新幹線の中で足止めを喰らい、前日のうちに藤枝入りすることができなかった栃木SCの選手たち。
このままでは試合開催も危ぶまれる状況に、チームは苦肉の策を講じました。
そのまま栃木に戻って、試合当日の朝、選手バスで藤枝市を目指すことに。
高速道路は通行止めもあって、ルート選択にも苦労したと思います。
スタジアムに選手バスが入ってい来ると、その事態を把握していたサポーターが、これでもかと拍手を送り、栃木の選手たちを出迎えました。
到着したのは15時30分。
実に、キックオフ90分前というギリギリの時間だったのです。
きっと、寝たくても寝れなかった選手もいたはず。
十分な練習時間もないままに試合に臨むことになって、最後の最後に痛恨の同点弾を喰らう結果になってしまいましたが、このことを言い訳にすることもありませんでした。
それだけに、悔しさ以上に、勝って欲しかった。勝たせたかったという気持ちが大きく、何とも言えぬ気持ちが膨らんだのです。
諸事情を理解し、キックオフを遅らせてくれた藤枝MYFCには感謝しかありません。
本当にありがとうございました。
選手だけではなく、遠征する栃木サポーターも苦労を強いられました。
東名高速道路の通行止めをどう迂回して現地へ入るのか。
次々にSNSへと投稿されるサポーターの情報を共有し、御殿場から下道を行くのか、富士河口湖付近から行くのかなど、様々なルートを考え、それでも、現地へ行く選択を諦めることなく藤枝を目指します。
それ以前に、試合が開催されるのかという不安もありました。
どう見ても、延期することが最善の選択肢だと思えるような状況にあるのではとも思ったほどに、避難勧告も出ている場所もありました。
多くの関係者の努力があって開催された試合だったのは一目瞭然。
現地に入り、スタジアムに到着したとき、「本当に大変な状況の中、藤枝まで来てくれてありがとうございます」と、多くのスタッフから言われたとき、「開催に向けて尽力していただき、こちらこそありがとうございます」と、そう言わずにはいられませんでした。
J3だった2017シーズン以来、実に6シーズンぶりの訪問となった藤枝総合運動公園サッカー場。
懐かしさの中、改修されたスタジアムは、完全にJ2仕様となっていました。
当時はなかった電光掲示板があって、バックスタンドは芝生席から屋根付きの座席へと改修を進めていました。
スタグルの出店もかなり増えていて、確実にチームが成長していることを見せつけられた感じ。
それでも、当時に感じることができた温かみある接客は健在で、本当に素敵な場所だと思わされました。
前回はメインスタンドでの応援でしたが、J2となった今は、ゴール裏が解放されて、そこで応援することもできます。
個人的には、それがとても嬉しくて、芝生席ながらもそれを不満に感じることが微塵もないスタジアムは、とても見やすく、そして、臨場感が溢れます。
絶対に、来シーズンも遠征するぞ。
そう思わせてくれたスタジアムでした。
栃木SCの選手紹介。
その一人一人に、藤枝サポから拍手が送られます。
栃木SCコールもありましたが、これはJ3時代にもあったこと。
おもてなしの気持ちは素晴らしく、藤枝サポーターの優しさが伝わって来ました。
試合はなかなか栃木に厳しい展開で、藤枝の攻守に手を焼くことに。
特に、攻撃はシュートで終わる展開に持ち込めず、中途半端に終了することから、得点が生まれる気配はとても小さかったです。
その反面、藤枝の攻撃はなかなか脅威。
クロスから頭で合わせられ、シュートに持ち込まれることも多く、失点する気配は試合終了時間が近くづくに連れて大きくなって行くのですが、シュートはことごとく、GK藤田選手の正面へ飛んでくれました。
それが運だったのでしょうか。
そのまま試合終了となれば、間違いなく運だったのかもしれません。
しかし、最後の最後、その頭で合わせられたシュートがゴールネットに突き刺さることに。
その時間は、アディショナルタイム5分の表示で、49分という時間だったのです。
またしても、その時間帯に失点するのか。
愕然とする中、中央の若手サポの声は大きさを増し、まだ時間はあると、応援の熱量が上がったことで、選手だけではなく、応援する身としても背中を押された感じです。
【結果】
藤枝MYFC 1-1 栃木SC
前半 0-1
後半 1-0
【会場】藤枝総合運動公園サッカー場
【得点】
前41 福島隼斗(栃木)
後49 山田将之(藤枝)
【栃木SC警告】
前16 岡﨑亮平(累積4枚目)
後36 矢野貴章(累積1枚目)
後38 藤田和輝(累積2枚目)
※岡﨑選手は、次節出場停止
【栃木SCスタメン】
GK 藤田和輝
DF 大谷尚輝
DF 岡﨑亮平 → 大森渚生(後19)
DF 福島隼斗
MF 佐藤 祥 → 西谷優希(後19)
MF 森 俊貴
MF 神戸康輔
MF 福森健太
FW 山田雄士 → 髙萩洋次郎(後44)
FW 根本 凌 → 宮崎 鴻(後32)
FW 小堀 空 → 矢野貴章(後32)
【栃木SCリザーブ】
GK 青嶋佑弥
DF 吉田朋恭
MF 大森渚生 ← 岡﨑亮平(後19)
MF 西谷優希 ← 佐藤 祥(後19)
MF 髙萩洋次郎 ← 山田雄士(後44)
FW 宮崎 鴻 ← 根本 凌(後32)
FW 小堀 空 ← 矢野貴章(後32)
【審判団】
主審 : 御厨貴文(栃木戦、今シーズン2試合目)
副審 : 山村将弘
副審 : 内山翔太
【入場者数】1,511人
【ピッチ状態】良芝
【天候/気温/湿度】曇/21.7℃/78%
【風】無風
【第19節終了時順位】16位
前節のファジアーノ岡山戦からメンバー変更は1選手。西谷選手に代わって神戸選手が入りましたが、それ以外は同じでした。
前節の良い流れをそのままに、今シーズン初の連勝を掴み獲りたい試合でしたが、その夢は、残り1分という最終盤で粉砕されるという悪夢が待っていました。
連勝だけではなく、今シーズンのアウィエ初勝利も儚く消える失点は、本当に心が折れてしまいました。
それでも、様々な事情があって、試合すら危ぶまれた中でのアウェイにあって勝点1を積めているのは結果として最低限。
順位も落とすことなく、17位から16位へと上げていますし、悲観する結果ではなかったのも事実です。
ただ、同点への経過は反省してもし切れないほどの痛恨。
依然として改善されない部分なだけに、「またか」という思いはどうしても沸き起こってしまいました。
互いに決定機は遠く、得点のないままに前半は終わるかなと、そう思っていました。
しかし、41分にセットプレーから栃木に先制点が生まれます。
FKのキッカーは福森選手。
ふわりとした浮き球に根本選手が頭でエリア中央へ折り返しましたが、相手GKにキャッチされてしまいます。
しかし、混戦の中で、藤枝の味方同士での接触があったように見えました。
思わずこぼれ出たボールに一早く反応したのが福島選手。相手選手の間を縫ってボールがゴールネットを揺らすと、決して多くない栃木サポーターから歓声が沸き起こります。
気配のない状況からの先制点。
そこから無難に前半を乗り切り、1点のリードを持って後半に臨むことになりました。
守備はなかなか安定している。
藤枝の選手を自由にさせず、厚みのある攻撃も許していない。
よし、行ける。連勝、アウェイ初勝利を掴み獲れる。
そう思ってからの後半ですが、選手交代で圧力を増した藤枝に対し、なかなか修正が効かぬ栃木は、時間が少なるなどに、守備に追われる展開に陥り、追加点の可能性は限りなく小さくなり、何とか1点を死守することになってしまうのです。
後半は藤枝の攻撃は活性化。
クロスも上がるようになりますし、そのボールが頭で合わせられ、シュートまで持って行かれることになります。
ただ、そのシュートが藤田選手の正面を突くことが多く、そのことからも、何とか耐え忍べるかと、そう思いながら祈る気持ちで時間経過を待つことに。
最後の交代は後半44分に髙萩選手を入れて終了。
チームとしては、何とか前線で髙萩選手にボールを入れて、キープする時間を増やし、そのまま逃げ切るという意図があったのだと推測します。
しかし、その髙萩選手にボールを入れる展開には至りません。
守備に追われることから重心が大きく下がってしまい、髙萩選手もそこに吸収される格好で、攻撃という選択肢が限りなく萎んでしまいました。
失点へと繋がったCKは、ゴールラインを割るクリアを選択したことでのCKでしたが、そのプレーは、クリアする必要はなかったと思います。
そのままでも、GKの藤田選手は間違いなくキャッチできました。
連係ミスではないのでしょうが、それでも、結果論としては残念なクリアだったのかもしれません。
まあ、必死に守る中で、クリアしないという選択肢はあり得ないのでしょうね。
ただ、そのCKが失点へと繋がっただけに、やっぱり残念に感じてしまいました。
御厨主審の笛が響くと、これでもかと悔しさが沸きました。
中央で応援している若手サポが、「完全に勝てると油断していた。そのことから、応援に必死さが欠けていたのかもしれない。勝てなかったのは自分たちの責任」と、そう言っていました。
その言葉に、胸が痛みます。
そうだ、自分も油断していました。確実に、間違いのないほどに。
勝てば勝点22で、順位は幾つ上がるのだろう。
そんなことを思っていましたし、このCKをクリアすれば終了かなと、何とも情けない思いを持っていたのです。
そうか、そんな思いが伝播することもあって、結果、勝点をの逃すような応援になってしまったのかと思わされました。
背中を押すとか言いながら、押し切れなかった。そのことを強く反省しながら、スタジアムを後にするこになった感じです。
この同点に悔しいのは誰よりも選手のはず。
その悔しさを持って、次節の天皇杯、そして、アウェイ徳島ヴォルティス戦に臨んでください。
アウェイ初勝利は、もう少しお預けです。
帰りの高速はスムーズで、渋滞もなく栃木県まで戻って来れました。
車内では、今後のアウェイ戦について打合せもできましたし、負けてもなお、栃木SCの応援のために、行けるアウェイは行こうという気持ちを共有できたことは良かったと思っています。
ただ、平日となるブラウブリッツ秋田との天皇杯は遠征できませんし、翌週の徳島ヴォルティスとのアウィエ戦も遠征できません。
その2試合の応援は、現地組に託します。
どうか、素晴らしい応援で勝利を掴み獲って来てください。必死に念を送ります。
この藤枝遠征は、前日の豪雨のために仕事は徹夜。
車内で軽く仮眠は取れたものの実質、43時間ほど眠れない状況での遠征になりました。
試合の翌日は、前橋までユースの応援に遠征したことから、43時間ぶりの睡眠もちょっとだけ。
なかなか疲れが抜けない週末でしたが、栃木SCがある生活ですから満足しています。
こんな生活がまだ続きますように。
サポ友さんにこれでもかと恵まれて、とても幸せなスタジアム生活を送れています。
この藤枝遠征でもお世話になりました。
これからも、よろしくお願いします。
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