鮮烈なデビューを飾り、更なるブレイクを期待されるところで、あっけなく終わってしまうバンドは結構いる。例えばCajun Dance Party、Mumm-raなど。大きなポテンシャルを秘めたまま終わってしまうことは、バンド自体も無念であろうが、リスナーにとってもとても大きな事だ。
思えば22-20'sもそんなバンドだった。まだ二十歳そこそこのメンバーでありながら、蜷局を巻くようなブルース・フィーリングでガレージ・ロックを奏でる姿は、当時異彩を放っていたように思う。あまりその手の音楽を聴かなかった自分も、Why Don't You Do It For Me?のかっこよさに心撃ち抜かれた。しかし、彼らは1stリリース後ツアーを経て、「これから」というときにあっさりと解散してしまう。
それでも、彼らの中でロックンロールへの思いが消えることはなく、別名義での活動やイベントでの一時的な再結成を経ながら、今回本格的に活動を始めることとなった。今年のフジロックでもお目にかかることが出来るが、そのあいさつ代わりとなるのが今作だ。
全体的な印象は、「やや大人になった」という感じ。ゴリゴリのブルース・ロックや脳天を撃ち抜かれるようなガレージナンバーはすっかり少なくなった。代わりに60's直系のシンプルなロックンロールや、モッズテイストに溢れた曲など音楽性の幅が前作に比べ格段に拡がっている。再結成に当たって、ギターが一人加入して4人組となった彼ら。しかし、新作の音を聞く限りはファットになった感じはしない。迫力やボリュームを出すと言うよりは、バリエーションを増やすための構成になったような気がする。
Oceanや4th Floorのように、ネオアコを思わせるような爽快なナンバーも、以前の彼らからは考えられなかったことだ。これは、解散後、ブルースから少し距離を置いていた頃によく聴いていたというBig Starの影響があるかもしれない。そういう背景があったからかもしれないが、前作よりはブルース・フィーリングが後退しているように見える。
しかし、それは彼らが「ブルース」を捨てたということではない。むしろ、一辺倒なブルースではなく、本来の豊饒な部分や包容力みたいなものに改めて気づいたように見える。軽くなったような感じに見えても、そこに自分たちの「ブルース」があるという確信に満ちた音を鳴らしている。「まだまだ」と思うところもあるが、今の立ち位置が揺らがない限り、彼らは確実に最高傑作を生み続けると思う。
おすすめ度★★★★(05/06/10)