あのジョン・レッキー、ポール・ウェラーも大絶賛しているリヴァプール出身(正確にはウィガンも含む)の新人、The Troubadoursのデビューアルバム。
彼らが叩きつけるのは、近年とくとお目にかかれなかった正統派ブリティッシュロック。さすがはリヴァプール。
タイトなビートにポジティヴなメロディー。小細工は一切ナシで、「素材で勝負」みたいな。このサウンドを聴いて、誰もが思い浮かべるのが、The La'sであろう。サマソニで登場したときは姿格好までThe La'sであった。
とにかくここまで徹頭徹尾グッドメロディーにこだわって作られた作品は、なかなかないだろう。それは、思えば60年代のUKバンドにとっては当たり前のことであったはずだ。ビートルズ、ストーンズ、ホリーズ、ハーマンズ・ハーミッツ、キンクスといった名だたるバンドはみんなメロディーで勝負してきた。強いて言えば、僕はメロディーこそが音楽を構成する要素で一番強い魔法をかけられるものだと思っている。メロディー至上主義かもしれない。そして、Troubadoursのフロントマンであり、ソングライターでもあるマーク・フリスもきっとメロディーに対するこだわりは尋常ではないと思う。目新しさや斬新なアイディアはないが、メロディーの完成度は実に高水準。先人の教えを忠実に守っていくことがむしろ彼らの使命のようにも思える。
「名曲」揃いなのは間違いないが、惜しむらくは「超名曲」と思わせるようなものが1曲ほしかったこと。そうなればアルバムの流れがもっと豊かになったと思う。それでも、リヴァプール好きな人、最近のUKロックはなんだか小難しいなと思っている人は絶対に聴いてほしい。
おすすめ度★★★★(10/09/08)
Gimme Love
(Im Not) Superstitious