露軍「スホイ57」、ウクライナ軍の攻撃で初損傷か | すずくるのお国のまもり

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お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎ロシアのSu-57ステルス戦闘機、2機被害か ウクライナ当局が主張

 

 

 ウクライナが8日、ロシア南部アフトゥビンスクの飛行場に対してドローン(無人機)を使って行ったとみられる攻撃では、ロシア空軍のSu-57ステルス戦闘機が損傷した可能性がある。もしかすると撃破されたかもしれない。
 さらに、この攻撃ではSu-57がもう1機損傷した可能性も出てきた。ウクライナ国防省情報総局(HUR)のアンドリー・ユソウ報道官は9日、地元メディアのRBCウクライナに「2機のSu-57が被害を受けた可能性があるという暫定的な情報がある」と語った。Su-57は2010年に初飛行した双発の超音速機で、ロシア空軍がこれまでに取得しているのはわずか25機前後だ。
 視覚的な証拠はまだないが、信憑性のある主張だ。というのも、ロシア空軍は新型のSu-35戦闘機、S70オホートニク-Bステルスドローン、そして米国のF-22戦闘機に対抗して開発されたSu-57など、開発中もしくは開発後間もない最高の軍用機の多くを、第929国家飛行試験センターが置かれているアフトゥビンスク飛行場に集めているからだ。ここはウクライナの前線から約590km離れている。
 2019年には、少なくとも6機のSu-57がアフトゥビンスクの飛行場に置かれていた。ただ、地上要員はこれまでSu-57を日常的に屋外に駐機させてきた。ロシアの人気軍事ブロガー、Fighterbomberは、通信アプリ「テレグラム」のチャンネルでそれを厳しく批判している。
 Fighterbomberは9日、「アフトゥビンスクの飛行場がドローンによる攻撃を受け、3機が到達した。1機のSu-57が炸裂破片で損傷した」と述べたうえで、空軍はなぜいまだに、Su-57など最も貴重な航空機のために堅固なシェルターを設けていないのかと不満を示している。
 もっとも、強化された航空機シェルターの不足はロシア側だけの問題ではない。ウクライナ側も、軍用機をときどき、ロシア軍のランセット自爆ドローンの射程に入る飛行場で屋外に駐機する悪い癖がある。

 しかしウクライナ側は、ロシア側がウクライナの飛行場を攻撃するよりも効果的にロシアの飛行場を攻撃している。これはウクライナが長距離攻撃ドローンの在庫を増やしていることと、ロシア側の意思決定が相対的に遅いことが大きいだろう。
 ウクライナ空軍の指揮官たちは、駐機中にロシア軍に狙われにくくするため、航空機を小規模な空港や高速道路の仮設滑走路などからなる広大なネットワーク上で頻繁に移動させている。1日に複数回移すこともある。
 ロシア空軍の指揮官たちはそういうことはしない。ロシア側が航空機の基地を変更するのは普通、ある程度長い時間をかけて計画されたものだ。よくあるのは、同じ基地がウクライナ側のミサイルやドローンによる攻撃に繰り返し遭ったために、その対応策として配置換えをするというものだ。
 ともあれ、アフトゥビンスクは特別だ。オランダの航空情報サイト「スクランブル」は、「飛行場、研究施設、広大な試験場、射撃練習場、興味深い最新の掩体壕を備えるアフトゥビンスクの国家飛行試験センターは(中略)、ロシア国防省にとって最も貴重なアセットのひとつになっている」と解説している。
 Su-57がここに置かれているのは、その独自のステルス性能をテストするのに最適な、もしかすると唯一の施設だからだ。
 ロシア空軍は、Su-57の今後の開発に悪影響を与えずに現存のSu-57をアフトゥビンスクから移動させることは不可能かもしれない。しかし、Su-57に限らず、ロシア軍のすべての航空機がウクライナのドローンの危険にさらされていることを認識しているのであれば、Fighterbomberの忠告に耳を傾け、いくつかのシェルターを建設することになるかもしれない。
 2022年2月以来、ロシア軍の無差別な空襲に苦しめられてきた大勢のウクライナ人は当然、ロシア空軍がそうしないことを望んでいるだろうが。

 

◎ロシア最新鋭ステルス機「スホイ57」、ウクライナ軍の攻撃で初損傷か

 

 

 ロシアによるウクライナ侵略で、ウクライナ国防省情報総局は9日、前線から約590キロ離れた露南西部アストラハン州のアフトゥビンスク空軍基地に駐機していた露軍の最新鋭ステルス戦闘機「スホイ57」が攻撃により損傷したことが確認されたと報告した。証拠とする衛星写真も公開した。情報総局は「こうした形(攻撃)でのスホイ57の損傷は史上初だ」とした。
 情報総局によると、同空軍基地を撮影した7日の衛星写真では、スホイ57は無傷だった。しかし、8日の衛星写真では、スホイ57の周辺に攻撃による複数の爆発と火災が起きた様子が撮影されていた。情報総局は「スホイ57は(ウクライナ国内を標的とした)ミサイルを発射できる露軍の最新鋭戦闘機だ」とした。
 情報総局はウクライナ軍が軍用飛行場への攻撃を実施したかどうかには言及しなかった。ただ、ウクライナメディアは8日、ウクライナ軍が同日に「特別作戦」としてアストラハン州に近い露南西部・北オセチア共和国の空軍基地を標的としたドローン(無人機)攻撃を行ったと報道。この作戦の一環としてアフトゥビンスク空軍基地への攻撃も行われた可能性がある。
 スホイ57は米ステルス戦闘機「F22」や「F35」に対抗するためロシアが開発。2010年に初飛行した。シリア内戦に実験投入された後、20年末に正式に実戦配備されたとされる。
 英国防省は23年1月、アフトゥビンスク空軍基地に5機のスホイ57が駐機していることが衛星写真で確認され、露軍がスホイ57をスウクライナで実戦投入しているのは「ほぼ確実だ」と分析。英国防省はまた、露軍が撃墜や機密流出などを恐れ、スホイ57を露領空から長距離ミサイルを発射するために使用しているもようだとも指摘していた。