華煉爛漫ブロスアームズ 第七輪 -護国- | ストラトキャスターのオタりごと

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ピピピ……

現場に急行している左文字 雅の元に通信が入る。発令所からの暗号メールだ。
「……状況が変化した……?」
出動後の通信は良くないことを連想してしまう。緊急出動のため、戦略などなく録なブリーフィングもしていないのだから全てが不測の事態で有るのだ。
仲間の身を案じながら、こくっと喉をならし
雅は左腕のブレスレット状の通信機に触れ、
一言呟いた。
「開封。」
GL専用の現場急行車「アサルト・アーマード・ジオ」通称『アルマジロ』には生体認証および
華煉輝石の微弱なブロスパルスによってロックが解除される華姫への援護機能が搭載されているのである。
雅の声、通信機の連携認証、華煉輝石に
よって認証がクリアされ、
車のダッシュボードにホログラム状の
ウィンドウが投影される。
「……一先ずは安心だけれども。」
受信したメールには、デーモン級が一先ずは
冥府の扉から出てきていないこと、自分が現着するまではデーモン級との戦闘にならないであろうという予測、アンノウンはひとまず敵対していないことが記載されていた。
「私の立ち回りはやはり、
隠密で行くべきか。」
まさかとは思うが、こちらの手の内をヒドラージャは明かしていないと信じたい。ならば、
得意とする隠密行動がとれる、とそう考えた。
 
ホログラムウインドウを操作して、
司令には「安息 我忍」とだけ送信した。
 
左文字 雅はブロスアームに関する力を無効とする能力を持っている。
自身から発するブロスパルスをも打ち消し、
ステルス効果を発揮することも可能なのだ。
左文字家は日本古来から国を支えた一族で、
現代においても産業スパイや、諸外国での諜報活動で暗躍している。GLのエージェントとして左文字家数名が紛れ込んでいると言われている……が、真相は闇のなかと言ったところである。
 
デーモン級は力の差こそあれ、大地震を引き起こすこともあり、放置等出来るわけがない。
もっとも、華姫も独りでは対処出来ぬ相手なのだ。ブロスアームの決戦機能、フルブルームの使用をのぞいて。
「ヒドラージャも、アンノウンも、
早まってはいけない……早まらないでいて……。フルブルームの反作用も然別、決戦の一撃を外すと背水に落ちるだけよ……!」
雅はアルマジロが未だに大阪にいることに少量の焦りを感じながら、兵庫までの距離表示を確認していた。
 
 
 
野球場の二人は位置取りを確認しあった。
フジはバックスクリーンのスコアボード、
ヒドラージャは三塁側のベンチに位置どった。
何処に出現するかは博奕であるが……。
「「しかしながら、スコアボード上が物騒ね……」」
作戦とはいえ、禍々しいスコアボードの上を見てこぼす。
「「当たったら流石の私たちでも痛いわね。」」
いくつものマシンガンが一類側のスタンドとグラウンドのベンチを向いており、
スナイパーライフル数丁がグラウンドに向かって置かれている。
無反動ロケットランチャーも置いてあるようだ。
どんなマジカルアーミーかは知らないが、随分豪勢な火器をみて敵でないことを祈った。
 
作戦としては左翼にニュートリションが出現した場合、ヒドラージャが対処、ニュートリションを右翼に押し出す。右翼に出現した場合はそのまま銃弾のスコールを浴びせる。
グラウンドやスタンドでなく、球場内部の場合は、用意したトラップで誘き寄せる。また、ヒドラージャが直接出向いて、グラウンドまで叩き出す手筈となっている。
援軍のことは戦略には組み込んでいないし、フジにも話していない。
とにかく『三人』で決着をつけるべく、準備を進めた。
 
 
「……!」
急に場の雰囲気が変わった気がした。
「ヒドラージャ!N反応だ!!!」
司令からニュートリション出現を告げられる。
「「ええ。大量のニュートリションを視認しました!ヒドラージャ、殲滅します!!!」」
グラウンドを覆い尽くさんばかりの小型のニュートリションがゆらゆらと出現してくる光景と、複数のマズルフラッシュ、爆薬の炸裂光でチカチカする戦場が一瞬で目に飛び込んできた。