◎ロシア軍、ウクライナ東部バフムト近郊で攻勢 坑道の争奪戦も
ロシア軍によるウクライナ侵攻で、東部ドネツク州の北部バフムト一帯が激しい攻防の舞台となっている。英国防省の10日の分析などによると、ロシア軍はウクライナ軍から要衝バフムトを奪取しようと、その北郊にある町ソレダル方面に攻勢をかけている模様だ。
ドネツク州は2014年春以降、親露派武装勢力が広域を支配してきた。プーチン露政権は現在、同州全体の占領をもくろみ、その足掛かりとしてバフムトの獲得を狙っている。ソレダルはバフムトの北東約10キロの位置にある。現地では最低気温が氷点下10度を下回る寒さの中、激戦が続く。
英国防省の分析では、過去4日間にわたってロシア軍と露民間軍事会社「ワグネル」の部隊がソレダルへ進撃し、既に町の大部分を占領した可能性がある。ソレダルの岩塩鉱山にある全長200キロに及ぶかつての坑道は敵陣侵入や兵員の退避に利用できるため、その入り口を巡る戦いも起きているという。
ロイター通信は10日、これらの戦いで双方に多くの死傷者が出ている模様と報じた。ウクライナ軍の報道官は地元テレビで「露軍は犠牲をいとわずに大勢の兵士を投入する第一次世界大戦当時の戦術を使っている」と主張した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は9日夜、大統領府公式サイトで公開した動画メッセージでバフムトやソレダルの激戦に触れ、「この困難で長い戦いの結果、ドンバス(東部ドネツク、ルガンスク両州一帯)全域が解放される」と重要性を訴えた。【カイロ真野森作】