新TPPが見せる、経済版セキュリティーダイヤモンド | 朱雀ひのでのブログ

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見えてきた環太平洋の経済圏。

 

TPP新協定を公表 米離脱で20項目の凍結など明記

(NHKWEB 2017年11月11日 17時31分)

 

TPP=環太平洋パートナーシップ協定の参加11か国が協定の発効で大筋合意したのを受けて、共同議長を務める茂木経済再生担当大臣らが記者会見して合意内容を発表しました。新たな協定には、アメリカの離脱を受けて20の項目の実施を先送りして「凍結」することや、6か国が国内手続きを終えると協定が発効することが明記されています。

TPP協定の参加11か国の閣僚会合で、離脱したアメリカを除いて協定を発効させることで大筋合意したのを受けて、共同議長を務める茂木経済再生担当大臣とベトナムのアイン商工相がベトナム中部のダナンで記者会見し、新たな協定を発表しました。

 

それによりますと、焦点となっていたアメリカの離脱を受けて実施を先送りする「凍結」項目は合わせて20で、医薬品の開発データの保護期間や著作権の保護期間など「知的財産」に関する項目が多く含まれています。

 

また、海外に進出した企業がその国の急な制度の変更などによって損害を受けた場合国を相手取り国際的な仲裁機関に訴訟を起こすことができる「ISDS条項」と呼ばれる制度の一部なども凍結の対象となりました。日本政府の関係者は「こうした項目が凍結されることによる日本への影響は極めて限定的だ」と述べました。

 

11か国は、将来的にアメリカが復帰した際には、凍結を解除することで一致しており、協定には、アメリカの復帰が見込まれる場合やいずれかの締約国の要請がある場合などに、内容の見直しを行うことも明記されました。

 

また、協定の発効条件は参加国の半数以上に当たる6か国が国内手続きを終えることとしているほか、名称をTPPから「CPTPP」にするとしています。

 

共同記者会見で茂木大臣は、「極めて短期間で高い水準を維持したバランスの取れた内容になった。アメリカやほかのアジア・太平洋諸国、地域に対しても積極的なメッセージとなったのではないか」と述べ、意義を強調しました。

 

(中略)

カナダ トルドー首相「引き続き取り組むべき作業がある」

いったん閣僚会合で大筋合意された後に、異論を唱えたカナダのトルドー首相が、現地で記者会見しました。この中で、トルドー首相は、「新たな協定の枠組みが進展したことに満足している。しかし、引き続き取り組むべき作業があり、カナダ国民の利益のため、時間をかけて交渉していく」と述べ、労働や環境規制などの分野を例に挙げて、協定の発効に向け慎重に対応する考えを示しました。

 

(後略)

 

 

TPP交渉は、アメリカが離脱した事から漂流し、有無消散する恐れが強かったのですが、日本がイニシアチブを取って立て直し、残る11か国間で協定発効のための大筋合意にこぎつけました。

 

TPPについては様々な曰く付き問題点があったため、これまでも多くの反対意見がネット上でも噴出していました。

その時に問題視されていたのが、今回協定中で実施を凍結された項目である、医薬品の開発データの保護期間や著作権の保護期間など「知的財産」に関する項目、あるいは国際的な仲裁機関に訴訟を起こすことができる「ISDS条項」と呼ばれる制度などでした。

 

アメリカが抜けた後の交渉で、各国が合意して凍結させた事項ですから、やはりそれらを各国が問題視していたという表れでしょう。

これでこれまでのTPPが抱えていた毒の部分が、解毒されたとみてよいのではないかと思います。

 

アメリカが復帰したら、これらが復活するという取り決めがある点に不安はありますが、恐らくはトランプ政権時代には、アメリカがTPPに復帰する事はないでしょう。

そうなると最低でもあと3年、トランプ政権が2期勤める事になれば、7年はアメリカ抜きでTPP経済圏が進むことになります。

 

仮にアメリカの次期政権がTPPに復帰する政策を打ち出したとして、例えば7年後に『凍結項目』を解凍してTPPに加えろと言ってきたとして、すでに先行しているTPP諸国がすんなり納得するとは思えません。

恐らくは毒も弱められてしか導入できないでしょうし、またTPP経済圏が動き出して7年も経過すれば、『新たに参入』しても、出来上がった経済圏に割って入るのは、アメリカといえど至難の業になることでしょう。

そうなる前に日本が主導してTPP経済圏を上手く運用できていれば、『後から入ってきた』アメリカに市場を荒らされる可能性を低くできると思います。

 

アメリカ抜きのTPP経済圏は、先進工業国は日本のみ、対して資源国として、オーストラリア(鉱業)、ブルネイ(石油)、マレーシア(ゴムなど)、カナダ(森林資源)があり、それぞれの得意分野をバーター取引する態勢を整えれば、新TPP経済圏で日本が不利な状況になる可能性は低いのではないかと思います。

市場としても、人口1億を超える国家だけでも、日本、メキシコ、ベトナム、フィリピンがあり、スケールメリットが見込まれます。

 

あとは日本が国際競争力の弱い分野をどうするかが課題ですが、競争力が弱いとされる農業分野でも、問題なのはコストだけといって良く、農産物の品質で比較するならば、他国の生産品と引けを取らないどころか、格段に品質が良い産品も数多くあり、今の時点でコメ、りんご、いちご、あるいは牛肉などが、知る人ぞ知る高級ブランドとして輸出が広がりつつあるのです。

ここはコスト競争に巻き込まれない戦略を取り、高級ブランド化で売り込みをかけるなど、攻めの姿勢で臨めば、海外に打って出る事は十分可能だと思います。

 

もちろんTPPに疑問を感じる方もいらっしゃるとおもいます。

しかし今後の時代の流れは、第2次世界大戦前のブロック経済圏復活の兆しが既に出てきている事を考えて、あえてリスクをきちんと計算の上で、スケールのある経済圏構築が急務であることを意識すべきと考えます。

 

アメリカが抜けた後、日本が必死になってTPP経済圏を作ろうとしてきたのは、大東亜戦争に向かわざるを得なかった過去の歴史を繰り返さないためだと見るべきです。

あの時日本が戦争を選択せざるを得なかったのは、外交能力不足によって追い詰められていった面があるにせよ、根本的には生きる糧を得るために必要な資源、特に石油を全く得る事が出来ない状況に追い込まれたからです。

 

その視点で見るならば、TPP経済圏には、日本が必要とする資源を持つ国がいくつもあり、万一それ以外の国々との貿易が出来なくなったとしても、TPP経済圏との結びつきを維持できれば、日本が決定的に生きるすべを失う事は、避けられるでしょう。

リスクが全くないとは言いませんが、そうした安全保障面でもTPP経済圏を評価すべきと思います。

 

そしてその意味で見るならば、これが特亜諸国に対するけん制になることが分かるかと思います。

TPP経済圏に彼らが害をなそうとするならば、加盟国が団結してけん制すれば、彼らも手荒な真似をする事が難しくなります。

 

仮に彼らがTPP経済圏に参入しようとしても、参入の条件が加盟国全部の同意が必要と取り決めがある以上、それらの国々の意向に反する行動は封じられます。

つまり決定的な破局を防ぐことにつながるのです。

これが実は安倍総理が様々な反対意見がある中、将来の安全保障の一つとしてTPPを推し進めて来た理由でしょう。

つまりTPPとは、経済版のセキュリティーダイヤモンド構想だったと見るべきなのです。

 

カナダについては、新TPPが6か国の批准で発効と取り決められたため、仮にカナダが加入しなかったとしても、発効が流れる事はないでしょう。

それは大勢には大きな影響はないと思います。