The Adventures Of Baron Munchausen By Proxy | Surf’s-Up

Surf’s-Up

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 Six. By SevenのChris Olleyのソロアルバム。とは言っても、純粋なソロアルバムとは少々違っていて、これまでリリースされた3枚のシングル、アルバムからクリス自身が曲をセレクトした編集盤である。Six. By Sevenについて知らない人もいると思うので簡単に紹介すると、英ノッティンガム出身で、ハードなガレージサウンドとサイケデリックなフィーリングを融合させた独創的なロックを鳴らしていたバンドである。1st,,2ndはセールス的には芳しくなかったものの、評論家やリスナーの間では高く評価された。その後ややメロディー重視のサウンドにシフトしたり、さらにハードにしてみたりと試行錯誤しながらも質の高い作品を作り続けていたが、全く売れず。一度解散し、復活したりもしたが今は詳しいことはわからない。


 自分は2nd,3rdあたりのサウンドが本当に好きで当時はかなり聴いた。ネットでは熱いファンがたくさんいたと記憶している。Chris Olleyはバンドのフロントマンで、ソロとしてコンスタントに作品を作り続けていたようである。Six. By Seven時代はアルバムによって作風の振れ幅が大きかったが、このソロではヘヴィなリズムとギターリフにダークなメロディー、エフェクトの入ったヴォーカルと後期Six. By Sevenのスタイルに近い楽曲が前半に収録されている。


 1曲目The Blackest Soulの重々しい展開はやや苦しいものの、非常に硬質で、サウンド面でのダイナミズムが強調された作りとなっており、ポストロック的なフィーリングが感じられる。重戦車のようなグルーヴは大音量で聴くとかなり気持ちはいい。


 6曲目Who Cares About Tomorrow Anywayからアルバムの様相は一変する。浮遊感のある美しいメロディーにアコギの流麗な音。まるでRuby Tuesdayを想起させるような1曲だ。Everything Disappears、If This Is Love That I'm Feelingとどんどんシンプルになっていき、Flyingでは前半のダークさが嘘のようにポジティヴな響きを持つようになる。Pissingなんて、ポール・マッカートニーが歌っていてもおかしくないくらい。


 やはり編集盤ということで、アルバムとしてもまとまりには欠けるし、曲によって出来に差があるのも否めない。しかしながら、間違いなく「原石」なるべきものがここには幾つもある。磨かないままでワイルドなままの光もなかなかいい。でも、しかるべき策を施して輝きを増した姿もやっぱり見てみたい。


 ★★★☆(6/11/11)