今度こそ、火星探査の成功を。
火星と、その衛星の起源を探るため、JAXA=宇宙航空研究開発機構は、探査機を火星の衛星「フォボス」に着陸させ、2029年に表面の砂を持ち帰る計画を明らかにしました。
JAXAが中心となって進めている「MMX」というプロジェクトでは、探査機を4年後に打ち上げて火星の衛星の起源を探り、火星と太陽系の成り立ちなどを調べる計画です。
19日、文部科学省で開かれた専門家の部会で、探査機を火星の衛星「フォボス」に着陸させ、2029年に表面の砂を地球に持ち帰る計画が了承されました。
「フォボス」は、直径がおよそ23キロで、火星からおよそ9000キロの距離を回っています。
火星の衛星から地球にサンプルを持ち帰るのは、世界でも初めてだということで、JAXAの担当者は「フォボス」には、火星から飛来したものも多くあるため、火星の情報も多く得られるはずだとしています。
JAXAの川勝康弘プロジェクトマネージャは「日本が得意とする小天体からのサンプルリターンを成功させ、太陽系の成り立ちなどを明らかにしたい」と話していました。
ちょっと専門的ですが、JAXAはこの計画について、こちらで発表しています。
はやぶさシリーズで確立したと言ってよいサンプルリターンを、さらに推し進める計画。
惑星の衛星と見るならフォボスは大変小さい衛星ですが、それでも小惑星イトカワ(長径530mほど)、リュウグウ(同900mほど)の20倍以上大きい天体です。
その意味で、難しい点が出てくるかもしれません。
また、単独の小惑星と異なり、惑星の衛星ですから、火星の引力圏の影響下の探査となります。
そのため、火星への軌道投入という、難易度が上がる挑戦になります。
惑星への軌道投入は、火星では成功していません。
(火星探査機「のぞみ」は、様々なトラブルを抱えて、軌道投入前に、ほぼ機能を失っており、断念した)
金星では、現在も探査を継続している「あかつき」が、結果的には軌道投入に成功しました。
ただし当初の計画での軌道投入の際は、スタスタ―が損傷し、失敗。
5年をかけて軌道修正を図り、金星に接近、姿勢制御用の低推力スタスタ―を無理やり活用して、どうにか成功させました。
今度こそは、惑星への軌道投入に、成功させてほしいですね。
そして火星衛星軌道中で、フォボスにランデブー、着陸と、難易度は小惑星への着陸より格段に難しくなるでしょう。
成功させれば、日本の宇宙探査技術は、また新たな段階を迎えます。
さらに難しいのが、火星重力圏を脱出させて、地球帰還軌道に乗せる事。
火星とフォボス探査終了まで、大推力スラスターが正常機能していなければ、到底無理なことです。
宇宙空間で数年運用して正常動作させることは、非常に難しい事です。
新たな挑戦になりますが、成功させて、無事サンプルリターン出来ることを、願いたいですね。