北朝鮮の極超音速ミサイル空中爆発 | すずくるのお国のまもり

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お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎空中爆発も北朝鮮「多弾頭試験成功」…韓国軍「欺まん・誇張にすぎない」(1)

 

 

 

 北朝鮮史上初の多弾頭試験発射との主張に対し、韓国軍当局が「欺まんと誇張にすぎない」と正面から反論した。治績を築こうと固体燃料基盤の極超音速ミサイル試験発射を無理に進めて失敗すると、「多弾頭試験」として包装した可能性があるということだ。
◆北朝鮮の報道が事実ならICBM高度化と解釈可能
 北朝鮮の労働新聞と朝鮮中央通信は27日、「ミサイル総局が26日、ミサイル技術力高度化目標の達成で重大な意味を持つ個別機動戦闘部(弾頭)分離および誘導操縦試験を成功裏に進行した」とし「中長距離固体弾道ミサイル1段目発動機(エンジン)を利用して最大の安全性を保障し、個別機動戦闘部の飛行特性測定に有利な170-200キロ半径の範囲内で進行された」と主張した。
 続いて「分離した機動戦闘部は設定された3つの目標座標点などに正確に誘導された」とし「個別機動戦闘部の分離および誘導操縦試験の目的は多弾頭の各個標的撃破能力を確保するところにある」と伝えた。「ミサイルから分離した欺まん体の効果性も反航空(地対空)目標発見探知機を動員して検証された」とも強調した。
 前日午前に日本海上に発射して空中爆発した極超音速中距離弾道ミサイルと推定される発射体が実際には多弾頭(MIRV)実験だったという主張だ。
 北朝鮮の報道が事実なら相当な意味がある。多弾頭、そして分離した多弾頭の姿勢を制御して誘導するポストブーストビークル(PBV)技術は大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発の最後の段階に挙げられるほど高い段階と見ることができる。一つのミサイルに複数の核弾頭または偽装用弾頭を搭載し、目標物付近まで飛ばした後、弾頭を分離・飛行させるのが核心だ。このうち一つでも防ぐことができなければ大きな打撃を受けることになる。
 これに関連し北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は2021年1月、多弾頭個別誘導技術に関連し「研究事業の最終段階」と主張したが、この日まで実際の関連試験を公開したことはなかった。
◆韓国軍「固体燃料極超音速ミサイルの2回目発射に失敗か」
 しかし韓国軍当局は北朝鮮の報道内容には根拠がないという立場だ。合同参謀本部は「北が昨日(26日)発射したミサイルは飛行初期段階で爆発した」とし「北がこの日に公開した内容は欺まんと誇張のための手段にすぎない」と明らかにした。
 具体的に固体燃料基盤の極超音速ミサイル性能改良試験発射をして失敗したというのが軍当局の評価だ。これに先立ち北朝鮮は4月、金正恩委員長の参観の下、「火星16ナ」型と名付けた該当ミサイルを初めて試験発射した後、「固体燃料化、弾頭操縦化、核兵器化実現」と主張した。長期間保管および即刻発射が可能な固体燃料の適用、核弾頭カートリッジ「火山31」型の搭載などに成功したという趣旨だった。
 しかし軍当局は当時も北朝鮮の関連技術は初歩的という判断を固守した。結果的に今回の2回目の試験発射で性能の改善を点検しようとしたが事故が生じたという見方が出ている。

◆低い高度、短い飛行距離、写真操作の可能性など疑わしい点が十分
 韓国軍当局は根拠にミサイルの軌跡を挙げた。当局者は「発射初期段階からレーダーとその他の探知資産で追跡した結果、ミサイルの空中爆発形態が明確だった」とし「破片分散形態はまったく多弾頭とは判断できない」と述べた。多弾頭の分離なら分離航跡が明確であるべきだが、くねくねと曲がる航跡が捕捉された点も疑問を強める。比較的低い高度で初期段階に爆発した点も多弾頭試験でない可能性を後押しする。多弾頭の効果性を検証するにはミサイルが大気圏を越えて一定の速度を確保した環境でなければいけないが、今回はこうした特性が捕捉されなかった。
 正常な多弾頭試験なら、エンジン燃焼を終えて最高高度600キロを超えて行われるという。しかし日本防衛省は今回のミサイルの最高高度を約100キロと評価した。200キロ前後の飛行距離も多弾頭試験と見るには過度に短い。
 軍当局は北朝鮮が公開写真を操作しながらも歪曲した可能性にも注目している。発射の瞬間が入った写真を見ると火炎の形は固体燃料だが、ミサイル胴体は液体燃料基盤ICBM「火星17型」だ。固体燃料基盤の極超音速ミサイルを発射する原本写真に火星17型を合成したのではという疑惑が出ている。
 李誠俊(イ・ソンジュン)合同参謀本部広報室長はこの日の定例記者会見で「北が今日公開したもの(写真)は2023年3月16日に発射した火星17型液体燃料型ICBMと類似の形態」と話した。
◆治績の負担から嘘か
 軍内外では北朝鮮が成果を出さなければいけないという負担感から操作をした可能性に言及されている。5月の偵察衛星に続いて今回の空中爆発で対内外に恥をさらすと、急いで「多弾頭カード」で繕おうとしたということだ。今週予定された労働党中央委員会全員会議を控えて治績を浮き彫りにしようとしたが、計画通りに進まなかったという見方もある。
 ただ、多弾頭技術や極超音速ミサイル分野でロシアの支援を受けるという懸念は相変わらずだ。北朝鮮が「誘導操縦試験が成功」と主張したのは、ロシアのプーチン大統領が朝ロ首脳会談後「北朝鮮への超精密武器支援の可能性を排除しない」と言及したのと無関係でないとも考えられる。すでに関連技術協力が行われているように雰囲気を形成しようとした可能性だ。ミサイル専門家のクォン・ヨンス国防大名誉教授は「ロシアが北に軍事技術的助言をしているという推定は十分に可能」と述べた。
 

◎くるくる回って破片に…韓国軍、北朝鮮ミサイル爆発場面を公開 

 

 

 韓国軍当局が28日、多弾頭ミサイル試験発射に成功したという北朝鮮の最近の主張にまた反論した。映像まで公開しながら「空中爆発したというのがファクト」と強調した。前日(27日)の説明にもかかわらず南北間の真実攻防に向かう兆しが表れ、「スモーキングガン」で疑惑に終止符を打つということだ。
 韓国軍の合同参謀本部の関係者はこの日、記者らに対し「北は26日に失敗した発射について多弾頭試験をしたと主張したが、韓米は今回の飛行が初期から失敗した事例と分析、評価した」とし「多弾頭は北の一方的な主張にすぎず、全く考慮する事案でない」と述べた。
 北朝鮮は26日午前5時30分ごろ、東海(トンヘ、日本名・日本海)上に極超音速中距離弾道ミサイル(IRBM)と推定されるミサイルを発射したが、空中爆発した。すると北朝鮮は翌日、労働新聞など国営メディアで「ミサイル技術力高度化目標達成で重大な意味を持つ個別機動戦闘部(弾頭)分離および誘導操縦試験を成功裏に進行した」と主張した。
 大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発の最後の段階と見なされる多弾頭(MIRV)とこれを誘導するポストブーストビークル(PBV)技術を初めてテストして成功したというのが、北朝鮮の主張だった。この技術は一つのミサイルに複数の核弾頭または偽装用弾頭を搭載し、目標物付近まで飛行した後に弾頭を分離・飛行させるのが核心。この中の一つでも防げなければ大きな打撃を受けることになる。
 しかし合同参謀本部はこの日、前方部隊で運営する熱線観測装備(TOD)の映像を提示しながら、北朝鮮の嘘を一つ一つ立証した。ミサイルが上昇する段階からくるくる回り、数十の破片が飛び散る場面があった。
 正常な多弾頭ミサイル発射なら初期段階で一直線に飛行した後、弾頭が確実に分離してPBVが作動しなければならないが、そのような状況は全く見られなかった。典型的な空中爆発というのが合同参謀本部の説明だ。合同参謀本部の関係者は「固体推進燃料の不良で燃焼段階で一定の推力が出ず、ミサイルがバランスを失って失敗した可能性がある」と話した。
 前日(27日)にすでに軍当局はこうした内容を定例ブリーフィングなどで口頭で説明した。北朝鮮が公開した写真を見ると、火炎の形は固体燃料だが、ミサイルの胴体は液体燃料基盤のICBM「火星17型」という点を指摘し、写真合成の可能性も示唆した。北朝鮮が巨大な弾頭部形状を持つ火星17型を多弾頭に偽装するのに適切な武器体系と考えて急いで合成したのではという分析が出てきた。
 にもかかわらず合同参謀本部がこの日また映像で反論したのは、一部で多弾頭またはこれと似た試験である可能性が引き続き提起されているからだ。これに関連し、北朝鮮の主張に同調することで不必要な安保不安が形成されるのを防ぐため、映像まで公開しながら再び説明したと解釈されている。
 軍当局は今回の北朝鮮ミサイルが実際には固体燃料基盤の極超音速ミサイルの可能性があるとみている。北朝鮮は4月2日、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の参観の下「火星砲16ナ」型と名付けたミサイルの初めて試験発射した。その後、追加の試験発射で同ミサイルの信頼性を高めようとしたが事故が発生したため「多弾頭シナリオ」を作り出したのではないかとみている。
 合同参謀本部の関係者は「ミサイルの破片が序盤に飛び散って内陸に落ちたとすれば、住民の民心離反につながることも考えられる」とし「成功した試験だったと主張して住民に理解を求めるためかもしれない」と話した。実際、北朝鮮のミサイルの軌跡は西海(ソヘ、黄海)から民間装備でも観測が可能なレベルだった。北朝鮮は多弾頭試験の成功を主張しながら空中爆発関連の言及はしなかった。
 ただ、多弾頭試験でないとしても北朝鮮が完全に新しいミサイルを開発している可能性も排除できないと、軍当局はみている。軍関係者は「今回のミサイルは序盤に爆発したため、十分な分析をするのに制限事項が多い」と述べた。

 

◎北朝鮮が成功と主張のミサイル 韓国軍「上昇段階から異常回転し爆発」

 

 

【ソウル聯合ニュース】韓国軍合同参謀本部は28日、北朝鮮が弾道ミサイルに複数の弾頭を搭載する多弾頭化の実験に成功したと主張する発射について、「上昇段階から(ミサイルが)異常回転しており、不安定な飛行が爆発を引き起こしたと推定している」と明らかにした。
 同本部によると、北朝鮮の実験前から発射の兆候を捉えており、26日午前5時半ごろの発射もレーダーや地上の監視資産で探知していた。前線に配備している赤外線監視システム(TOD)で撮影した映像では北朝鮮のミサイルが発射後の早い段階から異常回転し、空中で爆発する様子を確認したという。
 北朝鮮は26日の発射について、複数目標弾頭(MIRV)に該当するミサイルの実験だと主張するが、韓米は失敗を隠すための誇張だと見ているという。
 同本部は北朝鮮のミサイルを発射直後に空中で爆発し失敗したとの見方を示したが、北朝鮮の朝鮮中央通信は翌27日、発射は弾頭の分離・誘導実験で成功したと報じた。 

 

◎北朝鮮の極超音速ミサイル空中爆発…固体燃料エンジン燃焼問題の可能性

 

 

 北朝鮮が26日に東海上に向け極超音速中距離弾道ミサイル(IRBM)を発射したと推定される中で、開発中である固体燃料エンジンを無理に使い燃焼系統の問題で空中爆発した恐れがあると韓国軍当局が明らかにした。韓米日が今週海上・水中・空中・サイバーなど多領域軍事演習である「フリーダムエッジ」を初めて実施することに対する正面対抗であり、軍事同盟水準に上がった朝ロ間の密着を誇示しようと急いだという見方も出ている。
 韓国合同参謀本部は26日、「きょう午前5時30分ごろ北朝鮮が平壌(ピョンヤン)周辺から東海上に向け未詳の弾道ミサイルを発射したが失敗したと推定される。韓米情報当局で追加分析中」と明らかにした。合同参謀本部関係者は記者らと会い「北朝鮮が発射したミサイルは1発で、250キロメートルほど飛行し元山(ウォンサン)から70~80キロメートル離れた東側海上で空中爆発した。破片は半径数キロメートルにわたり散らばり海に落ちた」と説明した。
 韓国軍当局は、北朝鮮が固体燃料ロケットを使った極超音速ミサイルの性能改良に向け試験発射を試みて失敗した可能性を念頭に置いている。合同参謀本部関係者は「北朝鮮が今年に入って固体燃料極超音速ミサイルの試験発射に成功したと発表したが、これをさらに発展させるための試験をしたのではないかと推測する」と話した。
 今回のミサイルは普段より多くの煙を出して東海上に発射したが、白翎島(ペクリョンド)と延坪島(ヨンピョンド)など北西島嶼と京畿道坡州(キョンギド・パジュ)と漣川(ヨンチョン)地域でもとらえられた。普段より煙が多く発生した理由に対し合同参謀本部関係者は「燃焼がまともにできなかったためかもしれない」としてロケットのエンジンに問題があった可能性に言及した。「異常な飛行をしたため飛行機雲が残り肉眼で識別できたもの」としながらだ。
 ただし国防大学の権容守(クォン・ヨンス)名誉教授は「火炎に基づいて見れば固体燃料方式は明らかだ」としながらも、「頂点高度、最高速度、爆発高度のような飛行軌跡情報が不足した状況で極超音速ミサイルの失敗を断定するのは難しい」と話した。
 極超音速ミサイルはロシアの技術伝授が懸念される分野で、北朝鮮がフリーダムエッジ演習に対抗するカードとしてこれを取り出した可能性がある。これは北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が2021年1月の第8回党大会で提示した国防分野5大核心課題のひとつでもある。ロシアのプーチン大統領が訪朝直後に分野を特定しないまま北朝鮮に「超精密武器」を提供できると明らかにし両国間の技術協力が行われるだろうといの懸念が提起されている。
 北朝鮮が汚物風船と弾道ミサイルを並行し、再度ハイブリッド式挑発に乗り出した側面もある。北朝鮮は24~25日に相次いで汚物風船を飛ばした。合同参謀本部によると24日には汚物風船350個余りを散布し、京畿道北部とソウルなどに100個ほどが落下したほか、25日夜に飛ばした汚物風船は250個のうち100個ほどが京畿北部とソウルなどに落下した。
 北朝鮮は4月に「新たに開発した極超音速滑空飛行戦闘部(弾頭)を装着した新型の中長距離固体弾道ミサイル『火星砲16ナ型』の初めての試験発射を行った」と明らかにした。「それぞれ異なる射程距離のあらゆる戦術、作戦、戦略級ミサイルの固体燃料化、弾頭操縦化、核兵器化を完全無欠に実現した」としながらだ。
 だが韓国軍当局はこれを相当部分誇張されたとみる。射程距離が大幅に増えるなど技術進展はあったが、極超音速ミサイルの特徴である2次上昇に現れる急激な軌道変更など高難易度の性能を備えたとみる根拠はないというのが韓国軍の評価だった。