日頃、手話通訳者の自覚として、通訳対象者である聴覚障害者に通じる通訳をしたいと思っています。
通訳者は、自分の好みの手話を使えば良いというものではありませんから (^ ^;)
相手の使う手話の特徴やレベルに合わせて、日本手話が望ましい場合もあれば、いわゆる中間手話(これも相手によって表現方法に幅がある)、あるいは忠実な日本語対応手話が適している場合もあります。
とは言え、その中でも僕にとって特に継続的な研鑚が必要なのは日本手話です。
ろう者の友人・知人と会って話をしながら、いろいろ教えを乞うています。
そうした勉強の一環として、今日は、会社の仕事を終えた後で、NHK手話ニュースのキャスターなどで有名なろう者・赤堀仁美さんの講演会に行きました。
赤堀さんの講演会は、日本手話の文法をテーマにすることが多いのですが、今回は、「手話の世界で育った私」というテーマでした。
ろう学校時代、就職後、海外での留学・視察など、ご本人の経歴の中で身に付けた手話やろう者の生活についてのトピックスを内容としてました。
盛り沢山な話の中で、僕としては特に、
・話者の年齢、相手方との関係、場面によって、手話のスタイルが異なる。
・語彙について、言語間で意味のずれがある。
・手話の方言
ということについての話は、いつも関心のあるテーマなので、興味深く聞きました。
ここで、詳しい説明はできませんが、分かりやすい一例を挙げますと…
「かたい(堅い、固い、硬い)」という日本語を意味する手話単語があります。
これは、右手の五指を折り曲げ、左斜め下に力強く振り下げて止める動作で表します。
(五指ではなく、親指と人差し指だけ曲げる人…赤堀さんもそうでした。あるいは、親指、人差し指、中指の三指を曲げる人もいます。)
それで、手話で、「顔」(人差し指で顔の外郭をなぞる動作)プラス「かたい」と表した場合、日本語の発想で読み取ると、「(緊張で)顔が固い」とか「(真面目すぎて)顔が堅い」と読み取ってしまいそうです。
※一応、NMS/NMMつまり顔の動きなどの要素は、触れないでおきます。
しかし、通常これは、「顔が若いね」「昔と顔が変わってないね」ということを言う手話表現なのです。
「かたい」という手話単語には、「状態が変わらない」というニュアンスもあって、この意味での手話の用例のバリエーションは、日本語の「堅い、固い、硬い」に当たる用例よりも豊富にあります。
例えば、「雨」プラス「かたい」とやれば、「雨はまだ止まずに降っている。」を意味します。
このように、日本語と手話の間には、同じ語彙のように見えても意味の違いがあるので、単純に単語レベルでの当てはめをすると間違いが生じます。
ですから、単語を機械的に覚えるのではなく、その単語を使った様々な用例、文例での表現を覚えて使ってみることが、正しい手話の習得のためには大事ですね。
あ、偉そうに書いてますが、実は僕自身に対して言ってます(笑)
これは、手話に限った話ではないですね。
例えば、日本語と英語の間でも単純な単語の当てはめができないことは、よく知られています。
日本手話の場合も、日本語の発想とは異なる点をよく勉強して確認しておかなければ、安易に使えないポイントが沢山あります。
まあ、新しい発見もあったりして、それが手話を学ぶ楽しさなんですよね (^ ^)