あの屈辱を忘れない。
フクダ電子アリーナでの0-8という大敗を払拭するためにも、この千葉とのホーム戦は、どのような内容であろうとも、結果が欲しい一戦でした。
前節の大分トリニータ戦での勝利した勢いそのままに、栃木SCは積極的な攻撃を展開し、今シーズン初めてとなる逆転での勝利を奪い獲ってくれています。
選手の攻撃の推進力はここまでで一番に高く、シュート意識も格段に上がっていたことで、小林監督の意識改革が浸透して来ている印象を強く持った千葉戦になりました。
大分、千葉と、シーズンが折り返してからの2試合で連勝を奪えたのは素晴らしいことです。
降格圏内にありながらも勝点差は大きく詰まり、残留争いに多くのチームが加わってくれることになりました。
栃木SCとしては、この勢いのままに、来週からの東北遠征2戦でも負けない結果を残し、一気に残留圏内復帰を果たしたいところです。
対戦相手のジェフユナイテッド千葉は、ここまで3連勝と好調であって、PO圏内が目前に迫っていたことから、チームとしてのモチベーションも高く当然のように4連勝を狙っていました。
しかも、相手は降格圏内に沈む19位の栃木SC。
ホーム戦では8得点という結果を残して勝利した相手ですし、この栃木戦も勝点3を計算していたのは容易に想像できます。
前半早々に先制点も奪えていることから、現地組のサポーターも、DAZN組のサポーターも、4連勝を大きく意識したはず。
確かに、これまでの栃木であれば、先制されると守備は立て直しが効かずにずるずると失点を重ねてしまい、複数失点で敗戦するのが常でした。
それでも、小林監督の指揮になってからは、その流れが徐々に修正されて行き、今となっては完全とは言わぬまでも、複数失点を喫する守備は改善されたと思っています。
負けている中でも攻撃の流れは良く、前半で同点とすることができれば、後半に逆転劇もあり得るのではと、そう思わせてくれるほどに攻守のバランスは良かったです。
前半33分に栃木が同点としましたが、前線のプレスが効いて千葉の選手のミスを誘っています。
元栃木SCの選手であったGKの藤田選手。
プレスに慌てた訳ではないのでしょうが、バックパスに対しての選択は大きく蹴り出すものではなく、近くの選手へのパスでした。
その近くの選手が栃木の大島選手という構図になってしまい、ボールを受けた時点で、大島選手はGKと1対1となっていました。
飛び出したGKを冷静に見極めて、ゴール左に優しく流し込んだ同点ゴール。
このときのスタジアムの爆発的歓声は鳥肌ものでした。
そんなスタジアムにあって、同点とされた中で、ビジター側から聴こえて来る千葉サポーターの声量が更に増したのは圧巻で、これぞサポーターの応援だと、そう思わされたのです。
さあ、同点としたぞ。
後半、この流れを持って攻守にプレーできれば、逆転勝利もあると、そう思った前半でした。
【結果】
栃木SC 2-1 ジェフユナイテッド市原・千葉
前半 1-1
後半 1-0
【会場】
カンセキスタジアムとちぎ
【得点】
前14 田中和樹(千葉)
前33 大島康樹(栃木)
後25 平松 航(栃木)
【栃木SC警告】
前12 ラファエル(累積4枚目)※次戦出場停止
後13 大島康樹(累積2枚目)
後35 森 俊貴(累積1枚目)
【栃木SCスタメン】
GK 丹野研太
DF 平松 航
DF 福島隼斗
DF ラファエル
MF 森 俊貴
MF 奥田晃也
MF 川名連介 → 黒﨑隼人(後46)
MF 神戸康輔
FW 大島康樹
FW 宮崎 鴻 → 矢野貴章(後48)
FW 南野遥海 → 小堀 空(後16)
【栃木SCリザーブ】
GK 川名連介
DF 黒﨑隼人 ← 川名連介(後46)
DF 藤谷 匠
MF 井出真太郎
MF 揚石琉生
FW 矢野貴章 ← 宮崎 鴻(後48)
FW 小堀 空 ← 南野遥海(後16)
【審判団】
主審 : 窪田陽輔
副審 : 川崎秋仁
副審 : 田代雄大
【入場者数】
6,766人
【天候/気温/湿度】
晴/25.4℃/61%
前節からスタメン変更のなかった栃木SCですが、大分トリニータとの試合内容、結果からも、小林監督のこの判断は十分に理解できるものでした。
その大分戦でリーグ戦初スタメン、初ゴールを奪った川名選手の存在がこの千葉戦でも光っていて、栃木に推進力をもたらしたプレーがこの試合でも見られています。
そんな川名選手に触発されるかのように、森選手の推進力も高まっていた印象で、ボールを持ってからの攻撃のスピードは、ここまでの栃木からすると格段に良くなっているのが手に取るように感じるのです。
選手たちのプレーに押されたのはスタジアムの応援もそうでした。
本来であれば、応援が選手の背中を押すもののはずですが、この試合は、選手の活躍に逆に応援が押されたような感覚にもなりました。
しかし、それでも、素晴らしい一体感が溢れる雰囲気がカンセキスタジアムとちぎにがあったと思います。
千葉の攻撃は推進力があって怖かったです。
特に、左サイドから右サイドへの展開がロングパス一本で素早く行われ、そこに来て、深い位置にまで通されることから、栃木の守備はクロスを上げさせないことに集中することになります。
ただ、アウェイ戦で感じたような、細かいパスから中央を鋭く縦に出されるキラーパスは影を潜め、多くの場合でサイドからのもでしたので、そこは一定の守りやすさがあったのかなと思っています。
クロス精度の低さにも助けられました。
走り込む選手に合うクロスはなかったのではないでしょうか。
栃木の守備が高さでクリアして相手に決定機を与えていません。
奥に流れてそのままゴールラインを割るボールもありましたし、この辺に関してはかなり助けられたかなと、そう感じました。
中央からの攻撃を選択させないほどに栃木の守備が良くなっているのかもしれませんし、事実、裏を取られることは、この千葉戦だけではなく、前節の大分戦から見ても、かなり改善されています。
一気に崩されて失点を重ねるようなこと、ここから先はそうそうないかなと、そう思えるほどに、守れる守備へと変化してくれました。
同点として迎えた後半は、ややオープンな展開もあって、栃木のペースでもありながら、千葉のペースでもある。そんなどっちに転んでもおかしくない感じでした。
ボールを持ってから、「さて、どうしよう」と言った印象のプレーは大きく減っていて、選手個々の判断に要する時間は、勝てなかった時期と比べると改善されています。
そのことから、バイタル付近での攻撃にも迫力が出て来たと思いますし、クロスを入れるにても積極性あるものになっていますし、何より、エリア内に切れ込む攻撃が増えているのが嬉しくなります。
何となく、このままの攻撃を続ければ、流れの中からでもゴールが生まれるのではと、期待値は大きく膨らむ応援でした。
そんな状況下にあって、逆転ゴールが生まれていますが、それは、流れの中からではなく、ロングスローからという栃木としては珍しいもの。
平松選手が頭で合わせて、プロ初ゴールを決めてくれました。
大歓声に包まれたスタジアムに、笑顔でゴール裏に駆け寄る選手たちの姿がありましたが、どの顔も、自信に満ち溢れていたのが印象的でした。
更に、3点目にも期待が持てる展開で、1点を守りに行くのではなく、追加点を狙いに行く姿勢はかなり良かったです。
それでも、押し込まれる時間は出て来ます。
特に、試合終了が間近に迫った時間帯では、千葉の厚みある攻撃に晒されてしまい、守備に追われることなります。
そんな状況にあって、DAZNで振り返って知ったのですが、アディショナルタイムが1分追加されて5分となったいましたが、敢えて表示から追加するのは珍しいのでないでしょうか。
主審の中で追加することは当然になりますが、敢えて1分を追加するのは決して多くない事例だと思います。
その追加時間も集中した守備で乗り切ってくれました。
矢野選手を終了間際にピッチに送り出し、ピッチ上で落ち着きをチームに持たせた采配も良かったと思いますが、最後まで貪欲に勝点3を奪うために戦った選手の姿勢が本当に素晴らしい試合でした。
小林監督の指揮下で、チームに一体感が増しているのを実感させてくれる試合でした。
CKのキッカーとしてそこに立っているときに交代を告げられた南野選手、かなり立腹している印象でしたが、あの闘争心があってこそのストライカーだと思います。
なだめられながらの交代になりましたが、その先は、落ち着きを持ってベンチにいたと思いますし、何より、その後に平松選手の決勝ゴールが決まったときには、一緒に喜びを分かち合っていました。
本人としては悔しさもあったのは当然でしょうし、その想いは次節のベガルタ仙台戦で晴らしてください。
3連勝を呼び込むゴールを期待しています。
決勝弾は平松選手のプロ初ゴール。
同点弾は大島選手のJ通算200試合出場のメモリアルゴール。
記念すべき2ゴールで勝利となったことから、栃木SCサポーターとしても、忘れられない勝利となりました。
試合後に響いた県民の歌、本当に感動しました。
選手にも、サポーターにも、これでもかと溢れた笑顔が、どれだけ欲していたホームでの勝点3だったのかが分かります。
そして、あの屈辱的敗戦を味わったアウェイ戦の悔しさを晴らせた試合でもありました。
この勝利、この2連勝で、チームはJ2残留に向けて大きく前進することができそうです。
この千葉戦の前には、別会場でプリンスリーグ関東1部を戦うユースの試合もあったことから、2試合の声出し応援になっています。
そのことから、試合翌日は声がかなり掠れています。
それでも、その2試合でどちらも勝利を奪い、1日で2回も勝利の県民の歌を歌えています。
これ、栃木SCサポーターになって初めてのことです。
そのことから、本当に素晴らしい土曜日になりました。
次節のユース戦は、アウェイのベガルタ仙台との試合と重なることから応援することができませんが、ユースもトップも勝利する週末となることをこれでもかと期待しています。
2連勝してもなお、順位は変わらず19位のまま。
ただ、その上との差は大きく詰まりましたので、ここから先、多くのチームと残留争いを展開しながら、栃木SCが抜け出して、最後はJ2残留を掴み獲りましょう。
栃木SCにとっての逆襲の夏が、ここから始まります。
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