日中防衛相会談 | すずくるのお国のまもり

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お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎日中防衛相会談について
 令和6年6月1日、9時45分(現地時間)から約50分間、第21回IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)出席のためシンガポールを訪問中の木原防衛大臣は、董軍・中国国防部長との会談を行ったところ、概要以下のとおり。
 冒頭、木原大臣から、日中間には、安全保障上の多くの懸念があるからこそ、日中防衛当局間で率直な議論を重ねることが重要である旨述べ、董軍国防部長からも同様の考えが示されました。
 地域情勢について、木原大臣から、尖閣諸島を含む東シナ海情勢及びロシアとの連携を含む中国による我が国周辺海空域における軍事活動の活発化に対し、深刻な懸念を改めて伝達しました。
 更に、木原大臣から、南シナ海情勢等について、深刻な懸念を改めて表明したほか、台湾海峡の平和と安定の重要性について強調しました。また、北朝鮮による度重なる弾道ミサイル等の発射を強く非難し、地域の不安定化への懸念を表明しました。
 その上で、両大臣は、「日中防衛当局間ホットライン」について、引き続き、適切かつ確実に運用していくことを確認したほか、今後も対話や交流を推進していくことで一致しました。

防衛省・自衛隊:日中防衛相会談について (mod.go.jp)

 

◎日中防衛相会談 中国の海洋進出に懸念も対話や交流推進で一致

 

 

 木原防衛大臣は、訪問先のシンガポールで中国の董軍国防相と初めて会談し、沖縄県の尖閣諸島など東シナ海での中国の海洋進出に対し懸念を伝えました。
一方、両者は、防衛当局間のホットラインを引き続き適切に運用し、対話や交流を推進していくことで一致しました。
 日中防衛相会談は1年ぶりで、冒頭、木原大臣は「日中間には尖閣諸島を含む東シナ海情勢や、わが国周辺での中国側の軍事活動の活発化など安全保障上、多くの懸念が存在している」と述べたうえで、防衛当局の間で議論を重ねることが重要だという考えを示しました。
 また中国とフィリピンが領有権を争っていることを念頭に、南シナ海情勢についても深刻な懸念を示すとともに、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調しました。
 董国防相は「双方の防衛当局は努力を尽くし、お互いに脅威とみなさない具体的な政策と行動を実行に移すべきだ。ぜひ木原大臣と意思疎通を図っていきたい」と述べました。
 そして両者は、去年運用が始まった防衛当局間のホットラインを適切に運用することを確認し、対話や交流を推進していくことで一致しました。
〇中国 董軍国防相 “互いに脅威とならない具体的な政策と行動を” 
 会談の冒頭、中国の董軍国防相は「中日両国は引っ越しのできない隣国だ。双方の防衛当局は、協力するパートナーであり、互いに脅威とならないという政治的コンセンサスを具体的な政策と行動で実行に移すべきだ」と述べ、日本側と意思疎通を図っていく意欲を示しました。
〇米国防長官 南シナ海での中国の行為非難も“対話継続を”
 アメリカのオースティン国防長官は、1日午前、アジアや欧米の防衛担当の閣僚らが出席してシンガポールで開かれているアジア安全保障会議で演説しました。
 この中で、オースティン長官は、フィリピンが実効支配する南シナ海のセカンド・トーマス礁の海域で、このところ、中国海警局の船がフィリピンの船に放水銃を使うなどして妨害行為を繰り返していることを念頭に、「フィリピンが直面してきた嫌がらせは危険だ」と非難しました。
 そのうえで、中国への対応も含めて、日本など同じ価値観を共有する国々との連携を強化する考えを示しました。
 一方、オースティン長官は31日に、対面ではおよそ1年半ぶりに中国の国防相と会談を行ったことに言及し、「誤解や誤算を避けるためには軍どうしの直接対話に代わるものはない」と述べ、中国との偶発的な衝突を避けるため、対話を継続する必要性も強調しました。
 また、オースティン長官は、フィリピンのマルコス大統領が31日に行った講演の中で、中国による妨害行為でフィリピン側に死者が出た場合、相互防衛条約を結ぶアメリカとともに軍事的な対応をとる可能性を示唆したことについて質問され、「仮定の話はしない」としながらも、「われわれの条約への関与は揺るぎない」と述べ、中国をけん制しました。
〇中国軍高官「全くの筋違い」米国防長官の演説に反論 
 アメリカのオースティン国防長官が、アジア安全保障会議で南シナ海での中国によるフィリピンへの妨害行為を念頭に「危険だ」と非難したことを受けて、中国軍を統括する中央軍事委員会の高官が、1日に現地で会見して反論しました。
 この中で、中国軍の統合参謀部の景建峰副参謀長は「南シナ海情勢はエスカレートを繰り返しているが、その根源はフィリピンの背信行為と、アメリカが情勢をかき乱し扇動していることにある」と指摘したうえで、オースティン長官の演説は「全くの筋違いだ」と反論しました。
 そして、「アメリカとフィリピンは対立や危機を生み出し、地域の国々の共通の利益を損ねている」と両国を非難しました。
 さらに台湾について、景副参謀長は「アメリカは近年、台湾の独立を支援し、武器を与え、台湾海峡を混乱させている」と非難し、「中国軍は、台湾が中国から分裂することを決して許さず、『台湾独立』勢力と戦うのをやめない」などと、従来の主張を繰り返しました。