19位の栃木SCと、20位のモンテディオ山形の下位決戦となった平日、水曜日の試合。
試合前には激しい雷雨に見舞われ、びしょ濡れでの試合観戦となりました。
空気も冷たく、寒さがあるナイターです。
互いに負けられない、負けたくない試合。
もがき苦しむチーム同士。
勝利の女神が、最後は栃木に微笑むことになりましたが、それは、本当に紙一重のことで、一つ一つのプレーが行方を左右したのは言うまでもありません。
攻撃陣を若い選手で形成した時崎監督。
その起用が見事に的中し、山形から2点を先制する素晴らしい展開が待っていたのです。
前半30分くらいまでは完全に栃木の攻撃が山形を守備に追い込み、複数得点すらも期待できる展開でした。
早い時間帯に根本選手が今シーズン初ゴールを決めて優位に立ちましたが、ピッチ上で修正する力が際立つ山形は、徐々に栃木の攻撃を抑え込み、流れが完全に山形へと傾いてしまいます。
それでも、縦への推進力が緩く感じる山形の攻撃にも助けられ、何とか失点せずに前半を終えることができました。
しかし、後半は押し込まれる展開が待っているのではないか。
その攻撃を抑え込むことができるのか。
そんな不安があったのは事実です。
前線からのプレスは徐々に激しさを失い、最終ラインが低くなると、完全に山形ペースとなる後半かと思われたとき、またしても根本選手が追加点を決めて、山形を突き放してくれました。
試合経過だけを見るのであれば完全に栃木優位のはず。
しかし、ここから山形の攻撃は激しさを増し、栃木は守備の時間がこれでもかと多くなってしまいます。
果たして、最後まで耐えきることができるのか。
山形が1点を返すと、その勢いは更に増すことに。
栃木の守備は何とか1点を死守しようと、必死に守りに守り、長い長い6分というアディショナルを耐えに耐え、最後は逃げ切ることに成功しました。
歓喜に沸くスタジアム。
栃木SCの今シーズンの2勝目。
それが達成された瞬間、サポーターには笑顔が溢れたのです。
【結果】
栃木SC 2-1 モンテディオ山形
前半 1-0
後半 1-1
【会場】カンセキスタジアムとちぎ
【得点】
前09 根本 凌(栃木)
後09 根本 凌(栃木)
後28 田中 渉(山形)
【栃木SC警告】
該当者なし
【栃木SCスタメン】
GK 川田修平
DF 大森渚生
DF 岡﨑亮平 → 平松 航(後25)
DF 福島隼斗
MF 佐藤 祥
MF 西谷優希
MF 森 俊貴 → 大島康樹(後28)
MF 福森健太 → 黒﨑隼人(後25)
FW 山田雄士 → 植田啓太(後44)
FW 根本 凌 → 小堀 空(後25)
FW 安田虎士朗
【栃木SCリザーブ】
GK 藤田和輝
DF 黒﨑隼人 ← 福森健太(後25)
DF 平松 航 ← 岡﨑亮平(後25)
MF 植田啓太 ← 山田雄士(後44)
MF 神戸康輔
FW 大島康樹 ← 森 俊貴(後28)
FW 小堀 空 ← 根本 凌(後25)
【審判団】
主審 : 今村義朗
副審 : 桜井大介
副審 : 長谷川雅
【入場者数】2,901人
【ピッチ状態】全面良芝
【天候/気温/湿度】晴/13.9℃/90%
【風】無風
【第9節終了順位】18位
前節からのスタメン変更は2名。
黒﨑選手、髙萩選手が外れて、森選手、安田選手が入りました。
髙萩選手は、前節、担架で運ばれる形での負傷交代でしたので、もしや怪我なのかと不安も過りましたが、噂では、ターンオーバーでの休養ではないかとのこと。
そうであることを願うばかりです。
1トップの根本選手に、2シャドーの山田選手、安田選手の連係は良く、特に前半はこの3選手の駆け上がりが効果的で、山形の守備を苦しめていたと思います。
かなり押し込む展開で、これは完全に栃木のゲームかと思ってしまったのは反省します。
いやいや、そんな展開になる訳もなく、リードをしながらも心臓に悪い、またしても終盤に同点にされてしまうのか。そんなことを思い浮かべてしう展開になってしまいます。
この試合、2得点を奪った根本選手に賞賛の声が上がるのは当然ですが、個人的には、再三のピンチを好セーブでクリアし続けたGKの川田選手もヒーローインタビューを受けるだけの活躍だったと思います。
幾度となく、ゴールを割られたと思ったことか。
それらを弾きに弾き、山形の攻撃を最後まで防ぎ切りました。
田中選手に決められて失点はしているものの、あれは守備強度に問題があったようにも感じますし、何より、山形の勢いと、素晴らしいゴラッソでしたので、川田選手としてはノーチャンスだったと思います。
川田選手の活躍が光ってこその勝点3だったと思いますし、根本選手と共に、この試合のMOMではないでしょうか。
そして、個人的には、山田選手の活躍も光ったと思うのです。
特に、個人技は天下一品で、エリア内で相手選手を交わしながらシュートまで持って行ったプレーなどは、これまでの栃木では決して見ることのできぬものです。
個人技で状況を打開できる選手だと思わされたプレーでしたし、今後の栃木の躍進に欠かせない選手だとも思ったのです。
勝った試合でしたが、課題も残りました。
特に、2点リードしてからの展開は、追加点を狙いたい中で山形に押し込まれ、最終ラインは低くなり、セカンドボールも拾えない展開は、絶対に改善して行かねばならぬもののはず。
山形の攻撃に手を焼き、幾度となくCKを与えてしまい、そこから厚く攻撃を繰り返される展開は、上位進出のためには改善する必要があります。
右サイドから中央へ切り込まれ、そこから田中選手にゴラッソを決められてしまいましたが、あそこは選手の寄せも甘く感じましたし、何となく、集中が切れていたような雰囲気もあったかなと。
2点リードの余裕ではないのでしょうが、終盤に失点を繰り返し、勝点を逃している栃木としては、ああいった失点は防いで行かねばならぬと思った次第です。
クロスも比較的余裕を持って上げられる場面もありましたし、その度に、山形の決定力に助けられた感も否めません。
助けられた内容でもありますが、それでも、必死の守備が呼び込んだ勝点3でした。
栃木の2得点を振り返したいと思います。
1点目は、根本選手の個人技が光った先制ゴールでしたが、そこにパスを供給した山田選手のプレーも目を引きました。
相手選手をいなす感じで出されたスルーパスは、視野の広さを物語っていたと思います。
最終ラインとの駆け引きから、オフサイドギリギリで抜け出した根本選手も素晴らしかったと思いますが、何より、エリア内で冷静にフェイントを使い、DFとGKを交わしたシュートは圧巻でした。
押され気味の後半早々にもゴールを決めていて、それが栃木を救う2点目となります。
右サイドから福島選手が脅威のスルーパスを出してくれました。
これ、本当に狭い隙間を通したパスで、ここを狙ったかと驚かされたほど。
完全に裏に抜け出した根本選手が、左足をこれでもかと伸ばし、ゴールへと押し込んでの追加点でした。
根本選手としては、ハットトリックを狙いたかったと思うんです。
しかし、後半25分に小堀選手と交代。充実感と一緒に、悔しさもあったのではないでしょうか。
ここまで8試合で無得点。二桁得点を目標に掲げていただけに、本人としてもこれで肩の荷が下りたというか。
これで、気が楽になったはず。ここから、ゴールを量産してくれそうで期待しています。
試合後、ゴール裏に来た根本選手の笑顔、本当に素敵なものでした。
驚くべきことに、この敗戦で、モンテディオ山形は7連敗。
監督交代のブーストも発動せず、これは相当に厳しい状況にあります。
しかし、この試合では2失点はしているものの弱さは見えず、厚みのある攻撃は脅威でしかありませんでした。
ここまで低迷している理由は分かりません。
試合内容を観た印象としては、この7連敗が起こり得る状況にはないチームのように映るのです。
栃木としては、このままずっと低迷してもらった方が助かりますで、歯車が噛み合わぬ状況でずっと日程が消化されればとも思ってしまいます。
そうは言っても、昨シーズンもそうでしたが、勝ち出せばあっという間に順位を上げているチームでしょうから、いつ追い抜かれるのかと、栃木サポからすれば怖い存在でしかありません。
何となく、試合前は6連敗のチームとの対戦は嫌だなあと感じていたのです。
栃木がその連敗を止めるのかなと、そんなことを思いました。
結果は栃木が勝利し、山形の7連敗となりましたが、前述したとおり、一つ一つプレーが少しだけ栃木に味方してくれたように感じました。
運もあって奪った勝点3だったのではないでしょうか。
試合後、勝点3を祝して、近くで応援しているサポさんと記念撮影。
こんな写真、これからも沢山撮れますように。
びしょ濡れでの応援でちょっと辛さもありましたが、勝利がそんな辛さを吹き飛ばしてくれました。
素晴らしい勝利。
素晴らしい勝点3。
ここから勢いを持って連勝街道へ。
それに期待したいモンテディオ山形戦でした。
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