建築・住まい造りで私達が与えている地球への打撃 | スズキ建築設計

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スタッフの日頃感じていること

オゾン層が破壊される」といった情報をどこかで耳にしたこと がある人は少なくないでしょう。


オゾン層とは、上空、15㎞~50㎞にある成層圏の中間あたりにあり、太陽から降り注がれる有害紫外線から守る働きのある「オゾン」と言う物質が層を成しているものです。

 

 「紫外線」というと、シミ、そばかすの原因となる、と言った程度の知識しか持ち合わせていない我々にとって、その恐ろしさは想像をはるかに上回るもののようです。

 

この有害紫外線から守り続けてくれていたオゾン層の破壊は、我々人間がここ数年間の間に無防備に大気中に捨て続けてきた「フロンガス」と言う物質によるものが大きいようです。

フロンガスは、とても便利な物質とされていました。
 

人間には、直接的には無害とされ、安く、大量に作ることが可能であり、廃棄においても大気に捨ててしまえば問題ないとされて いたわけです。

 

そのために、冷蔵庫やエアコン、空調と言った、 「冷やすもの」ほとんどに利用されているといってもよいほどで しょう。

又、建築においても、高気密・高断熱が求められている 昨今、ウレタン建材の使用が目立っていますが、このウレタン建材等を製造するためには、フロン発泡、つまりフロンガスが使用されており間接的には、オゾン層破壊の手助けをしている住宅や建築物が少なくないということです。

 


*経済産業省WEBページより。

 

・発泡ウレタン断熱材の引火事故。

一部の建築や断熱材を扱っている関係の方には、自己消火性があるので、引火しても燃え広がらないと、安全性をPRする方もいるようですが。

ウレタン断熱材の原料は石油ですからね。

*2015年4月28日 読売新聞より。

 

現在では、規制され、代替フロンやフロンを使用しない発泡方法も開発されていますが、今まで使用されてきた、フロン発泡断熱材使用の建築物や住宅を解体する時には、大気中に放出されていきます。

 

このフロンガスが厄介であると言われる理由の一つには、空気よ り重く、又、分解しにくい物質のため、十年以上の長い時間をか けて、やっと成層圏にたどり着きます。
  そして、オゾン層の上方にきて、強力な紫外線により、初めて分解されるのです。

分解されたフロンは、DDT・PCB・ダイオキシン・トリハロメタンと言った危険物質同様に、塩素を発生しオゾンを爆発的に破壊する力を持っているのです。


そんな危険物質を発生させる製造過程に問題のあるウレタン建材の使用は、日本でも規制されていますが、問題のある状態であります。

 

今まで、フロン発泡で製造されたウレタン断熱材は建物の中に、ありますが、解体の時にでるフロンの量は大変な量になります。

また、エアコンの交換や撤去などは、フロン回収を義務づけられていますが、公共工事やマニフェストを求められる場合は、専門の業者によって、フロンが回収されますが、一般の事務所や、店舗などではフロンが回収されていることは全くないと言うほど少ないです。

 

逆に、銅などの非鉄金属が使われているため、非鉄回収業者に,転売し、撤去費用を浮かしているのが現状でしょう。

 

私自身、F級の冷凍倉庫を設計していた体験から、ウレタンの現場発泡断熱材に固定化されているフロンは大変な量です。

今話題になっている、築地の冷凍倉庫の解体などでは、大変な量のフロンが、大気中に放散されるでしょう。

断熱材からのフロンの回収方法は私の知る限りではまだないようです。

 

アメリカでは使用が規制されている他、ほとんどの先進国において、罰則付きの法律を作るなどの方策がとられ、フロンの放出を減らして います。

日本でも、オゾン層保護のためのモントリオール議定書を受け、「オゾン層保護法(昭和63年 (1988年))」に基づき、当初の特定フロン(CFC)の製造・輸入に関する規制や、代替後の特定フロン(HCFC)以外のオゾン層破壊物質については、平成17年(2005年)までに生産及び消費 ともに全廃です。

特定フロン(CFC)代替後の特定フロン(HCFC)(R22など)についても平成32年(2020年)に全廃にするために、フロン排出抑制法で規制されています。


塩素により破壊され、紫外線を吸収する力のなくなった無力なオゾン層からは、我々の生活する地球上に有害な紫外線を直接降り注ぐ結果となってしまったのです。

 

*経済産業省WEBページより


皆さんはオーストラリアに旅行に行ったことがありますか?
観光の名所でもあるオーストラリアでは、多くの人が日光浴を行い、楽しそうに海で泳ぐ姿を目にしますが、そのほとんどが日本人であることに気付いていたでしょうか。

考えてみれば、自ら有害な紫外線にあたって喜んでいるというのも妙な話です。

まして人間の皮膚を透過し、細胞内の遺伝子を傷つけ、皮膚ガンの発症が3人に2人とまで言われているオーストラリアでは、日差しを避けることは当然のことなのです。


又、世界的に、「カエルの姿を見なくなった」というような話も耳にします。

もちろん、自然が破壊され、行き場を失ったことも考えられますが、人間のように洋服といった防御策もなく、皮膚がもろに出ているカエルにとって、あるいは、皮膚もなく浅い水辺に密集しているカエルの卵にとって、この有害な紫外線の影響を直接受けることとなり、生命に危険が生じています。


もちろん、人間にとっても危険であることに違いありません。
 日焼けをすると風邪をひかない強い子になると言うような話もあるようですが、科学的には全く逆です。
 

紫外線を浴び、日焼けをすると、免疫力が一時的になくなり、そこにつけ込み、今夏、猛威を振るった大腸菌の一種である0-157やエイズといった感染症の危険を新たに発生させることとなるわけです。

 

又、皮膚ガンなどの症状は、10年以上経ってから徐々にその姿をあらわしてくるために、その危険性に気付くことなく、快適な一時的な生活を送っているだけなのです。


 ここでガンが発生する過程についてお話ししておきましょう。 


 我々の身体の細胞には、核があり、中には遺伝子が詰まっています。紫外線は、その遺伝子を傷つけてしまうのです。
 そして、傷つけられた皮膚の細胞は、我々の意識のない中でも必死にそれを治そうとしているわけです。
 もちろん、元通りに治れば問題ないわけですが、あまり多く傷つけられてしまうと、それだけ間違って治る可能性が高くなってしまうのです。


 中には、たくさんの傷を負いすぎて治すことができず、死んで しまう細胞も出てきますが、うまく治すことができないのならば、むしろ死んでしまった方がいいと言えます。


 ガンは、傷つけられた遺伝子が元通りに戻らず、「突然変異」 が起きて発生します。

そして、それは、何十年という長い歳月のうちに傷つけられた遺伝子の間違って治された一つ一つの変異が消えることなく、蓄積され続けた結果として出てくるわけです。


 怖いのは、いくら紫外線をガンガン浴びて日焼けをしたとしても、一日ではガンにはならないと言うことです。
 つまり、生まれたての赤ちゃんの時から、日焼けにより、遺伝子が傷つけられ続けているという影響が、後になって出てくるわけです。

 

オーストラリアでは、10歳までにオーストラリアに移住した白人と、10才以降に移住した白人とを比較すると10歳までに移住した人の方が、はるかにガンが多いと言われ、その頃までにたくさんの紫外線を浴びるとガンになる率が高いことが明らかとされています。


 まして、今後、更にオゾン層が破壊され続ければ、地球上に降  り注がれる有害紫外線の量は、現在をはるかに上回ることが予想され、無防備に太陽の光を受けることが危険であることはいうまでもないでしょう。
 

他にも、オゾン層の破壊は、紫外線だけの問題にとどまらず、オゾン層の破壊物質の一つとされる温室効果ガスでもあるフロンガスの影響により、地球温暖化にも関与しているようです。
 又、30年間記録されなかった気象を示す「異常気象」と言われるものが、ここ数年、毎年のように世界のあちこちで起こっていることはご存じの方も少なくないでしょう。


この現象についても、オゾン層・成層圏が破壊されることにより、その下に広がる対流圏を変化させ、今までになかった気象  を起こしている可能性が十分考えられているのです。
 紫外線の問題をはじめ、地球の温暖化、異常気象等、様々な症  状を訴え始めている地球に対して、私達は、一日も早く対策をたて、守っていかなければならない状況にあります。


地球の問題、雲の上の問題と言った、あまりにもスケールの大 きい問題だけに、「ちっぽけな一個人が何をしたって」と考える人もいるでしょうが、そのちっぽけな一人一人が考えていく  ことにより大きな力となることを忘れないで頂きたいのです。


 私達は、これまで我々の生活を守り続けてくれた大事なものを 一つ一つ壊しながら自分達の快適な生活を手に入れているのです。

しかし、その快適さは一時的なものであり、その壊されたものの影響は、既に我々人間をはじめとする様々な生物に警告として現れ始めています。


そして、一度壊れてしまったものを元通りにすることは難しく、安易に傷つけてしまったものへの代償は、計り知れないものとなるでしょう。

それでもあなたは、フロンガスを放出し、あるいは、製造過 程で問題のある建材を使用し続けますか・・・

 

*このブログは、私達が主宰するNPO法人木の住まいを創る会の発行する『木族』第67号で,掲載された記事を一部修正して、掲載しました。

 

参考:

ウレタン断熱材については、

2010/03/03に、ビッグローブのブログで、下記のことを書いています。

「ウレタン系断熱材が爆燃性とシアンガスが発生することを知っていますか。」

http://morinokitarou.at.webry.info/201003/article_1.html

 

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