甲状腺の再検査を受けた数日後、生理が始まったので子宮鏡検査(流産後の子宮の確認)を予約するために病院に電話をしました。

 

この時、3月中旬。アメリカは非常事態宣言が発令されて間もなくの頃です。

 

ナース「非常事態宣言の発令により、病院も生命に関わる検査・手術以外の来院をお断りしています。現在、3月末日まで(のちに、4月下旬ごろまで延期されました)検査を受けることはできません。次の生理が始まったら改めて連絡してください。

 

コロナの影響により、アメリカでの不妊治療の継続が不可能になった瞬間です。

 

6月上旬に日本に本帰国する私たちにとって、今検査が出来ないということは移植もできないということです。

 

3個ある凍結胚も、日本に移すか、アメリカに残すか、破棄するか考えなければなりません。

 

目の前が真っ白になりました。

 

同じアメリカでも、州や病院によっては不妊治療を継続できている所もあるのに。とか、日本だったら多くの不妊治療院が営業しているのに。とか。「なんで?」とばかり考えてしまいました。

 

もちろん、これは自分勝手な言い分です。

 

コロナで苦しむ人、仕事を失った人が大勢いるなかで、そうした自分本位な考え方しか自分はできないのか、とまた落ち込みました。

流産後のスケジュールとしてナースに提示されたのは2点でした。

 

・次回の生理が始まって5~10日目に子宮鏡検査を受けること
・血液検査(甲状腺ホルモン)を受けること

 

血液検査(内科医との面談含む)は3月中旬に予約を取り、受診することが出来ました。

 

問診、触診(甲状腺)は特に問題が無いとのことで、血液検査の結果を待つことに。

 

血液検査の結果は、受診して3日後に揃いました。

 

TSH 1.600 uU/ml [基準値 0.270 - 4.200 uU/mL]
T3  2.0 pg/mL   [基準値 2.3 - 4.1 pg/mL]
T4  0.7 ng/dL   [基準値 0.9 - 1.7 ng/dL]

 

これまではT3、T4が基準値内、TSHが基準値未満という結果だったのに対して今回はTSHが基準値内、T3、T4が基準値未満という結果に。

 

個人的にネットで情報を集めた際、TSHが基準値未満(T3、T4は基準値内)というのは(潜在的な)甲状腺機能亢進症なのかな、と考えていたのですが、今回はT3、T4が基準値未満(TSHが基準値内)ということで(潜在的な)甲状腺機能低下症にあたるということになるのでしょうか…?

 

前回の検査と逆の結果になり、ますます分からなくなりました。

 

ただ、内科のドクターは甲状腺機能低下症が今回の流産の原因にあたる可能性があるということで、Levothyroxine(チラーヂン)を処方され、6週間後に再度血液検査をするよう指示されました。

 

また、内分泌科を受診するようにも言われました。(予約は次回血液検査の2日前)

 

 


今回の検査の結果を受けて、あらためて私のせいで流産してしまったのかもしれないという思いが強くなり、今後の治療に対する恐怖がさらに強まりました。

 

流産の際、胎嚢の遺伝子検査は受けていないので、受精卵に異常があったのかどうか、というのは分かりません。

 

流産の原因の多くが受精卵の遺伝子異常とは言われているので、もちろんその可能性が無いわけではないと思いますが、こうして自身の甲状腺異常を突き付けられると、どうしてもネガティブに考えてしまいます。

 

不妊症で、不育症でもある(かもしれない)。妊活という泥沼から抜け出すことが出来るのかな、と。

流産から2週間と4日後、再び病院を訪れました。

 

超音波検査は無しで、血液検査のみです。

 

結果は、無事HCGの値が0になったので、血液検査での経過観察は終了となりました。

 

ナース「次回の生理が始まったらD5~D10で子宮鏡検査をして、問題なければ5月に移植が出来ますよ

 

と言ってもらえました。

 

しかし、今回の流産という結果を受けて、改めて11月~12月にかけて受けたTSHの低さが気になるということで、移植に進む前に再度TSHの検査を受けるようにも言われました。

※11月と12月にTSHの検査を受けて、いずれもTSHが基準値未満でした(T3、T4は基準値)。

 

そう。実は前回の移植後からずっと、このTSHのことが気にかかっていました。

 

着床したと思われる日から甲状腺周りの痛みが続いていたし、食事量・運動量は変わらないのに体重も胎嚢を自然排出するまで下がり続けていたのです。

 

(不妊治療とは別の)ホームドクターには「妊娠による筋肉のゆるみが原因では」と言われていましたが、当時血液検査も何もしていなくて、問診だけでの診断でした。

 

そうした中で流産という結果となり、不育症(甲状腺異常)という可能性も自分の中で浮上していたわけです。

流産から4日後に、診察で病院に訪れました。

 

この日は、血液検査と超音波検査の予定です。

 

病院の待合室で待ってると通訳さんが遅れて入ってきたのですが、会うのは初めての方でした。

 

これまで、通訳のMさんがいつも担当してくださっていて、時々Hさんが付き添ってくれるという感じで、これまでの通院はすっかりこのお二人に頼り切っていました。

 

今回もそのお2人のうちのどちらかだろうと安心していたところに、予想と異なる方がいらして正直戸惑ってしまいました。

 

というのも、その方は今私がいる病院が何科で、どういった治療をするところなのかもご存じないようでしたので…。

 

出会い頭に、「今日はどういったご用件でいらしたんですか?」と聞かれて、「先週流産したので、その経過観察です」と答えるえるところまでは良かったんですが、「何週だったんですか?」とか、「またすぐできますよ!」とか、今あまり聞きたくない言葉を浴びせられて、正直負担でしかなかったです。

 

私も私で、初めて会う方の前で泣いたり、弱った表情を見せるべきではないと思い、努めて明るく話さざるを得なかったので、精神がガリガリ削られていくようでした。

 

もちろん、本業(通訳)の方では大変お世話になったのですが…。

 

 

 

さて、検査結果ですが、

 

HCG 57

 

子宮内にはまだわずかですが血液の塊が残っている、とのことでした。

 

HCGが0になるまで、血液検査は続けるそうです。次回診察はこの日の2週間後を指示されました。

 

この時、私が気になっていたのは今後の治療スケジュールについて。

 

流産が2月だったので、「最速で5月に次の移植はできるのか」ということです。

 

6月頭に本帰国が決定している私にとって、それが最後の移植のチャンスでした。

 

ナース「身体の回復は人それぞれだから、今の時点でははっきりと"できる"とは言えません。ただ、(5月の移植は)可能性としてはあります

 

ナース「次の血液検査の結果を見て考えましょう

 

私「仮に、5月に移植が出来なければ凍結胚の日本への移管を考えています。可能ですか

 

ナース「病院として、他施設や他国への移管の例はありますが、手続きが複雑ですし、お金もかかるのでおすすめしません

 

私「推奨はしていないけれど、不可能ではないということですね?今の時点ではそれだけ分かれば十分です

 

この会話をしていた頃、まだ2月の末日でした。私は5月の移植に期待を抱くことで、なんとか心を奮い立たせていました。

流産後、そのショックを引きずる中で受けたのは、日本にいる友人からの妊娠報告でした。

 

中学時代からの、大好きな友人です。

 

その友人は、私よりもずっと前から結婚しているものの、なかなか子宝に恵まれずにいました。

 

そんなこともあって、私も不妊治療を明かしていた数少ない友人でもありました。

 

不妊治療中の妊娠報告は辛いものがありますが、彼女の妊娠報告だけはきっと本心から喜べるだろうと考えていました。

 

彼女の妊娠が嬉しいのは本当です。…だけど、その報告を聞いたタイミングが悪かったのだと思います。

 

人工授精で妊娠できた彼女への羨ましさと、もし流産していなければ子供同士同級生だったのにという叶わない希望で心がざわつきました。

 

そして、そんな自分に失望したのです。

 

友人の祝い事を、素直に喜べない自分に。

 

その日、夫にも心の内を聞いてもらいました。

 

友人が妊娠したこと。嬉しいけれど、それ以上に羨ましくて、悲しいこと。素直に喜べない自分が情けないこと。

 

その場では、黙って聞いてくれていた夫。

 

夕飯の時間になって、夫がこの件についてやっと口を開いてくれました。

 

夫「人の妊娠について羨ましがるのは、今後はやめて

 

夫の気持ちも分からなくはないです。

 

人と比べても仕方のないことで、メソメソする妻を見るのは嫌なのでしょう。

 

通常時だったら、私もこんなにメソメソしてなかったと思います。

 

だけど、流産したばかりで、体調もホルモンバランスも崩していた私にとって、この発言はとても悲しくて、涙が止まらなくなりました。

 

羨ましいという感情は消すことが出来ません。

 

友人に対してはそんな感情は全く見せずに接することができますが、身内(夫)にまでその感情を見せるな、と言われると、きつい。

 

不妊治療について、ましてや流産のことを知る人は夫だけで、不安を吐露できる相手は夫しかいないのに。

 

私の尋常じゃない様子に夫は慌てて謝ってくれましたが、なんとなく夫との間に壁が出来た気がしてしまいました。