Fluorescence/Asobi Seksu | Surf’s-Up

Surf’s-Up

音楽の話を中心に。時にノスタルジックに

Surf’s-Up Asobi Seksu通算4枚目のアルバム。ニューヨークを拠点として活動している男女二人組。ちなみにヴォーカルのチクダテ・ユキは日本生まれアメリカ育ち。時折日本語ナンバーが挟まれているが、実は日本語が苦手だそうだ。当初はヴォーカルが日本人女性だということに注目されがちだったが、アルバムをリリースするごとに力を付け、自らの音楽性を「ドリーム・ポップ」と称し、甘いメロディーとハードなシューゲイズサウンドで独自の世界観を築いてきた。
 この4枚目でも、その基本線は変わっていない。甘くフックの強いメロディーに浮遊感のあるサウンドメイキング。まさにドリーム・ポップの名にふさわしい完成度の高い楽曲が並ぶ。


 前作と比べると変わったのはアレンジの幅だ。例えば、日本語と英語二つのヴァージョン(日本語がオリジナルらしい)があるPerfectly Crystal はNew Orderのようなロックなシンセと、轟音ギターが鬩ぎ合うことで、独特の高揚感を生み出している。また、Leave The Drummer Out Thereはメランコリックなポップが最後は全く違うテイストへと変わっていく組曲調だったり、Counterglowではダークなエレポップに挑戦している。


 とアルバムでは結構やりたい放題なのであるが、不思議と前作よりもアルバムとしてのトータル感は増しているような印象がある。強い確信を持って自分たちの音を鳴らしているというか、幾重にも重ねられたレイヤーサウンドに意志が宿り、強固な世界観を築くことに成功しているように感じる。


 それ故に、苦手な人にとっては更に苦手な存在になったかもしれないが、時に甘く、時にエクスペリメンタルな表情を見せる「ドリーム・ポップ」、僕は好きである。


★★★★(08/03/11)