英ノリッチで結成されたSennenの4th。あのRideの曲名がバンド名の由来になっているように、これまではポストロック・シューゲイザー色の強い攻撃的なノイズを出すバンドだった。
前作くらいからタイプの違った曲が見られるようになったが、今作ではより一層サウンドの幅が広がっている。オープニングのColderは枯れたギターサウンドとメランコリックなリフレインが淡く広がっていく。その色彩はややSigur Rosにも通じるものがある。また、2曲目Learn To Love The DarkはもろにTFC。ハーモニーの心地よさはもちろんのこと、所々でグロッケンを使ってるところまでそっくり。3曲目Wasted Heartはこれまたオーソドックスなギターロック。フィードバック・ノイズの海はここにはなく、ひたすらにメランコリックなメロディーラインを丁寧になぞっている。
Vultures、Our Lost Historyのような攻撃的なリフの曲もアルバムにはあるが、存在としてはやや控えめ。やはり際立っているのは、シンプルで心地よい響きのリフがある曲。そんな影響もあるのだろうか、全体的に非常に聴きやすい。
この一気に角が取れた感じが、どう映るかが評価の分かれ目になりそうであるが、曲のクオリティーの高さを一番感じることのできるアルバムであることは確かだと思う。やや小粒な印象はあるけど、単なるグッド・メロディーではなくて、展開の抑揚で曲想をコントロールしていくような「うまさ」を感じることができる。
ライナーノーツにも書いてあったが、数多のシューゲイザー・バンドが解散か方向転換を図っていったという歴史の中で、Sennenも方向転換の道を歩んでいるのかもしれない。でも、方向転換を図っていく中で、道を見失い、かつての輝きを失ってしまったバンドがあまりにも多い。Sennenは自分達のストロングポイントを軸にしている分、今後の展開にまだまだ期待が持てる。
★★★★(19/07/12)