前節の大敗を受け、試合前に、橋本社長と佐藤祥キャプテンがゴール裏にあいさつに来ました。
皆さんの熱く一生懸命な応援は選手に届いている。
これからも熱い応援をよろしくお願いしたい。
選手は大敗を引き摺らず必死に戦う。
皆さんの声は真摯に受け止める。
と、要約するとこんな感じだったでしょうか。
ジェフユナイテッド千葉に0-8という惨敗だっただけに、この試合は、その嫌な思いを払拭しなければらぬ試合でした。
あれだけの歴史的とも言える惨敗から、どこまでチームが修正をして戦えるようになっているのか。
誰もがそれに注目した一戦でした。
レノファ山口FCとの第9節、ホーム戦。
栃木SCは、押される厳しい展開にありながらも、必死に我慢をする中で好機も作るなど、勝点3の気配も漂った試合でしたが、決定力に課題を残してのスコアレス・ドローとなりました。
そこには、山口の決定力にも助けられていますし、決して守備が攻撃を抑え込んだとは言い難いかもしれませんが、それでも、体を張った必死の守備が戻ったことは嬉しいことでした。
千葉戦の惨敗を払拭するには至っていません。
それでも、連敗を阻止する貴重な勝点1を積んだのだと、私は思っています。
正直、試合の立ち上がりは山口の猛攻に防戦に回ることとなり、脳裏にまたしても「複数失点」という嫌な予感めいたものを思い描いてしまいました。
クリアボールはそのほとんどが山口に拾われ、そこから厚い2次攻撃、3次攻撃に耐える苦しい立ち上がりです。
CKに逃れるクリアも多く、一向に栃木の攻撃ターンになりません。
攻撃に移れそうな場面でも、相手の寄せに自由度が小さいボール保持を強いられると、ボールを奪われて守備に転ずるというシーンが幾度も繰り返されることに。
特に、中盤の覇権争いは後手に回り続け、中盤から試合を組み立てるということが厳しい序盤になってしまいました。
失点も時間の問題なのか。
多くのサポーターがそう思ったに違いありません。
いや、それでも。
最後のところで必死にクリアを続け何とか耐え抜く守備を見ていると、このまま耐えることでチャンスがきっと来ると、そう思えるようにもなったのは事実です。
千葉戦のような緩々な守備はない。
このまま何とか前半を無失点で切り抜ければ、きっと後半に状況打開のチャンスが来る。
絶対にこの試合では失点をしないぞという、前節の大敗を引き摺らぬ選手たちの姿が、そう思わせてくれました。
それでも、完全に試合は山口ペース。
栃木SCにとっては、相当に厳しい戦いでした。
【結果】
栃木SC 0-0 レノファ山口FC
前半 0-0
後半 0-0
【会場】
カンセキスタジアムとちぎ
【得点】
該当選手なし。
【栃木SC警告】
後16 神戸康輔(累積1枚目)
【栃木SCスタメン】
GK 丹野研太
DF 平松 航
DF 藤谷 匠
DF ラファエル → 大谷尚輝(後24)
MF 大森渚生
MF 石田遼太郎
MF 大島康樹 → 小堀 空(後34)
MF 神戸康輔
MF 南野遥海 → 青島太一(後24)
FW 奥田晃也
FW 矢野貴章 → 宮崎 鴻(後17)
【栃木SCリザーブ】
GK 川田修平
DF 大谷尚輝 ← ラファエル(後24)
DF 高嶋修也
MF 土肥航大
MF 青島太一 ← 南野遥海(後24)
FW 宮崎 鴻 ← 矢野貴章(後17)
FW 小堀 空 ← 大島康樹(後34)
【審判団】
主審 : 田中玲匡
副審 : 林 可人
副審 : 小出貴彦
【天候/気温/湿度】
晴/20.8℃/57%
【第9節終了時順位】
15位
この試合は、千葉戦からややフォーメンションを変更していたように見えました。
恐らく、3-1-4-2だったと思います。
中3日の千葉戦から、MFの青島選手と、FWの宮崎選手がリザーブに回り、代わって、南野選手、矢野選手がスタメンに入っています。
バランス的には良くなっていたとは思いますが、山口の鋭さが光る縦へのパスに翻弄され、どうしても最終ラインが低くなってしまうことから、前述したように、守備に追われる時間ばかりが増してしまい、攻撃へ転ずることが難しい展開になってしまいました。
栃木戦ではこう戦えと、千葉戦から各チームへ報告が上がっているかのような酷似した試合内容でしたし、失点せずに何とか耐えていたのは、少しの守備強度の向上と、山口の決定機を逸してくれた攻撃があったからです。
山口は、前節から5選手が入替っていました。
フォーメーションは4-4-2と変化はなかったと思いますが、このスタメンの大幅な変更は栃木SCにとっては、戦いづらい要因の一つだったはず。
千葉のように、選手が連係を保ちながら素早く攻撃して来る中で、それぞれの選手の攻撃強度に、誰をどうマークして行くのかという基本的な部分の確認に時間を要したようにも感じます。
細かい横パスよりは、攻撃を素早く仕掛ける縦へのパスが脅威で、それが栃木の守備を臆病にさせ、高いラインを保てなくさせていました。
それにしても、本当に攻め込まれています。
与えたCKは90分で12本。
打たれたシュートは15本と、かなりの時間、山口の攻撃に晒されていたのかが、この数字からも見えて来ます。
それでも、失点を回避できているのは、山口の枠内シュートが2本と少なく、決定機にあっても、枠外にボールが飛ぶことでの無失点でした。
ここが千葉との圧倒的な差だったと思いますし、CKからファーサイドでフリーで合わせられた場面など、前節では確実に決められていた展開でした。
この山口戦では、枠外にシュートが逸れていて失点を免れていますが、この辺の守備は、前節から改善されていなかっただけに、次節に向けての大きな課題になりました。
前半は何とか無失点で切り抜けた。そんな表現がピッタリだったと思います。
後半からどう立て直すのか。
そこが最大の注目点でしたが、正直、後半の立ち上がりを見た感じでは、得点に期待は持てず、失点を何とか抑え続ける展開しか想像できぬものでした。
あわや失点という場面もありましたが、守備が必死のクリアを見せ、山口に得点を与えません。
この試合も、山口に先制点が生まれていれば、そこからの勢いを抑え込むことに苦戦をし、複数失点を喫していたと思うのです。
この無得点で切り抜けていることで、流れが少しずつですが、栃木に傾いて来るのですが、そこには、田中監督の選手交代が効いていました。
特に、後半34分に小堀選手がピッチに入ると、そこから流れが一気に来た感じで、得点の空気がカンセキスタジアムとちぎに漂い始めたのです。
それを感じ取るゴール裏の応援にも熱が入りました。
スタジアムに勝点3を奪い獲るぞという空気を漂わせ、それに反応するかのように選手の攻撃意識が高まると、栃木の攻撃が熱を帯びました。
最初の決定機はCKから。
まだ選手交代の前でしたが、デザインされたショートコーナーから中央にボールが出ると、最後は神戸選手がシュートを打ちました。
これは、相手GKにクリアされてしまいましたが、この決定機から徐々に栃木に勢いが出た感じです。
ただ、勢いある攻撃にはなったものの、枠内シュートはこの1本のみ。
ここに、栃木の攻撃の課題が見えた気がしますし、押している中でシュートを打てているものの枠に飛ばないことから、得点への期待値はそう大きく膨らまなかったのも事実でした。
それでも、後半34分にあったエリア内に入っての奥田選手のシュートが僅かに逸れた場面や、後半36分にあった小堀選手のシュートが僅かに上に逸れた場面などは、相当に山口を慌てさせたはずです。
最後は、攻撃と守備を互いに繰り返すオープンな展開になり欠けましたが、どちらにも得点は生まれることなくアディショナルの5分も経過して、勝点1を分け合う試合終了の笛が吹かれています。
あくまでも個人的な印象としては、負けなくて良かった試合であって、勝てた試合であったというもの。
これは、山口サポーター目線からもそうだったと思いますが、より、勝てなくて痛手だったのは、レノファ山口FCの方だったはずです。
それだけ、栃木を押していましたし、得点に期待が持てた攻撃を展開していました。
まず、前節からの悪い流れを内容はどうあれ断ち切れたのは良かった点ですし、この勝点1からチームが立ち直ってくれることに期待せずにはいられません。
試合後のゴール裏へのあいさつでは、どの選手も悔しさを滲ませていましたし、そこには次こそは勝つという気持ちが見えていたことで、サポーターの気持ちを高揚させてくれました。
その次節は北関東ダービー。
アウェイの地で、水戸ホーリーホックとの一戦ですが、その水戸もかなり苦戦を強いられていて、厳しいシーズンの序盤戦を戦うことになっています。
そのことから、この水戸戦は、本当に重要なアウェイ戦です。
絶対に相手を勢いづかせないためにも、この水戸に勝利して、確実に勝点差を広げ、ダービー奪取に前進しないといけません。
絶対に負けられない試合がダービーですし、互いにチーム状態を向上させるための試合になりました。
ビジターゴール裏を黄色で埋めて、栃木SC勝利のために、熱い応援を展開しましょう。
そこにはきっと、千葉での屈辱を払拭させてくれるだけの、見事な勝利があるはずです。
この山口戦のスタジアムでは、多くの方に、「千葉戦のブログを読んで泣かされました」と言われています。
読んでいただいているだけで感謝なのですが、その方々を泣かせようと書いている訳ではありません。
それでも、大敗にあって応援を続けるゴール裏に感動したと、本当に多くの方に話しかけられたのです。
そうであったのなら、それはそれでありがとうございますと、本当に感謝の気持ちしかありません。
好き勝手、自由なことを書いていることから、反感を買うこともありますが、スタジアムで声を掛けていただくことで励みにもなりますし、読んでいただいているサポさんには、どうかこれからも読み続けてくださいと、お願いするばかりです。
本当にありがとうございました。
勝点1にホッとした山口戦であり、勝点3を奪えなかったことに残念にも思えた山口戦。
そんな感情を繰り返しながらリーグ戦は続きますが、最後はみんなで笑ってシーズンを終えられると嬉しいです。
押してください。