金正恩委員長が沖縄を狙って戦術核訓練 | すずくるのお国のまもり

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「南側領土占領」脅迫の金正恩委員長…沖縄を狙って戦術核訓練(1)

 

 

 北朝鮮が2日午前4時ごろ西海(ソヘ、黄海)上に発射した巡航ミサイルについて「戦術核攻撃仮想発射訓練」だったと3日、明らかにした。朝鮮半島全域のほか日本の国連後方司令部までも攻撃する可能性があることを誇示するための挑発という分析が出ている。
◆韓米訓練に対応…「核の引き金」言及も
 労働新聞は2日未明、朝鮮人民軍西部地区戦略巡航ミサイル運用部隊が長距離戦略巡航ミサイル2発を発射したと伝えた。同紙は、韓米両国が先月31日から2日間実施した連合空中訓練に対応するため、労働党中央軍事委員会の命令に基づき訓練が実施されたと主張した。
 特に「発射前に核攻撃命令認証手続きと発射承認体系の技術的および制度的装置の迅速な稼働正常性を検閲した」とし「迅速な承認手続きに基づき核戦闘部を模擬した試験用戦闘部を装着した長距離戦略巡航ミサイル2発が実戦環境の中で発射された」と強調した。
 これに先立ち北朝鮮は3月に「核の引き金」と命名した「国家核兵器総合管理体系」を紹介し、「多角的な作戦空間でそれぞれ異なる手段で核兵器を統合運用する」と主張した。このため専門家の間では、今回の訓練が金正恩(キム・ジョンウン)委員長の「核ボタン」とミサイル総局、各地に配備された戦術核運用部隊などにつながる核兵器総合管理システムに基づき体系的に行われたことを誇示したとみられる、という分析も出てきた。
◆合同参謀本部「北の発表は成果を誇張…すべてが成功したのではない」
 労働新聞は、巡航ミサイル2発が清川江(チョンチョンガン)河口で西海上に発射され、「8字形」に1500キロの模擬した飛行軌道をそれぞれ7672秒(約2時間7分)、7681秒(約2時間8分)ほど飛行した後、目標にしていた島の上空150メートルで空中爆発した、と主張した。ミサイルを空中で爆発させたのは攻撃対象に対する殺傷力を最大化する方式で訓練を実施した点を強調する狙いがあるとみられる。
 統一研究院のオ・ギョンソプ研究委員は「巡航ミサイルが8字形軌跡で飛行した点を強調したのは、探知・迎撃を回避できる技術を確保したことを強調しようという意図とみられる」とし「韓半島(朝鮮半島)はもちろん、有事の際、各種武器体系と支援兵力を発進できる1500キロの距離の沖縄国連軍司令部基地などを攻撃する可能性があることを暗示した側面もあるはず」と話した。
 韓国軍の合同参謀本部は「北の発表は誇張されていて、すべてが成功したわけではない」と明らかにした。北朝鮮メディアはこの日、巡航ミサイル2発のうち1発が島の上空で爆発する映像を共に公開したが、残りの1発は北朝鮮側の主張とは違って失敗した可能性も排除できないということだ。合同参謀本部は北朝鮮が先月30日深夜に発射した短距離弾道ミサイル(SRBM)2発についても「調べる必要がある」とし、北朝鮮の報道が事実に基づいていないという趣旨の立場を表した。

 

 

◆また軍需工場を訪問した金正恩委員長
 労働新聞はこの日、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が船舶用エンジンなどを生産する平安北道の中朝機械連合企業所と重要軍需工場を視察したと報じた。
 金委員長は企業所で「国の船舶工業発展と海軍武力の強化において重要な任務を担っている」とし「企業所の現代化と国の船舶工業発展方向について今後、党中央委員会全員会議は重要な路線を提示することになるだろう」と明らかにした。具体的な内容には言及しなかったが、年末の全員会議(第8期第9回)で海軍艦艇の現代化をはじめ海軍の戦力強化に関する「重大決定」を出す可能性があることを暗示している。
 ロシアとの軍事協力を念頭に置いた動きという分析もある。韓国国家情報院は先月の国会情報委員会報告で、ショイグ露国防相が7月の停戦協定70周年を記念して北朝鮮を訪問した当時、金正恩委員長と会談し、両国間の武器取引と連合軍事訓練を含む大きな枠組みの軍事協力を提案したとみている、と明らかにした。
 国立昌原大のホン・ソクフン国際関係学科教授は「北とロシアの国境は40キロにすぎず、陸軍よりは両国が共有する東海を舞台とする海軍に注目した可能性が高い」とし「ウクライナ戦争で米国と対立するロシアの立場でも、米軍戦略資産の牽制という側面で両国間の利害関係が一致する側面もあるだろう」と話した。
◆「海軍武力強化」を強調した狙い
 金正恩委員長は先月、海軍東海艦隊近衛第2水上艦戦隊を視察(8月21日報道)し、海軍節(8月28日)を控えた先月27日に海軍司令部で各種記念行事を自ら開いたのに続き、海軍関連の動きを浮き彫りにする状況だ。
 これは韓半島で戦争になる場合、地上戦で核力量を総動員すると同時に、海軍力で国連後方司令部の増援を防いで戦争の主導権を掌握する意志を表したものと分析される。特に海上訓練の定例化を通じて対北朝鮮軍事連携を強化する韓日米に対抗して韓半島で軍事的主導権を奪われないという側面もあるというのが、専門家らの評価だ。
 一部では昨年から各種新武器を公開して新たなカードがない状況で、従来のミサイル分野の成果を組み合わせるレベルで海軍に目を向けた可能性が高いという分析もある。オ・ギョンソプ研究委員は「長期化した経済難で成果が求められる金正恩の立場で、自分たちの戦術核能力を誇示するためのもう一つの手段として海軍を選択したとみられる」とし「劣悪な経済状況や国際社会の細かな制裁網に基づき海軍力の強化は限界を表す可能性が高い」と述べた。

 

◎北朝鮮「西海で戦術核の仮想発射訓練」…ペンニョン島占領を想定か
  

 

 北朝鮮は2日午前4時、西海に向け2発の長距離戦略巡航ミサイルを発射し、戦術核攻撃の仮想発射訓練を行ったと3日に主張した。先月30日に2発の短距離弾道ミサイル(SRBM)を発射してから3日後だ。北朝鮮は「29日から『南韓全領土占領』指揮訓練を実施中」と発表している。今回の巡航ミサイル発射については「北朝鮮の長山岬から約13キロ離れたペンニョン島など、韓国北西部の島に対する占領・攻撃を想定した実戦訓練では」との分析もある。
 北朝鮮の朝鮮中央通信は同日「試験用模擬核戦闘部(核弾頭)を装着した2発の長距離戦略巡航ミサイルが実戦を想定した環境の中で発射された」と報じた。同通信によると、北朝鮮の戦略巡航ミサイル運用部隊は清川江河口付近から2発の戦略巡航ミサイルを発射したが、この2発は約1500メートルの距離をそれぞれ7682秒と7681秒かけて8の字型軌道を描きながら飛行し、目標とする島の上空150メートルの高さで爆発したという。核攻撃を行う際には、四方への爆発力を最大限に高めるため空中で核弾頭を爆発させる。今年3月19日にも模擬核弾頭を装着した弾道ミサイルを空中で爆発させたが、今回は巡航ミサイルを使い空中で核爆弾を爆発させる試験を行ったようだ。
 北朝鮮は今年3月28日に「ファサン(火山)31型」と呼ばれる戦術核弾頭を初めて公開した。その際に規格化されたこの核弾頭について「600ミリ超大型放射砲(多連装ロケット砲)」や「巡航ミサイルのファサル(弓)1型と2型」など7種のミサイル、さらに攻撃型水中核ドローン「ヘイル(津波)」にも搭載可能と主張した。これについて韓国軍関係者は「北朝鮮はファサン31を公開してからは核弾頭の空中爆発試験とその訓練に集中している」と指摘した。巡航ミサイルはその速度がマッハ(音速)1前後にとどまり、マッハ10前後とされる弾道ミサイルに比べて遅い。しかし固定された放物線軌道を描く弾道ミサイルとは違い、巡航ミサイルは低い高度で地表面や水面に沿って8の字型など曲線で飛行し、障害物を避けて目標を攻撃することが可能だ。
 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は先月27日に異例にも海軍司令部を視察し「海軍力強化」を訴えたが、これを受け今回の戦略巡航ミサイル発射については「ペンニョン島上陸など海上での戦闘を想定した訓練」との見方もある。北朝鮮は戦略的要衝となるペンニョン島や延坪島など北西部の島々を含む西海地域で軍事的に優位な立場を確保するため、これまでも延坪海戦、哨戒艦「天安」爆沈などさまざまな挑発を続けてきた。韓国軍合同参謀本部のある関係者は「北朝鮮による追加の新たな挑発可能性を鋭意注視している」とした上で「金承謙(キム・スンギョム)合同参謀本部議長も先月7日に延坪島部隊を視察し、防衛態勢を確認した」と明らかにした。