渡辺啓助。渡辺温。
さっきの続き。
渡辺啓助は、何年か前、夏に下鴨神社でやっている古本祭りで買った、
『聖悪魔』国書刊行会
で知った作家。たぶん乱歩が何かで紹介していたのでは。
このなかの「悪魔の指」がお気に入り。
実際にフランクフルトとか行ったことはない作者なのに、
なんかとてもエキゾチックな味がある短編でした。
さして弟の渡辺温。編集者として谷崎潤一郎の原稿依頼に行った帰りに
交通事故で27歳で亡くなってしまう。彼の唯一(たぶん)の全集、
『アンドロギュノスの裔(ちすじ)』創元推理文庫
これも同じタイトルの短編が、「異国」の雰囲気を味あわせてくれる一篇。
弟は夭折し、お兄さんは100歳の長寿を得る、というのも、なんとも物語のようです。
ということで、久しぶりに趣味的文学の話題。