イカリソウ イカリソウ

私の学年は戦後ベビーブームの直前で一番児童数が少ない学年だった。クラスも2クラスしか無かった。同じ町内にはもう一人の女の子と二人だけだった。その子の両親には子供が無く、養女としてもらわれた子だった。目がくりくりとして可愛らしく人気ランキング上位に属していた。

ある時、彼女の誕生会に招待された。行ってみると既に先客がおり、女の子ばかりだった。それも人気ランキング上位の5人だった。そのうちの一人が「あら、○○さんも呼んだの。」と言った。他に男の子はいなかった。来なかったのかも知れない。私は、しばらく女の子達の遊びや話しに耳を傾けていたが、気まずいので直ぐにお暇した。

またある日、彼女が一級上の女の子と二人で家の前の道路脇きの松林に入っていくのが見えた。私は何をしているのだろうと林の中をのぞき込んだ。二人はしゃがみ込んで何かをしているようだったが、私の視線に気づいて慌てて更に林の奥の方へ逃げていった。二人の秘密の遊びだったのだろう。

昨年、郷里で中学校時代の同窓会があり招待を受けていたが、平日でもあり実家もなくわざわざいく理由もないので私は行かなかった。夕方従兄弟から電話があり、「今同窓会に来ているのだけれど、どうしてもお前に会いたいと言う人がいる。いま代わるから」と言う。
すると、いきなり女性の声で「私誰だか判る?」ときた。40年以上も昔の人の声が判るわけはない。「同じ町内の・・・」と言ったので誰だか当てることが出来た。私が来ると思って参加したのにいなくてがっかりしたと言っていた。それならそうと早くに知ればわたしも参加しただろう。同じ名字の従兄弟が参加していたので私に連絡がつくかも知れないと思い尋ねたらしい。

彼女は名字が代わっていなかった。結婚していないのか、それとも養父母の関係で婿養子をもらったのか、そこまでは聞かなかった。高校卒業後看護学校へ行ったと噂で聞いたような気がする。養母に倣って看護師になったのかも知れない。今なら会えば大人の会話も出来たかも知れない。