯のおかずとしても、お酒のおつまみとしても最適である。

 

<茨城ソラマメの入手方法>

(1)JA行方「楽郷(らっきょう)」という直売所で販売しています。

(2)JA新ひたち野では「みのり」という直売所で販売されています。

 

茨城県のソラマメは茨城県青果物銘柄産地に指定されています。是非、初夏の味覚茨城県のソラマメをご賞味あれ!