ゴリアテの混乱(The Bedlam In Goliath)/The Mars Volta | Surf’s-Up

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実はMars Voltaのアルバムを買ったのは初めて。前に試聴したことはあったんだけど、どうも買おうとは思わなかった。そもそも、1曲1曲が長いのがあまり得意じゃない。だから、プログレなんかもあんまり聴かない。


だから、サウンド的には結構ツボだったりするんだけど、敢えて聴かなかったのがMars voltaであった。


でも、新作は彼らにしては1曲1曲が割とコンパクトな尺におさめられている。長くても9分だ。それでいて、必ずどの曲にも強烈にキャッチーなサビがある。まるで、昔のハード・ロックのようなところがある。そう、たとえて言うならば、ツェッペリンの往年の名作のような佇まいがあるのだ。


ドラマー脱退も今回のサウンドを聴く限り、その影響は感じられない。カオティックで凶暴なグルーヴはかなり中毒性が高い。どのパートもフリーキーでありながら、実に必然的な絡み方をしてくるのも素晴らしい。個人的には時折のたうつサックスがたまらない感じです。


ツェッペリンは最近素晴らしいパフォーマンスを見せたようだけど、今の20代くらいの人たちにとっては、Mars Voltaの方がしっくり来るのではないだろうか。それは、60年代、70年代のバンドがいかにしてジャンルに縛られない音楽・グルーヴを生み出すか、血のにじむような格闘を続けていたのに対し、Mars Voltaはそういった観念無しに、やりたいものを迷い無く音にしている感じである。それは、まさに全体がボーダーレス化しつつある現代に近い音だと思うのだ。なんでもあって、なんでもいい。そういう自由さは、もっとロックにあっても良いんじゃないかと思うし、Mars Voltaはまさにそのメンタリティーを体現していると思う。


ちなみに、僕が買ったのはデラックス・エディションで巷で話題のSHM-CDで、DVD付きである。その中にボートラが3曲入っている。どれもカバーなのだが、個人的にはシュガーキューブス(ビョークが在籍していたバンド)の「Birthday」が良かった。高校生の時、この曲好きだったんだよな。


おすすめ度★★★★☆


Wax Simulacra