痛い連敗を喫した栃木SCは、順位は16位と変わらぬまでも、降格圏内との差を勝点1と詰められてしまい、厳しさが一層増してしまいました。
前節の鹿児島ユナイテッドFC戦の敗戦をそのまま引き摺ったような試合で、攻撃の形を作ることもできずに時間だけが経過してしまい、得点の空気が漂うこともなく、決定機演出がないままに終了の笛が吹かれています。
上手く行っていないチームです。それでも、スタメンはほぼ固定であって、試合内容にも変化が見られないことから、栃木SCの戦術に疑問を持つサポーターも多くなっているような印象を受けます。
既に12試合を消化して、それは全体の約3分の1になります。
それでも、未だに攻撃はチグハグで、守備は緩く失点を重ねるばかりです。
この背負った得失点差の大きなマイナスは、最後まで栃木SCに圧し掛かることになるでしょうし、それでいての下位ですから、これまでの残留争いにあったシーズンよりも、更に厳しいシーズンになるのは、現状からするに確実です。
いわきFC戦の試合内容は、正直、8失点を喫したジェフユナイテッド千葉戦よりも残念に感じてしまいました。
【結果】
栃木SC 0-1 いわきFC
前半 0-1
後半 0-0
【会場】
カンセキスタジアムとちぎ
【得点】
前28 谷村海那(いわき)
【栃木SC警告】
後07 神戸康輔(累積2枚目)
【栃木SCスタメン】
GK 丹野研太
DF 大谷尚輝
DF 藤谷 匠
DF ラファエル
MF 大森渚生 → 森 俊貴(後18)
MF 石田遼太郎
MF 大島康樹 → 小堀 空(後18)
MF 神戸康輔 → 朴 勇志(後28)
MF 南野遥海 → 井出真太郎(後47)
FW 奥田晃也
FW 宮崎 鴻 → イスマイラ(後28)
【栃木SCリザーブ】
GK 川田修平
DF 高嶋修也
MF 森 俊貴 ← 大森渚生(後18)
MF 井出真太郎 ← 南野遥海(後47)
MF 朴 勇志 ← 神戸康輔(後28)
FW イスマイラ ← 宮崎 鴻(後28)
FW 小堀 空 ← 大島康樹(後18)
【審判団】
主審 : 上原直人
副審 : 大川直也
副審 : 鶴岡泰樹
【入場者数】
6,434人
【天候/温度/湿度】
晴/27.9℃/35%
【第12節終了時順位】
16位
この試合は上原主審が裁いています。
栃木SC戦を担当するのはこれが初めて。ですから、初見の主審でした。
まず、栃木SC側から見た印象としては、少しこちらに厳しいようにも感じましたが、ただ、それは遠く離れた場所から見ての印象でしたし、何とも言えません。
DAZNで見返した印象としては、「それで吹くのか」というものと、「逆じゃないのかな」と感じる笛がありましたが、どれも、許容範囲内の判定だったと思います。
それでも、栃木に優しくしてくださいと思えたのは、サポーターとしては当然の感想にも感じました。
この試合は、栃木もいわきも、3-1-4-2のシステムでした。
完全なるミラーゲームでしたが、多くの場面で栃木が後手に回る展開が待っていました。
選手は固定されている栃木SCですが、それでも、選手間の連係は機能しておらず、ボールを持ってからの判断はやや遅れ気味に感じましたし、素早いいわきの寄せに苦戦を強いられ、パスは正確性を欠きました。
順調に勝ちを伸ばしているチームであるのならスタメン固定も頷けますが、上手く行っていないことは明白です。
それでも、変化を求めないのは、スタメン以外の選手では更に戦えない状態になるということなのでしょうか。
怪我人が多くいるのかもしれませんし、そのことから、スタメン選出にも苦労しているのかもしれません。
それでも、ここまで低迷している中で、固定を続ける理由が良く分かりません。
内部でしか分からぬ部分なのでしょうが、疑問に感じてしまうのも当然な状況にあると思います。
まず、試合内容は厳しいの一言で、良かった部分を探すのも難しいのではと感じています。
個人的には、1失点で済んで良かったと思えるほど。
いわきの攻撃は迫力がありましたし、栃木の守備は相当に苦戦を強いられています。
最少失点だったのは運があったからであって、いわきの決定機が得点に繋がらなかったのは、守備が機能していたからではありません。
攻撃は中央からは少なく、ほぼ、サイドからのクロスに頼ることになる栃木SCですが、そのクロスに正確性がなく、短かったり、長かったり、GKに直接キャッチされたりと、なかなか厳しさがありました。
エリア内に入った選手に合うことも少なく、いわての守備の必死な寄せもあって、先に触れることができないとなると、可能性を感じるには至りません。
前線の選手、動き出しも小さくて、ロングパスは宮崎選手をターゲットにするものが多用されました。
しかし、このいわき戦では競り負けることが多く、なかなかボール保持には至りませんでした。
このハイボール処理については、多くの場面で栃木が劣勢でしたし、先に触れた場合でも、そのボールを回収するのはいわきであって、高さを活かせない試合でしたので、栃木としてはそれだけで優位性が欠けることになっています。
守備から攻撃に転じたい場面でも、前線の動き出しに速さがなかったこと、サイドにロングフィードで出しても、そこから展開する攻撃に人数が足りていないことから、シュートで終わることも難しく、クリアから反撃を喰らうことも多くあって、全体的に、いわきにゲームを支配されていた感は否めません。
選手間の意思疎通は完全にいわきに軍配が上がる試合ですし、パスの素早さも完全に後手を取ってしまっています。
ピッチ上で修正することもできずに、何をどうしたら良いのかも不透明なままに、何となく前を目掛けてボールを送り、どうしようもないままに試合が終わってしまった……そんな感じを受けています。
うーん、やりたいことができないもどかしさ、選手にはあったのでしょうね。
イライラを見せるような仕草もありました。
パスを欲する場面でバックパスを選択して、前線の選手が不満そうにする様子もありました。
その辺は、完全に選手間の連係というか、意思疎通というか、その辺が機能していないのかなと、かなり思われたのです。
先制点を許してからも、攻撃は活性化しません。
というか、それ以上に、栃木の攻撃を抑え込んだいわきが素晴らしかったとも言えますが、打開策を見出せていないのはチームとしての弱さだと思います。
選手交代からの打開も図れませんでした。
朴選手が中盤に入ってから、少しは競る回数が増えたようにも思えますが、それでも、打開することはできません。
ただ、この朴選手のプレーには期待が膨らみましたし、これから先、スタメンでの起用があって良いのではと感じています。
負けている中で、最後の交代枠は井出選手でしたが、推進力がある選手であるだけに、既にアディショナルタイムに入ってからの交代にどんな意図があったのかは疑問もあります。
残り数分で交代によりピッチを出た南野選手には悔しさもあったのかな。あるいは、不満だったのかもしれませんが、その行動を見たとき、なかなか厳しいチーム状態なんだということを改めて教えられたような気がします。
正確な情報でないのですが、試合中、スタッフ同士が揉めていたという話も聞こえて来ます。
それって、かなり状況が良くないことを物語っているということですし、それが事実でないことを願うばかりです。
厳しい試合が続いていますが、それでも、直ぐに次の試合はやって来ます。
こんな状態で次節に臨むのですから、勝利の期待値を決して大きく抱くことはできません。
それでも、勝ちを期待するのは当然ですし、勝ってくれと願いながら、スタジアムに足を運ぶのです。
そんな試合であって、対戦相手は首位、清水エスパルス。
それだけに、順位的に近かった鹿児島戦、いわき戦では、勝点を奪っておきたかったです。
しかし、これだけ調子が悪いのです。
意外と、次節の相手が近接順位ではなく、大きく前を走るチームであるのは良いのかもと、そう思いことにしました。
思いっ切り、戦えるのかなと。
安易な考えなのは分かりますが、この勝点差でチーム力があるのを実感する中で、気持ちを切り替えやすい相手ではないでしょうか。
そう、前向きに捉えていただき、清水とのアウェイ戦に挑んでください。
そのアウェイ戦はゴールデンウィークでの大渋滞予想がある中での遠征になりました。
相当に早く栃木を出て、渋滞が本格化する前に清水入りすることで行動することになりそうです。
この敗戦をいつまでも引き摺れません。
試合後に、ゴール裏の一体感は皆無で、ブーイングと拍手、中心部以外から出た栃木SCコールもありましたし、そこはバラバラだったのは事実です。
石田選手からはゴール裏のサポーターに対してお怒りの様子も見られ、言い合いに発展するという事態も起こりました。
激しい言葉の応酬になったのも、お互いに熱い想いがあったからこそでしょうが、そこは当事者でない以上、深く突っ込むこともできません。
ただ、状況的には良くないということだけは感じます。
これを良い方向に持って行くのは勝点3だけでしょう。
勝って明るい雰囲気を復活させないと。そんな状況だと思いますよ。
スタジアム観戦された皆さま、お疲れ様でした。
後味が悪い試合でしたが、これも、不調が続くからこそです。
ここから脱却しないと、待っているのは降格圏。
まだ試合は残されているとは言え、そこに入ると脱出するのは難しいということ、降格を経験している栃木サポなら誰でも分かっていることです。
絶対にそこに入ることのないように、選手には頑張ってもらうしかありませんし、サポーターも応援するしかありません。
ああ、ここまで低迷することになるとは。
厳しいシーズンが繰り返されることになりました。
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