Clap Your Hands Say Yeahのサードアルバム。これまた前作から4年と、最近紹介するものはだいたい「4年ぶり」。オリンピックですか。まぁいいや。
中心人物のアレックのソロ・プロジェクト、フラッシー・パイソンやほかのメンバーのバンド、アンインハビタブル・マンションズなど、ほかでの活動が盛んだった彼ら。これだけ、バラバラの活動が続いたにもかかわらず、今作は過去最高のバンド・サウンドになっているから面白い。
まず1曲目Same Mistakeからぶっ飛んでしまう。ものすごくポジティヴなメロディーに疾走するシンセサウンド。アレックの歌も心なしか力が増したように聞こえる。ちらっとArcade Fireの影さえ見えそうだ。そしてその勢いは止まることなく2曲目Hystericalへとつながっていく。さらにハードエッジなサウンドになり、まるで別のバンドのようにも感じる。彼らの曲を聴いて、こんなに胸が熱くなったことはない。3曲目Misspent Youthになって、やや昔の面影を見せ始めるも、アレンジでここまでメランコリックに仕上げるとは思わなかった。
といった感じで、まさにサウンド面での構造改革がなされたアルバムのようだ。これまでになくシンセが多用されていて、核的サウンドを担っている。そのせいか、彼ら本来のイメージに浮かんだ音をぶち込んでいくスタイルはやや様変わりし、1曲1曲のまとまりの良さが目立つ。それはある意味「らしくない」し、それによって彼らの独特なグルーヴ感があまり感じられないのも確か。
でも逆に、彼ら本来の素晴らしいメロディーを素直に表現することに特化したアルバムだとも言える。そして、その結果非常に高揚感あふれるアルバムになった。なんか意味無くガッツポーズしたくなるような。また、まとまりは良くても、決して「お行儀の良い」アルバムではない。Into Your Alien Armsでの威狂うギターノイズが突き抜けていく感じは、リミッターを外さないとこうはならない。
勢いのある曲が集まる中で、ソフト・サイケ・タッチのIn A Motelが良い味を出している。もう一つ二つこういうタイプの曲ああってもよかったかなと思った。しかし、インディーからメジャーになったかのような堂々ぶり。この辺は好みによって好き嫌いが別れそう。個人的には、今のスタイルは結構好きです。
★★★★☆(5/11/11)