スペースXと米国防総省のスターリンク対ロシア共同戦線 | すずくるのお国のまもり

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お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎ロシア軍の「Starlink」使用を阻止することにアメリカ国防総省が成功

 

 

 ウクライナに侵攻したロシア軍が衛星インターネットサービス「Starlink」を使用していた問題で、アメリカ国防総省がロシア軍によるStarlink使用を阻止したことを明らかにしました。
「Starlink」は、4000基以上の人工衛星を用いてネット環境が十分ではない場所でネットを利用できるようにしてくれる衛星インターネットサービスです。理論上は「世界中のどんな場所でも利用が可能」ですが、実際にはサービスが運用されていない国も多々あります。
 2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻した時点で、ウクライナではStarlinkはサービスが提供されていませんでしたが、通信インフラが危機的状況になる恐れがあったことから、Starlinkを運営するSpaceXのイーロン・マスクCEOはただちにサービス提供開始を決断しました。
 一方、ロシアではサービスは提供されていませんが、2024年に入って業者を経由して端末を購入している事例が複数報じられました。Starlinkは「ロシア政府やロシア軍とはビジネスをしていない」と述べたものの、ロシアによる「不正使用」の可能性については明言しませんでした。
 ロシア軍がSpaceXの衛星インターネット「Starlink」をウクライナとの戦争の前線で使用していると報じられる - GIGAZINE
 しかし何らかの対応策があったようで、2024年5月、国防総省のジョン・プラム宇宙政策担当次官補は「ロシアのStarlink使用に対抗することに成功した」と述べ、不正使用を阻止したことを明らかにしました。
 ロシア側が用いているアンテナを機能不全にする策があったのか、あるいはその他の技術によって阻止を実現したのか、詳細についてプラム次官補は説明を避けています。

 

◎ロシア接続阻止せよ、スペースXと米国防総省のスターリンク共同戦線
 ウクライナ戦争の現場、ロシアがスターリンクを不正使用
 スペースXは信頼できる、マスク氏と話したことない-国防総省高官

 

 

 資産家イーロン・マスク氏の宇宙開発企業、スペースXが提供する衛星通信網「スターリンク」。これをロシア軍がウクライナとの戦争で不正使用するのを、米国防総省の担当官らがスペースXとの協力で阻止している。
 国防総省のジョン・プラム宇宙政策担当次官補が明らかにした。退任が決まっているプラム氏はインタビューで、「ロシアによるスターリンク端末の不正使用を防ぐべく、米政府はウクライナ政府とスペースXとの協力に力を入れている」と述べた。
 「現時点ではロシアの不正使用をうまく防げているが、ロシアは今後も使用を試み続け、スターリンクや他の商業通信システムを悪用する手法を見つけるだろう」とプラム氏。「この問題はこれからも続くだろうが、スターリンクとウクライナの両者と共にうまい解決策を見つけることができたと思う」と語った。
 スペースXの低軌道衛星に接続する通信端末は、携帯性が高い。これをロシアが使用するのをどのような戦術や技術、手順を用いて阻止しているのかについて、プラム氏は詳しい説明を避けた。ウクライナ政府高官もコメントを控えた。
 スターリンク端末は電子商取引サイトを通じてロシア国内で販売されている。販売者によれば、この技術が認可されている欧州諸国に住む人の名義で契約しているために、端末は機能しており、ロシア本土ではなく、ウクライナ内のロシア占領地などの国境付近で接続ができる。
 しかし今週、前例のない接続性の問題の報告がユーザーから相次いだ。ソーシャルメディアのテレグラムでは、ある売り手がより高額なグローバルサービスプランへの移行を買い手に勧めた。こうした回避策でロシアでの不正接続が回復するどうかについて、ブルームバーグは独自に確認できていない。
 マスク氏による時折好戦的で気まぐれな発言や、同氏のソーシャルメディア「X(旧ツイッター)」への投稿にもかかわらず、スペースXとの取引はうまくいっていることをプラム氏は明確にした。
 「私にとってスペースXは非常に信頼できるパートナーだ。同社の革新はスピードがあり、国防総省に有益なサービスを提供してくれる」とプラム氏。スペースXはまた、国防トップ企業ロッキード・マーチンとボーイングの合弁、ユナイテッド・ローンチ・アライアンスと競合し、国家安全保障目的の衛星を打ち上げるロケットも提供している。
 プラム氏は国防総省に在籍している2年間、「マスク氏と話したことは一度もない」という。