団体戦二日目③ | スピカの住み家

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気まぐれで更新します

前回の記事を見てのものだろう、「もう終わりかよ」というクレームが来た。


なんのことだか皆目見当がつかないのだが、その人によると二日目はもう一試合あるというのである。
どういうことだろう。初日は二局、三日目も二局だ。ははーんパターンミエテキタヨ。

早稲田に勝って帰り支度をしていた私達の前に「調子乗んな」と、立ちはだかる大学がやってきた。東大である。

二日目はもう終わったのではなかったのか。それともエキシビジョンマッチだろうか。しょうがない、調子に乗っている我々が相手になってあげましょう。



というのはすべて冗談で、二日目最終局は東大とである。ここを勝てばいよいよ富士通杯が見えてくる。




5R

この辺りから各校正念場が訪れる。明治VS東大は優勝争いだが、残留争いも面白いカードが多く、一橋VS東工など、事情を知る方ならにんまりしてしまうカードである。
できることなら観戦してるそこらへんのおっちゃんにでもなりたかった。次のラウンドから他大の戦況も書くことにします。



さて、いよいよオーダー交換。
ここまでオーダーは順調に読めていた明治。東大戦はどうなるか。結論を書いてしまうと、意表のオーダーだった。


ここからしばらく私の告白タイム。



実はこの一戦、私は入念な準備を重ねてきた。打倒東大、そのためにこそこそと事前研究を積み重ねてきたのである。

ズバリ私の相手はK場氏だと思い込んでいた。K場氏の将棋は攻めが鋭い印象で、それを炸裂させてしまうと勝てる気がしない。なんとかしてこの攻めをさせないような展開に持ち込む将棋を研究していたのだった。

それは長く、試行錯誤の連続で辛い作業だった。あらゆる戦型を調べた。あらゆる棋譜を模索し、一人将棋ウォーズまでして対策を重ねた。もはやK場氏への意識(恋愛のようだ)は底知れぬものとなり、このままいったら俺はヤバいんじゃないかと不安になるほどだった。



そしてこのオーダー交換を迎えた。さあ、オーダー通りなら大将に誰かがいて、副将にK場氏がいるはずだ。

こい、こいと念じた。心の中では神に祈るポーズをしていた。
しかし、東大の主将さんから衝撃の一言が発せられた。



「大将K場、四年です」



えええええええええええ



そんな馬鹿な、なぜ、なぜK場氏が大将に!
無情にもこちらの大将はO田島。ああ、私の準備はすべて水の泡となってしまったのであった。



そんなわけでほーんの少しモチベーションが落ちていた私だったが、目の前にいる方も強敵なのだ。K出氏である。



K出氏についての研究はしていなかった。しかしどういう嗜好をお持ちかは知っていたので、初手で長考せずには済んだ。
私は意を決してノーマル四間飛車を選択した。


ノーマル四間飛車といえば、私が一度永久封印した戦法である。理由は簡単。穴熊に勝てないからだ。最近ネットではそれを利用して「ドM流四間飛車」という穴熊の猛攻をひたすら受け続ける戦法も指してはいたが。


K出氏は穴熊はしてこないという独自に調べたデータがあった。穴熊じゃなければ勝負である。最悪王手すらかけられない展開にはならない。だから私は封印を解いたのだった。


しかしK出氏は穴熊より遥かに優秀な戦法(個人の見解なのであしからず)である棒銀をしてきた。

困った。私も棒銀を使うのだが、あまりにも優秀なために対策案がない。敵にしてわかるこの強さ。やっぱり棒銀は優秀ですねえ。


しみじみ感じている場合ではない。普通に指していると負けてしまうので、私は少し定跡を外した手順を選んだ。力勝負にしてしまえば勝機はある。と、ここで私がノーマル四間飛車を指さなくなった本当の理由を思い出した。



それは私のノーマル振り飛車系の対局観が絶望的に悪いことである。
某氏のように言うならば、センスがない。とにかくセンスがないのだ。



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それはこの将棋にも表れていた。図は私が先手で、大捌きになったところ。
ここまで進めて、私は自分がいいと思っていた。だが、それは大きな間違いだった。
ここでK出氏が渾身の力を込めて指した△1五歩がアルティメット激痛打。この端攻めを完全にうっかりしていた。


振り飛車を指し慣れている方なら図の状況がどれだけヤバいかお分かりだろう。そして図の局面にはしないでいただろう。まったく呆れて何も言えない。
以下は最短コースで寄せ切られてしまった。局後検討してみたが、どうやっても居飛車が手厚い。
もう当分四間飛車はやらないようにしようと思った。


チームを見てみると、私の恋人じゃなかった相手を奪ったO田島は横歩取りからじわじわやられてしまっていた。
I瀬さんもいつの間にか急転直下で投了。確か相振り飛車だったと思うが、攻めが入ってしまったのだろうか。


これで3つ取られてしまい、あとが無くなった。しかし下にいるのは頼もしいメンバー。T下もY内も勝っていた。

しかし、T谷が負けているという情報を聞いた。
あちゃー。これでチームの負けが確定。残るはO平の対局のみとなった。


さて、チームメイトなら応援しなければならないこの場面だが、私は負けたこともあって反省会に時間を費やしていた。T下やY内、他大の方々も交えてだったが、どことなく私が戦犯である雰囲気が伝わってくるのである。久しぶりに味わうこの辛い感覚はやはり嫌なものだ。


O平は苦しそうな局面から長々と頑張っていた。相手がM上氏というのと、チームの負のオーラムードに押されて負けてしまうのではないかと思っていた。(O平もチームの負けは予感していたそうである)しかし、目を離していた隙に終局していた。頭を下げたのはM上氏のほうだった。


この日、O平はとにかくきつい相手を引いていたのだが、堂々の全勝である。二日目のMVPだろう。なおさら東大に勝てなかったのは申し訳なかった。


東大に3-4となり、優勝争いからは後退。富士通杯へも他力になってしまった。しかし最終日に二連勝すれば可能性はまだ残っている。


その最終日は思わぬ敵と戦うことになった。疲れたのでそれはまた違う日に。