可及的速やかに調法な目皿を持ってきてくれとカルデラのど真ん中で鶴首されてもなあ | スポーの“ここがヘンだよ闘牛士!”

十五日(土)
ああ、やっぱり、つまんねえ……。初心に帰り、説明や心理描写をなしにした、視点がかわるがわるなんていう高等テクニックも排した、現状ではよくわからんバビロンも抜きにした、枚数もあくまで二百を目標にしたものをやろうと思った。じゃなきゃ、進まん。なんでもいい。いまは、これをやりきろう……。
午前二時に寝る。

午前十時前に起きる。休日。
猫を動物病院へ。二度目の関節症治療の注射をいただく。定期的に通うことになるんだろうな。まァ仕方ない。
買い出し。タイワンタケクマバチの救出。
千田理緒『五色の殺人者』を読む。
高齢者介護施設で起こった殺人。施設利用者五名の目撃証言は、それぞれ異なった色の服を着ていたというもの。高齢者特有の色の誤認、方言などによるトリック。さらに目星をつけていた真犯人が別人だったというところは苗字による思い込みを利用している。無理なくまとまっているし、まぎれもなく本格ミステリーだ。ちょっとした恋愛要素も絡めながら、話の展開は全体的にとてもスムーズ。

十六日(日)
書く……が、ダメだ。つまらんつまらん。心の底からつまらん。面白くなきゃダメだろ。当たり前のことだ。自分が面白いと思えないものを書く意味なんてなんにもない。まずはそこだろうに。もう一度、イチから、スジから練り直すべきだ。
午前二時すぎに寝る。

午前十時半に起きる。休日。
愚妹親子、愚弟夫婦と子がやってきて、てんやわんや。
貴賎のスジは最初から考え直している。自分が楽しんでいるかどうかが唯一の基準。バビロンは乗りかかった船だから出したいし、この仕事のことも仕方ないので出したい。条件はそれだけ。

十七日(月)
床についたのは午前零時半。暑いのもあり、数時間後に目覚めて、なかなか寝つけず。延々と貴賎の想像をする。できなくはないと。

午前八時前に起きる。仕事。
日中、スジは案を出していく。

十八日(火)
午前零時すぎに寝る。

午前八時前に起きる。大雨。仕事。
ずっとスジを考えている。あれやこれやと書く。全然まとまらないし、めどが立ったわけではないが、ようやく時間を忘れてやり出している。

十九日(水)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
世の中の事件を調べて、序盤の流れを無理くりつくる。なんとか、つながったか……。

二十日(木)
午前零時すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
スジは進めている。が、どうも直線的すぎるし、やはりトリックと意外性が必要だ。いや、まあ、トリックってのがすなわち〝意外性〟のことなんだが。つまり予想できてはいけない。ふと、『その女アレックス』を思い出す。

二十一日(金)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。雨。仕事。
トリックは無理くり捻出してみる。はじめてだな、こんなの考えたのは。新鮮。そうした上で、最後のほうまで書いてみる。全体を見渡してみると、前半のスピード感はよさそうだが、後半が駆け足になっている。練り直しだな。