The Verve/Forth | Surf’s-Up

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 The Verve11年ぶりの復活作。先日のサマソニでは圧巻のステージを披露した彼ら。単なる話題作りの再結成でないことを見事に証明した。



新作からサマソニで披露されたのは、1曲目Sit And Wonder、2曲目Love Is Noise。



 そのSit And Wonderは新たな始まりらしい威勢のいい言葉ではなく「座って瞑想するんだ」という、いかにも彼ららしい再スタートを飾るナンバー。その重々しく呪術的なグルーヴは、まさにVerve印の逸品。そして、リードトラックのLove Is Noiseはヴォーカルのサンプリングとポップなメロディーを基軸にした、変化球的アンセム。初めて聴いたときは、どこかしっくりこなかったがサマソニで最後に演奏されたものは、その前の「Better Sweet Symphony」と遜色ないほどの輝きを放っていた。つまりは、単体よりも流れの中で生きるタイプの曲なのかなと思う。

 で、このLove is Noiseをのぞけば、壮大なスケールで流麗なメロディーを聞かせるタイプの曲と、サイケデリックにとぐろを巻いていくようなタイプの曲が混在し、自在に舵を取りながらアルバムは進んでいく。その姿が、まるで11年間の不在の間の彼らのようにも見える。目まぐるしく変化する音楽シーンをよそに、彼らはその奥底でこのような鮮やかなグルーヴを描いていたのかなと思うと、それだけで感動的だったりする。

 尺の長い曲は多いが、決して冗長な感じは受けない。むしろ、サイケなグルーヴに身を任せることの気持ちよさを久しぶりに思い出させてくれたような懐かしさを感じる。聴き込んでいくと、確かに甘さを感じるところもある。それでも、リチャードのソロよりはずっと好き。ボーナストラックの2曲は若干ソロよりな感じがするが、Verveという屋号を再び背負うだけで、こんなにも力強く響くのかという驚きがある。



  この先、「Urban Hyms」のような怪物を再び産み落とすことができるのか、それはわからないし期待すべき事ではないだろう。



 11年かかって自分にもわかったことがある。Verveの代わりを務めることができるのは、Verveしかいないという事。その事実はすごく大きい。



 おすすめ度★★★★☆(09/22/08)



Love Is Noise