トランプ氏側「再選なら就任直後に北朝鮮特使」 | すずくるのお国のまもり

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◎トランプ氏側「再選なら就任直後に北朝鮮特使…金正恩委員長と会談」(1)

 

 

 

「トランプ氏は北朝鮮との関係正常化を望んでいる。就任と同時に平壌(ピョンヤン)に代表を送って首脳会談について議論する」。
 トランプ前大統領の安保分野を補佐する米国第一政策研究所(AFPI)のフレッド・フライツ副所長(62)は23日(現地時間)、中央日報のインタビューで「トランプ氏には4年しか時間がないため、政府の構成に時間をかける余裕がない」とし、このように述べた。「(任期)4年以内に北朝鮮の非核化が実現するのか」という質問には「そうだ」と答えた。
 フライツ氏が副所長を務めるAFPIはトランプ陣営の核心公約の準備はもちろん、再選時に直ちに施行できる政策の準備をしている。トランプ氏の当選時に内閣に入る可能性が高いキース・ケロッグ元ホワイトハウス国家安全保障補佐官代行、ロバート・ライトハイザー元米通商代表部(USTR)代表ら共著者として参加したAFPIの報告書『米国国家安全保障に対する米国優先主義接近法』(9日)は事実上の公約集だが、フライツ氏が編集を総括した。
 バージニア州アーリントンのAFPIで行ったインタビューで、フライツ氏は「トランプ政権2期目の初日に発表する行政命令1号を準備中」とし「議会の批准を受けていない国際協定を脱退する内容」と紹介した。
 中央情報局(CIA)出身で国防情報局(DIA)、国務省、下院情報委員会などを経験したフライツ氏はジョン・ボルトン元ホワイトハウス国家安全保障補佐官の秘書室長と事務総長を務め、トランプ氏は安保関連の主要職務人事で繰り返しフライツ氏を候補群に挙げてきた。3月にフロリダ州マールアラーゴの自宅でトランプ氏と会ったハンガリーのオルバン首相との会談でも、フライツ氏がトランプ氏を補佐した。

--トランプ氏の外交政策の優先順位は何か。
「ヘンリー・キッシンジャー元国務長官は死去の直前、『バイデン大統領と敵国の首脳間の外交が不足する』と懸念していた。これがトランプ外交の優先順位だ。バイデン氏は2022年2月以降、ロシアのプーチン大統領と電話をしていない。冷戦時代にも首脳間で生産的な議論はしていた。トランプ氏の政策はさらに強硬になるだろうが、中国の習近平国家主席と会い、プーチン大統領とも対話をするだろう」
 

--対話相手には北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長も含まれるのか。
「当然だ。トランプ氏は就任と同時に『とても良い人物』を北朝鮮特使に指名する予定だ。その人物を早期に平壌に送り、首脳会談に進展させる案について議論するだろう。バイデン氏は『非常勤』北朝鮮特使を任命した。北朝鮮を重要だと考えていないということだ。北朝鮮はこれを侮辱と考えた」
 バイデン大統領は2021年5月、ソン・キム駐インドネシア大使を北朝鮮特別代表に兼職任命した。昨年末に彼が引退した後には国務省のジョン・パク北朝鮮担当高官が任務を引き継いだが、北朝鮮特別代表という肩書は使っていない。

--トランプ氏は最初の任期で北朝鮮との対話に失敗したが。
「(非核化を)達成できなかった。しかしそれ(対話の動き)自体が成果だと考える。私はCIA出身だ。韓国と日本の私の情報筋によると、金正恩委員長はトランプ氏が再選して外交を再開することを期待しながら7回目の核実験を保留している。ただ、対話の再開には前提条件がなければいけない。少なくとも北朝鮮がウクライナ戦争をするロシアへの武器支援を中断しなければいけない」

--トランプ氏も金正恩委員長との対話を準備しているのか。
「米朝首脳会談が決裂した『ハノイ・ノーディール』後、トランプ氏が(列車に乗って来た)金正恩委員長に大統領専用機『エアフォースワン』で平壌に送ると話したのは事実だ。金正恩委員長は断ったが、トランプ氏の言葉に(ホワイトハウス)警護室は狂っていると話していた。重要なのはトランプ氏が本当に北朝鮮との取引を望むという点だ。トランプ氏は関係正常化を望んでいる。会談が再開される場合はハワイを推薦したい」
 トランプ政権で朝米首脳会談の実務に関与したフライツ氏は、最近出版された文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の回顧録『辺境から中心へ』には慎重な反応を見せた。

--文前大統領は金正恩委員長の「非核化意志」が明確だったと主張した。
「慎重になるしかないが、明確に言えることがある。実際、金正恩委員長はシンガポール会談前まで非核化という言葉を使ったことがなかった。トランプ氏は金正恩委員長に朝米関係正常化以降に達成可能な北朝鮮の光り輝く都市などの見通しを反映した映像を見せた。外交専門家らに衝撃を与える破格なものだった。それ以前までしてきた他の試みは北朝鮮に通用しなかった。これ以外に他の方法があるだろうか。あるのなら知らせてほしい」
 

--文前大統領はボルトン元補佐官らがトランプ氏に反対したと話したが。
「異見があったのは事実だ。しかし彼らは異見の当事者ではない。対話をするたびに進展があったが、実務レベルでは違った。北朝鮮はもちろん米国の実務者級が同意しなかった。高官級が知らない提案をした実務者もいた。これがトランプ政権1期目の決定的失敗という点を認める。2期目にはトランプ氏が望まないことを北朝鮮に話す人はいないはずだ。『あなたはトランプ氏の考えを支持しますか』という質問に『はい』と答えることができない人は2期目に合流してはいけない」
 

--トランプ氏が考える非核化とは何か。
「文前大統領はトランプ氏と金正恩委員長の会談を実現させようと努力し、対話の促進に寄与した功労は認められる資格がある。しかし文前大統領は良い意図を持っていたものの、合意を引き出すのにあまりにも焦っていたようだ。トランプ氏は部分的・段階的な合意を望まなかった。シンガポールで文前大統領を除いたのもそのためだ。寧辺(ヨンビョン)核施設を例に挙げれば、非核化は決して特定施設だけを放棄することを意味しない」

 

--「米国中心主義(America First)」という言葉に対する拒否感がある。
「翻訳からくる違和感を理解する。ただ、要約するなら利己的な米国式接近法を意味する。これは韓国が外交政策を展開する時にする方式と全く同じだ。米国の外交は米国でなく政策エリートと国連が望む順序に基づいている。トランプ氏が書類上で立派に見えるパリ協定から脱退したのも、米国の経済と労働者にはよくなかったからだ」

--これによる最初の課題は何か。
「執権初日に発表する行政命令1号を準備している。議会の批准なく作動する超憲法的な国際協定を脱退する内容だ。中国主導の世界保健機関(WHO)、パレスチナを支援する国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)などが対象だ。ユネスコなど米国の利益に合わないすべての団体から脱退する計画だ。イスラエルのネタニヤフ首相に対する逮捕状を申請した国際刑事裁判所(ICC)も同じだ。米国は国際機構に米国の主権を渡したことはない。米国人は国連憲章でなく米国の憲法に従う。国連が米国の政策を決めるよう放置しない」
 フライツ氏は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領とトランプ氏が非常によく合うはずだと述べた。そして「(韓国の人たちが)米国を訪問する際、ワシントンでバイデン氏側の高官だけに会うのではなく(フロリダ州)パームビーチでトランプ氏とも会うことを勧めたい」と述べた。

--尹錫悦大統領に対する評価を聞きたい。
「北朝鮮に関心がなかったバイデン氏には実際、北朝鮮政策もなかった。ところが尹大統領の『核武装論』がきっかけになった。韓国の核武装の可能性のためバイデン政権はパニック状態となり、そのために尹大統領の訪米とキャンプデービッド米韓日首脳会議が実現した。尹大統領が3カ国を団結させたのは『バイデン氏の対中国・北朝鮮政策に効果がなかったためにしたこと』と話さなければいけない。また4年半ぶりに再開された韓中日首脳会談も、韓日指導者が中国と会い、バイデン政権に向けてさらに高い注意と関心を要求するという意味がある」

--トランプ氏が再執権すれば韓国の核武装は可能になるだろうか。
「韓国人の懸念をよく知っている。ただ、トランプ氏は今よりさらに強い核の傘を提供するだろう。核の拡散は非常に危険であるうえ、短期間で韓国が北朝鮮の核力量と脅威に追いつくのは難しい。したがって政策の目標は韓国の核武装を通した核均衡でなく、北朝鮮の非核化にならなければいけない。また、防衛費増額に関連してトランプ氏は韓国や日本でなく欧州の北大西洋条約機構(NATO)を狙っている。特にドイツとフランスなどが核心だ。在韓米軍を撤収したり減らしたりすることは絶対にない」
 フライツ氏は普段、トランプ氏と私的なゴルフも楽しむ関係だ。フライツ氏はインタビュー中、「尹大統領はゴルフをするのか」と尋ねた。また「トランプ氏はどの首脳と会う時も貿易と投資に関するデータを持っていく」とし「尹大統領がトランプ氏と会う時、韓国が米国の最大投資国という事実を強調することを勧めたい」と話した。