トランプ大統領、TPPの価値を再認識した模様。
(NHKWEB 2018年4月13日 5時19分)
アメリカのトランプ大統領は、去年離脱したTPP=環太平洋パートナーシップ協定をめぐり、有利な条件を引き出せるなら復帰の可能性を探るようライトハイザー通商代表らに指示した、とアメリカの複数のメディアが伝えました。
TPPをめぐってトランプ大統領はことし1月、再交渉を通して協定を見直すという条件で、復帰の可能性に言及していて、今後の対応に関心が集まっていました。
こうした中、アメリカの複数のメディアは12日、トランプ大統領が農業関連の会合で、ライトハイザー通商代表や国家経済会議のクドロー委員長に、有利な条件を引き出せるならTPPに復帰する可能性を探るよう指示した、と伝えました。
これは会合に出席した議員の話として伝えられたもので、ホワイトハウスや通商代表部から正式な発表はありませんが、来週開かれる日米首脳会談で議論のテーマに上るのか、トランプ大統領の出方が注目されます。
通商政策の関係者の間では、米中の貿易摩擦への懸念が高まる中、トランプ政権が知的財産の保護など貿易のルールを定めたTPPが、中国への対抗策として有効な手段になりうると考えているのではないか、という見方も出ています。
あくまで再交渉で協定見直すのが条件
大統領の発言についてホワイトハウスのウォルターズ副報道官は12日声明を出し、「大統領はライトハイザー通商代表と国家経済会議のクドロー委員長に、TPPがよりよい協定になるよう交渉できるかどうか検討するよう求めた」として、あくまでも再交渉によって協定を見直すという条件で復帰の可能性も探るという、これまでの方針に変わりはないという考えを示しました。
TPP経済圏の価値については、過去に新TPPが見せる、経済版セキュリティーダイヤモンド、日本の生命線となる新TPP経済圏への署名式が無事終わる等の記事で説明した事があります。
TPP経済圏が、単なる経済圏だと見るのは早計です。
いったん動き出せば、それぞれの国の特性を生かした国家間の結びつきが強化され、それはいずれ安全保障機能を持ったものとなるでしょう。
何しろ自由貿易を通じた同じ価値観を持つ国家の大集団が出来るのです。
それがお互いの安全保障分野のつながりに発展する事は、自明です。
ビジネスマン出身のトランプ大統領は、そうした面を当初見通せず、交渉においてアメリカ有利な内容になっていないという点だけを見て、TPP交渉から離脱しましたが、今になってようやくそれに気づいたのでしょう。
しかしそれを後悔してTPP交渉に復帰を模索しだしたにせよ、アメリカンビジネスマン流のごり押し交渉の姿勢は、大統領になっても相変わらずなようで…。
(NHKWEB 2018年4月13日 14時13分)
アメリカのトランプ大統領はツイッターで日本について言及し、「長年、貿易の面でアメリカに打撃を与えてきた」と批判し、貿易赤字の削減に向けて、FTA=自由貿易協定の交渉に入ることに改めて意欲を示しました。
アメリカのメディアは12日、トランプ大統領がTPP=環太平洋パートナーシップ協定をめぐり、有利な条件を引き出せるならTPPに復帰する可能性を探るよう、ライトハイザー通商代表らに指示したと伝えました。
これについて、トランプ大統領は12日、ツイッターに「オバマ前大統領に示された協定よりも、大幅によい内容になる場合にかぎり、復帰するだろう」と投稿し、あくまでも再交渉を前提に復帰する可能性に触れました。
そして、TPPに参加している11か国のうち6か国とは、すでに2国間の貿易協定を結んでいるとしたうえで、日本について「長年、貿易の面でアメリカに打撃を与えてきた」と批判し、貿易赤字の削減に向けて、FTAの交渉に入ることに改めて意欲を示しました。
トランプ大統領は鉄鋼製品などに高い関税を課す異例の輸入制限措置について、日本も対象に含めているうえ、日本の自動車分野には非関税障壁があるとして、繰り返し市場開放を求めていて、来週、開かれる日米首脳会談では、厳しい姿勢で臨んでくることも予想されます。
どうやらトランプ大統領は、ようやくTPP経済圏の価値を正しく認識したようですね。
どうせ復帰するならアメリカの利益がより出る形に交渉しようというのは、アメリカファーストを掲げるトランプ大統領らしいと思います。
そのご都合主義にはまともに付き合っていては、他のTPP参加国が損をする事につながるのですが。
さてこの情報に対応したのかは不明ですが、日本政府の動きの記事。
(NHKWEB 2018年4月14日 5時27分)
アメリカのトランプ大統領がTPP=環太平洋パートナーシップ協定に復帰する可能性に触れたことなどを踏まえ、安倍総理大臣は、来週、アメリカで行う日米首脳会談に、TPPを担当する茂木経済再生担当大臣を同席させる方向で最終調整に入りました。
史上初の米朝首脳会談を前に、安倍総理大臣は、来週、アメリカ南部のフロリダでトランプ大統領と首脳会談を行い、北朝鮮を非核化するため緊密な協力などを確認したい考えです。
これに対しトランプ大統領はツイッターで、アメリカが去年離脱したTPP=環太平洋パートナーシップ協定に、再交渉を前提に復帰する可能性に触れる一方、貿易赤字を削減するため、日本との間でFTA=自由貿易協定の交渉に入ることに意欲を示しました。
こうした状況を踏まえ、安倍総理大臣は、TPPを担当する茂木経済再生担当大臣を首脳会談に同席させる方向で最終調整に入りました。
安倍総理大臣としては、トランプ政権が日本を対象に鉄鋼などに高い関税を課す輸入制限措置を発動していることも踏まえ、首脳会談で、経済・貿易分野についても突っ込んだ意見交換を行い、トランプ大統領の真意を見極めたい考えです。
ただ、11か国が署名したTPPの再交渉は困難なほか、アメリカとのFTA交渉に入れば、自動車や農業分野で大幅な譲歩を求められることが予想されることから、安倍総理大臣は難しい対応を迫られることになりそうです。
安倍総理も万全の体制で、トランプ大統領との日米首脳会談に臨むようですね。
北朝鮮の核とミサイルの問題、拉致被害者への問題など、もっと喫緊の課題についての話し合いがなされますが、経済交渉でも突っ込んだ交渉を行う用意があるとアメリカに伝えるためのものでしょうね。