斎藤英喜の 「ぶらぶら日記」 -902ページ目

年の瀬、バースディ

いよいよ、今年もあとわずかになりました。

今日は、くたくたさんの誕生日。午後は、ふたりでお節料理の材料の買出しにいき、夕方、三条木屋町あたりの美味しいお豆腐やさんに行って、お祝いしました。

建物が大正時代のものという、お店です。美味しい湯豆腐が食べ放題。いっぱい食べました。

食後はぶらぶら木屋町を歩きました。

年の瀬で、けっこう混雑しています。学生っぽいワカモノたちが溢れていました。四条のいつも行くバーに。カウンターで、女性バーテンダーさんがいろんなお酒を作るのを眺めながら飲みました。いつもは一杯なのに彼女も今夜は二杯お変わり。誕生日を迎え「進化」したみたいです。

ということで、年の瀬のバースディの夜は、更けていくのでした。


ホテルの夜のバーは

年内のお仕事もひとまず終了。ということで、今日から二泊三日で温泉に行きます。高山市内にあるリゾートホテルです。ですが、すごい雪…。

名古屋から「ワイドビューひだ」に乗り換えて、どんどん奥山に入っていくと、ちょっと半端ではない雪です。なんとあと一歩で高山に着くところで高山線はストップ。でも、高山到着は40分遅れですみました。駅前の道も雪が凍り、くたくたさんはつるつる滑っています。

宿泊するホテルは市内から車で10分ぐらいの高台にあります。露天風呂があり、おいしいフレンチが食べられ、部屋からは南アルプスが眺望できます。しかし残念ながら今日は吹雪いていて、周りの山々と市内が見下ろせるぐらい。それでも15階の部屋からは、雪に包まれた美しい街並みが見渡せます。

なにはともあれ、さっそく露天風呂へ。雪景色を見ながらの温泉は最高ですね。お風呂が何種類もあります。ちょっと熱くなったら、体を出して冷気にあたり、冷えてきたらまたお湯につかる…。これを繰り返しているといつまでも入っていられそう。

さて夕ご飯。これがかなり美味しい。まずは寒ブリのカルパッチョのサラダ仕立て。スープはコンソメとタラバガニ。コンソメの下は茶碗蒸しみたいになっています。メインは飛騨牛のステーキ。それに牛テールの煮込みも付いています。ワインはボルドーの赤。キャラフェを頼みましたが、くたくたさんは一杯だけなので、あとは僕がグビグビといただきました。さすがに酔っ払いました。部屋にもどった後の意識が、少々途切れています。

夜中、くたくたさんが寝たあとに再びお風呂に。お湯から出ている顔に雪が吹きかかってきます。吹雪きのなか熱いお風呂に入るのは、これまたけっこう。お風呂上りに冷たいビールを。最近、旅モノや温泉モノの本にやたらと「至福のとき」って言葉が氾濫していますが、でも、たしかにこれはやっぱり「至福のとき」ってやつですね。

部屋に戻って、しばらく読書。持ってきたのは椎名誠の新刊『ひとりガサゴソ飲む夜は…』(角川書店)。またまたお酒が飲みたくなる本なのでした。

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高山のホテル二日目。相変わらずすごい雪です。朝食前にまずはお風呂。雪がちらほらと舞っています。いい気持ちです。朝ごはんは、和食。こうば味噌が美味しい。ご飯も二杯食べました。

午前中はロビー横のラウンジでコーヒー。大きな窓からは、壁ぞいに滝のように流れる水が見え、その向こうに雪をかぶった木々が広がっています。時々、枝から雪が落ちていく様子が。ふたりとも、うっとり景色を眺めていました。

午後からは、ホテルの向かいにある市営の温水プールに。雪景色見ながら、たっぷり泳ぎました。くたくたさんはプカプカ浮いているだけですが。僕はクロールで何回も往復し、泳ぎの持続力落ちていないことを確認。それにしても、外は凍えるような寒さなのに、プールで泳げるなんて、なんて贅沢なんでしょう。

夕方、ホテルに戻ってから、今度は温泉に浸かり、ビールを飲んでご飯まで一休み。今夜の夕食は、和食スペースで寿司懐石にしました。お酒は飛騨の冷酒。前菜の三種盛り、茸のしんじょのお汁、飛騨牛の牛サシや寒ブリ、マグロ、海老、それに赤カブのお漬物のお寿司、赤だし、さらに野菜の天婦羅とかなりのボリュームでしたが、くたくたさんもぺろりと食べています。どうやら彼女、美味しいものはしっかり食べるのでした。

夜は、くたくたさんはすやすやお休みなので、ひとりでホテルのバーに。シングルモルトの「山崎」を二杯飲みました。

ホテルのバーは静かに飲めるのかと思いきや、すごい人数で盛り上がっています。どうもホテルの泊まり客ではなく、地元の会社員らしき男女が、会社の二次会かなんかで来ているようです。みんなかなり酔っ払っています。席の前では、地元の不動産屋の社長らしき人物が、「五千万」とか「三億」とか、とてつもない金額の儲け話をしています。ホテルの宿泊客は、どうも僕だけみたい。地元のサラリーマンたちの二次会に混じって、とても「旅行者」の気分でした。

外はもの凄い吹雪ですが、11時の閉店まえに、みんなタクシーでご帰還。騒がしい彼らがいなくなって、静かにジャズが流れていたことがはじめてわかったのでした。

部屋に戻ると、くたくたさんはテレビで倉木麻衣のライブ番組を観ていました。なんだかんだとお喋りながら、僕も付き合いました。


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三日目。朝ごはん前に一風呂。朝食はバイキングにしました。雪はあいかわらず降りつづけ、南アルプスの山々を眺めることが出来なかったのを、くたくたさんは残念がっていました。

お昼前にチェックアウトして、市内に。くたくたさんは凍った道を歩くのが苦手なので、「古い街並み」見物は取りやめ。お土産買ってから、街のなかのお蕎麦やさんに入って、「飛騨ラーメン」食べました。福助やら手招き猫が飾ってある、地元の人たちが来るようなお店。ラーメンも美味しかった。

雪で遅れるかと思いましたが、さすが高山線は時刻どおりに名古屋到着。夕方六時には無事京都に戻りました。京都の雪はさっぱりと消えていました。それにやっぱり暖かい。

夜は、名古屋駅で買った「なごや」という駅弁と、お手製のチーズケーキを食べ、録画してあった、椎名誠が北極海で「一角」鯨を探しに行く冒険番組を見ました。長い一本の角をもった鯨はほんとにいたんですね。す、すごい。

ちなみにシーナさんは、『哀愁の街に霧が降るのだ』『さらば国分寺書店のオババ』『岳物語』『わしらは怪しい探検隊』以来のファンです。ほんとにうれしそうに「一角」鯨の肉を食べる姿はいいですね。


氷点下の金閣寺

朝起きたら、一面雪景色。まるで北国みたい。昨夜は京都市内も氷点下だったようです。昨日は冬至だったのでした。(柚子たっぷりのお風呂入りました)

今朝は雪もやみ、いくぶん気温も緩んだようです。

午前中は、昨夜からの原稿仕事の続き。これは年内にはぜったいに提出しなければならない原稿なので、一気に集中して書きました。お昼までには、ほぼ完了。

昼ごはんのあと、買い物がてらに雪の金閣寺を見物に行きました。

考えてみると、金閣寺の側の佛大で働いているのに、これまで一度も行ったことがなかったのでした。雪の中の金閣寺はたしかにきれいでしたが、なんか新しく塗り替えた金箔がニセモノくさい。裏からみると、安物のセットみたいでした。ちょっとがっかり。

バスに乗って北大路ビブレで買い物。お腹がすいたので、ミスタードーナッツで肉まんとカフェオレのおやつ。食料品売り場で、明日の「クリスマスイヴ」用の食材をどっさり買いました。明日はくたくたさんが自家製ピザを作ってくれるそうです。さて、うまくいくか…。

夕ご飯のあとは、NHKハイビジョンで「伊勢神宮の式年遷宮祭」の映像を観ました。

心の御柱やご神体を納め御船代などの用材を切り出す御杣始祭の様子など。斧で木を伐る人たちの、失われた伝統技術の復活などに焦点を当てるのは、いかにもNHKらしい。もっと神宮内部の神職たちの世界を紹介してほしいですがね。

番組中に宗教学者の中沢新一さん登場。しきりに「日本人」を繰り返していたことが気になりました。中沢って、いつから「日本人論者」になったんでしようか。NHKへのリップサービス?

あと、女優の浅野温子が、「古事記の一人語り」を伊勢神宮のなかで演じてくれました。これはちょっと笑える。ちなみに、アマテラスが諸国をめぐって伊勢の地にたどり着いた由来は、『古事記』には載っていないのでした。〈語りなおされる古事記〉っていうことですね。浅野温子も、ついに神話の語り手の末裔ということになるのでしょう。彼女、目がかなりイってますね。

考えてみると、われわれ研究者も、「研究」というスタイルで神話を語りなおしている面があります。まぁ神話研究者の場合は、語り手の「成れの果て」ってところでしようけど。

夜中に原稿推敲して、仕上げました。お疲れ様。