おならの話 | 鈴木内科クリニック院長ブログ

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~食事で健康になれるはず~

先日のセミナーで麦飯を食べるとおならが増えるのはなぜという質問がありましたのでまとめてみました。

 

水溶性食物繊維やレジスタントスターチ、オリゴ糖などは、消化されずに腸内細菌によって代謝され、短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)と二酸化炭素、水素が作られます。


 この時作られる水素は還元力が強く、酸化ストレスを軽減する働きがありヒトにとって有益です。


 さらにこの水素はおもに3つの経路(酢酸生成、メタン生成、硫酸還元)で消費されますが、日本人の場合酢酸生成で消費することが多く、最終産物の酢酸はもちろんヒトにとって有益に利用されます。


 外国人の場合、メタン生成、あるいはメタン生成と酢酸生成の両方に水素が使われます。日本人はメタン生成のための腸内細菌がほとんど存在しない人のほうが多く、食物繊維をより有効に利用できる腸内細菌叢を持っている特徴があるといえそうです。


 ちなみに臭いおならは硫酸還元によってできた硫化水素などが原因で、メタンガスは無臭です。

 

 

 これは僕の個人的な考えですが、麦飯を食べ始めて最初のころはおならの量が非常に増えましたが、次第にその量が減っているような気がしています。水素ガスから酢酸への生成を担う菌が増えて、ガスとして排出される水素の量が減ったのではないかという仮説を考えています。

 
以下参照論文

The gut microbiome of healthy Japanese and its microbial and functional uniqueness