露義勇兵組織、ロシアに越境攻撃 集落2カ所制圧と報告 | すずくるのお国のまもり

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お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎ウクライナのロシア人部隊、ロシア2州に同時越境襲撃 一部占拠か

 

 

 ウクライナの志願兵部隊が再びロシア領内に攻め込んだ。
 とはいえ、あまり興奮しないほうがいいだろう。これは小規模な越境襲撃にすぎず、場所もウクライナ側もロシア側も大きな突破が期待できるような方面ではないからだ。
 もちろん、ウクライナ北東部スーミから北へ50kmほど離れたロシア南西部クルスク州の町チョトキノへの襲撃が、無意味だというのではない。プロパガンダ上の価値は別として、襲撃によってウクライナ側はロシア軍の一部部隊を前線から引き離せるだろう。
 一方で、ウクライナと国境を接するロシア南西部ベルゴロド州に対するもう1つの襲撃は、ウクライナ軍部隊を前線から引き離すことにもなり、これは問題になる。
 ウクライナ国防省情報総局隷下の外国人部隊の1つである自由ロシア軍団などは、11日から12日にかけての夜か12日未明、越境襲撃を始めた。同軍団もしくはその支援部隊は襲撃を進めるなかで、ベルゴロド州の上空でロシア空軍のスホーイSu-27戦闘機1機を撃墜したとの情報もある。
 自由ロシア軍団には、ロシアの独裁者ウラジーミル・プーチンの体制に対抗するロシア人が参加している。各数百人の2個大隊からなり、以前はウクライナ東部アウジーウカ市内や周辺で過酷な市街戦を戦った。
 自由ロシア軍団はチョトキノに隣接する国境検問所で問題に直面したようだ。どうやら、保有するT-64戦車の一両が地雷を踏んだらしい。それでも十分な数の兵士らが国境を越え、チョトキノに駐留する警官や兵士を駆逐した。軍団の兵士らが侵入先で壕に身を隠すなか、反撃してくるロシア側にとって「厳しい夜」になるだろうと軍団の報道担当者は予告している。
 反撃は避けられない。自由ロシア軍団やほかの志願兵部隊は昨年の春以降、越境襲撃を数回行い、ロシア兵数人を捕虜にしたりロシア側の車両数両を撃破したりしたこともあった。いずれも、より大規模で強力なロシア軍部隊が攻撃のために集まってくると、越境部隊は撤収している。
 チョトキノへの襲撃に関して、いつもとは違う結果になると期待できる理由があるとすれば、それはこの町周辺の独特な地理的条件だろう。チョトキノは、ウクライナ領の方向に凸状に突き出た65平方kmほどの土地の中にあり、北東以外の3方向をウクライナ領に囲まれている。ロシア側にとってさらに不都合なのは、町の西側に川が流れていることだ。そのため、ロシア側からチョトキノに入るルートは1つしかなく、機動の余地は非常に限られる。

 仮にウクライナ軍がこの凸部の周囲に砲兵を配置しているとすれば、自由ロシア軍団はいつもの越境襲撃の場合よりも長くチョトキノにとどまれるかもしれない。もっとも、ウクライナ軍は砲弾やロケット弾の確保に苦慮しているだけに、周辺に砲兵がいる可能性は低そうだ。
 ウクライナ側にとって最良のシナリオは、自由ロシア軍団がチョトキノに張り付き、ロシア軍部隊が反撃してくるたびに砲兵火力に要請して攻撃を加えてもらい、それを続けることでこの町を、ロシア軍を消耗させる新たな「罠」にすることだ。
 もしそうなっても驚くには当たらない。ウクライナ側はこうした罠を仕掛けるのがうまい。アウジーウカもそうだったし、それ以前にはマリンカ、ブフレダル、バフムートでも同様の仕方でロシア軍を消耗させた。
 半面、チョトキノが消耗の罠にならなくても驚くべきではない。ウクライナ政府は、新たに数十万人の兵士を召集し、疲弊した旅団の戦力を回復するために、喫緊の、だが不人気な動員法案を慎重に検討しているが、現在は身動きがとれない状態に陥っているようだ。
 法案が可決されるまで、身体が健康で丈夫な軍人はウクライナにとって代えのきかないリソースである。越境襲撃は、たとえ消耗の罠にできたとしても、この貴重なリソースの最善の用い方と言えるのかは疑問が残る。

 

◎露義勇兵組織、ロシアに越境攻撃 集落2カ所制圧と報告 露国防省は完全否定

 

 

 ロシアによるウクライナ侵略で、プーチン露政権の打倒を掲げてウクライナ側で参戦している複数のロシア人義勇兵組織は12日、ウクライナ国境と接する露西部クルスク州とベルゴロド州に越境攻撃を行い、クルスク州の集落チョトキノを制圧したと交流サイト(SNS)で報告した。チョトキノから露軍兵が敗走する様子を撮影したとする動画も公開した。
 義勇兵の取りまとめ役とされる元露下院議員、ポノマリョフ氏も12日、義勇兵組織がベルゴロド州の集落ロゾバヤ・ルドカを制圧したとSNSで報告した。
 一方、露国防省は同日、両州でウクライナ側の「テロ部隊」が越境攻撃を試みたものの、露軍が全て撃退し、越境を許さなかったと主張。「テロ部隊」が234人の人員やブラッドレー米歩兵戦闘車3両などを喪失したとも主張した。
 双方の主張が食い違っており、越境攻撃の成否は不明だ。ただ、ロシア人義勇兵組織は過去にも「露国民にプーチン政権と戦う勇気を与える」などとして越境攻撃を行ってきた経緯がある。義勇兵組織は15~17日の露大統領選を前に、同様の目的から越境攻撃を実施した可能性がある。

 

◎親ウクライナのロシア人武装集団、ロシアを越境攻撃

 

 

(CNN) 親ウクライナのロシア人戦闘員で構成される三つの武装集団が12日、ウクライナ側から自国の2州に向けて越境攻撃を開始したと明らかにした。発表の数時間前にはウクライナ軍がロシア各地の標的にドローン(無人機)攻撃を仕掛けていた。
 ウクライナのために戦う反体制派の武装集団「自由ロシア軍団」は以前、ロシアに侵入したと主張していた。同軍団は今回、ロシア南西部クルスク州のテトキノ村を完全に掌握したという。CNNはこの主張を独自に検証することはできない。
 自由ロシア軍団は数百人の百戦錬磨の志願兵で構成され、ウクライナ軍の指揮下にある。同軍団はロシア国内で装甲兵員輸送車を破壊したとも主張した。
 同じくロシア人で構成される別の武装集団「シベリア部隊」も同日、「ようやく祖国に入った。約束通り、ロシアの地に自由と正義をもたらす」とSNS「テレグラム」に書き込んだ。
 また、別の武装集団「ロシア義勇軍団」も戦いに加わっていると主張した。
 CNNはウクライナ国防省にコメントを求めている。
 一方、ロシア国防省は、戦車と装甲車両を運用する「ウクライナのテロリスト集団」が12日未明に3方向からロシアへ越境しようとしたが、攻撃は「阻止された」と発表。同西部ベルゴロド州の二つの村で戦車5両と装甲兵員輸送車を「排除」し、別の村の付近では越境を試みたウクライナ兵60人を殺害したと主張した。
 同省はこれより前にモスクワ州やベルゴロド州などの上空でドローンが防空システムにより撃墜されたと発表。オリョール州では貯油施設にドローン攻撃があり、火災が発生した。負傷者はなかった。