ハマスの武器の出処はイスラエル軍 | すずくるのお国のまもり

すずくるのお国のまもり

お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

「民間人の死傷者減らせ」…米国、イスラエルに武器提供中止カード検討

 

 

 米国がガザ地区のパレスチナ民間人死傷者を減らすためイスラエルに武器提供を遅らせたり一時中止することを考慮しているという外信報道が出てきた。合わせて米国・イスラエルと中東諸国の間ではイスラエルとパレスチナ武装勢力ハマスとの停戦に対する議論も続いている。
◇米「イスラエルに武器提供中止検討」
 米NBC放送が28日に伝えたところによると、米バイデン政権はガザ地区での軍事攻撃を縮小すべきとする米国の要求をイスラエルに受け入れさせるため武器提供をてことして活用することを議論している。
 NBCは「バイデン大統領がイスラエルのネタニヤフ首相に民間人死傷者を最小化するためガザ地区攻撃を縮小するよう要求したが大きな変化がないため、実質的な変化に向けた新たなアプローチ方式を選んだ」と伝えた。
 米国防総省はホワイトハウスの指示でイスラエルが米国に要請した武器のうちどの武器をてこに活用できるか検討している。メディアによると、155ミリ砲弾、精密誘導爆弾(JDAM)などの攻撃用武器の販売を中断したり提供時期を遅らせることを考慮している。ただイスラエルの民間人と基盤施設を保護するのに必要な防空武器は除外される可能性が大きいと伝えた。
 これを通じて米国はイスラエルがガザ地区に救護品を伝えるための人道主義回廊をさらに開設するなどパレスチナ民間人被害を減らすための措置を取るよう圧迫する計画だ。イスラエルが米国の要請を受け入れる場合、インセンティブとしてより多くの武器を提供することも考慮しているとNBCは伝えた。
◇2カ月にわたり停戦・人質解放交渉議論継続
 ガザ地区休戦とイスラエルの人質解放の動きも続いている。
 AP通信によると、イスラエル首相官邸はこの日、人質交渉問題を議論するためにフランスのパリで開かれた米国、イスラエル、カタール、エジプトの4カ国による会議が建設的だったと論評した。イスラエルは「まだ相当な溝が残っているが、今週も継続して関連議論が行われる予定」と付け加えた。
 今回の会議には米中央情報局(CIA)のバーンズ長官と、イスラエルの情報機関モサドのバルネア長官、カタールのムハンマド首相、エジプト総合情報庁のカメル長官が参加した。
 米交渉団関係者はAPに「2段階にわたり行われる約2カ月間の停戦合意に進展がみられる」と伝えた。1段階ではハマスが女性、高齢者、負傷者などの人質を解放する間イスラエルは30日間停戦する。この期間にイスラエルとハマスは追加の人質解放と攻撃中断など次の段階に向けた細部事項を議論する。2段階ではハマスが追加でイスラエル兵と男性民間人の人質を解放し、イスラエルは追加で30日間軍事作戦を中断する。
 イスラエル軍は28日にガザ地区南部地域であるカーンユニスなどで高強度の作戦を継続したとロイター通信が伝えた。ハマスの統制下にあるガザ地区保健省は28日、イスラエル軍の攻撃でこの24時間に最小165人が死亡し290人が負傷したと明らかにした。開戦後のパレスチナ人死亡者数は累積2万6422人だと発表した。
◇米紙「ハマスの武器の出処はイスラエル軍」
 一方、ハマスが使う相当数の武器の出処がイスラエル軍という事実が明らかになったとニューヨーク・タイムズが28日に報道した。
 同紙は武器専門家、イスラエルと西側の情報当局者の話として、ハマスがこれまでイスラエルがガザ地区に発射したが爆発しなかった数千発の弾薬を利用して多くのロケット砲と対戦車武器を作ることができたと伝えた。
 通常不発弾の比率は概ね10%だ。ところがイスラエルの武器の中には1950~70年代のベトナム戦争などで使われたミサイルなど古くなった弾薬が多く、不発弾の比率が15%に達すると指摘された。この不発弾がハマスが使う大量の殺傷武器に変貌した。750ポンド(340キログラム)不発弾1個で数百個のミサイルやロケット砲を作ることができるという。
 ハマスはまた、イスラエルの軍事基地から盗んだ武器で隊員を武装させているものと確認された。昨年初めのイスラエルの関連軍事報告書によると、数百丁の銃と手榴弾、数千発の弾丸が警備が疎かな軍基地で盗難され、このうち一部がガザ地区に流れて行った。同紙は「報告書に『われわれはわれわれの武器で敵に燃料を供給している』と書かれていた」と伝えた。