失われた有人宇宙宇宙船技術を取り戻すのに苦労しているアメリカ | 朱雀ひのでのブログ

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アメリカの有人宇宙飛行再開を目指す試験は足踏みに

 

スペースシャトルの引退後、長らく途絶えていたアメリカの有人宇宙飛行を再開すべく開発された新型宇宙船が、先日(20日)アメリカのフロリダ州(NASAのケネディー宇宙センター隣接の、ケープ・カナベラル空軍基地)から打ち上げられたと報じられました

(リンク切れの際は、注目記事960参照)

 

この新型宇宙船「スターライナー」は、航空機メーカー大手のボーイングによるもので、20日午前6時半すぎ、日本時間の午後8時半すぎにアトラスV(ファイブ)ロケットで打ち上げられました。

(「スターライナー」については、注目記事960参照。上から2つ目の記事)

 

 

ロケット打ち上げ自体は正常に行われ、無事衛星軌道に入ったものの、宇宙船のスラスターが正常に作動せず、国際宇宙ステーション(ISS)に向かう軌道に投入することが出来なかったため、ISSとのドッキング実験を諦め、48時間以内に着陸させるように計画を変更したと発表されたようです。

 

 

何重にも安全対策を要求される、有人宇宙飛行

 

なかなか人を宇宙に送り込むには、ハードルが高いという事ですね。

日本の『こうのとり』は無人の輸送機ですが、有人のISS(国際宇宙ステーション)とドッキングするために、それまでの宇宙開発では考えられないような安全性への信頼度向上を要求されていたのです。

 

今回のボーイングの宇宙船でも問題になったトラブルですが、宇宙船のスラスターが正常に作動しなかったため、そもそもISSへ向かう軌道に入れなかったという事ですが、これでは人がいる宇宙船に接近させることは、危険です。

 

正常にISSに接近できないと、宇宙船とISSが衝突する事故につながるかもしれません。

そうなれば大惨事ですね。

 

だから『こうのとり』を例にすれば、スラスターは2系統用意されており、どちらかが故障しても、正常な運用が出来るようになっていますし、その2つともが故障しても、安全にISSから離れることが出来るような設計を要求され、それが出来ることがNASAに認められて初めて、ISSへの補給機運用が認められたのです。

 

細かなことを言えば、『こうのとり』内の照明カバーが破損しても飛散しない工夫とか、挙げればきりがない位、安全性を要求されたそうです。

 

最初からハードルを高くされて、それをクリアしてきちんとその後も守っていることで、『こうのとり』は、初号機から安全に輸送機として役割を完璧に果たし、一度も打ち上げ失敗をしていない、安定した輸送機として十二分に役割果たし、NASAは元より、国際的に高い評価を得ています。

 

ただここから有人宇宙船開発には、まだまだ越えねばならないハードルが高いという事でしょう。

 

 

失われた技術を取り戻すのは、実はかなりハード

 

かつてアメリカはマーキュリー、ジェミニ、そしてアポロ宇宙船に、スペースシャトルと、世界の宇宙開発をけん引する技術を持っていましたが、その技術が惜しむらくは継承されていないことで、今大きく足踏みをしています。

 

無論、それら宇宙船の設計図は、残されているはずです。

しかしそれを見ても、それら部品の素材や、それらがなぜそういう風に作られたのか?までは語ってくれません。

 

『宇宙兄弟』でも、パラシュートの折りたたみ方まではそれに載っていなかったがため、事故が発生したという(架空の)設定が語られています。

 

そういう細かい事が積み重なって起きているために、アポロ宇宙船の設計図を元に新型宇宙船を作ろうにも、簡単にいかないという事でしょう。

 

その位、技術の継承を怠ると、かつて作れていた物が作らなくなるものなのです。

それはハイテク製品だけではなく、ローテク製品ですらそうで、使い捨てカイロが主流を占めた結果、かつてあった白金カイロが作られなくなり、いまやそれを作ろうにも、技術が失われて作れないそうですから。

 

いずれにせよ、私たちが安全に、そして気軽に宇宙に行ける時代は、生きているうちには実現しなさそうですね。

諸経費含めれば、ISS観光費用が70億円という現状では、宇宙遊泳も、夢の中でしか実現できそうにないですね。