韓国国家情報院、北朝鮮の事件事故が増加傾向 | すずくるのお国のまもり

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〇「北朝鮮労働者コンゴ暴動」報道に韓国国家情報院「事件事故が増加傾向」

 

 

 韓国の国家情報院が26日、海外に派遣された北朝鮮労働者の集団反発が増える雰囲気という内容の日本産経新聞の報道に関連し「各種事件・事故が増加傾向にある」という立場を表した。「外貨稼ぎの尖兵」の役割をしている北朝鮮の海外労働者の相次ぐ集団行動は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が防ごうとする北朝鮮住民の外部文化接触と無関係でないという分析が出ている。
 同紙はこの日、中国で暴動を起こした約200人の北朝鮮労働者が本国に送還され、アフリカのコンゴ共和国の建設現場に派遣された北朝鮮労働者が暴動を起こしたという内容を複数の消息筋を引用して報じた。報道によると、コンゴの建設現場で働く北朝鮮労働者の数十人が先月、予定された帰国が延期になると、これに反発して暴動を起こした。
 国家情報院は「海外に派遣された労働者の劣悪な生活環境に起因する各種事件・事故が増加傾向にあるとみられ、関連動向を追跡している」と明らかにした。具体的な事実を羅列したわけではないが、こうした情報を把握しているという趣旨とみられる。
 産経新聞は1月に中国吉林省延辺朝鮮族自治州和龍市の衣類製造および水産物加工工場に派遣された北朝鮮労働者が最初に暴動を起こしたと報じた。国家情報院は当時も「海外派遣労働者の劣悪な生活環境のため多様な事件・事故が発生していて、関連動向を注視している」とし、事実上これを確認する立場を表した。
 北朝鮮関連情報について国家情報院は通常「NCND((肯定も否定もしない)」で一貫してきたため、今回の立場表明は注目される。国家情報院が信頼できる情報を入手して関連事案を追跡しているためとみられるというのが専門家らの解釈だ。
 国連安全保障理事会傘下・北朝鮮制裁委員会の専門家パネルの報告書によると、アフリカのコンゴ、トーゴ、コートジボワールなどでは北朝鮮の医療従事者が現地の病院で外貨を稼いでいる。安保理の北朝鮮制裁リスクに含まれる北朝鮮万寿台(マンスデ)創作社が受注した大型銅像建設現場などでも、北朝鮮当局が派遣した労働者の外貨稼ぎ活動が捕捉されたという。
 国家情報院が今回の立場で「増加傾向」という表現を使用した点も注目される。北朝鮮の海外派遣労働者の集団反発の動きを尋常でない兆候と判断することもできるからだ。実際、中国で最初に始まった暴動が近隣地域でなくアフリカにまでつながることは予想できなかった状況だ。
 特に北朝鮮当局が中国で暴動を起こした労働者を本国に送還して一罰百戒する状況でもこうした事態が起きたのは、金正恩委員長が「反動思想文化排撃法」(2020年)、「平壌(ピョンヤン)文化語保護法」(2023年)、「国家秘密保護法」(2023年)などを制定しながらも防ごうとした外部文物との接触による効果とも考えられ、国家情報院がより一層注視しているのではという分析もある。
 統一研究院のオ・ギョンソプ研究委員は「制裁局面で外貨稼ぎをして突破口を開く海外派遣労働者が、北の体制の耐久性まで脅かす『両刃の剣』となって返ってきた」とし「金正恩政権は統制と抑圧で住民の思想弛緩を防ごうとするだろうが、今回の事態の波及効果は時間が経過するほど大きくなると予想される」と述べた。